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鉄イオンになぜFe2+とFe3+があるの?
イオンに価数の違うものがあるという現象が理解できません・・・。 例えば、水素イオンだったらH+しかありませんよね。電子を一つ外に出した方が安定だから。 でも、鉄イオンにFe2+とFe3+があるじゃないですか!! じゃあ、このイオンたちは外に電子を二つだしても、三つだしても安定なのでしょうか。変です。安定状態は一つじゃないんですか。あの最外核電子が希ガスと同じになると安定。 仮に安定状態にかかわらずイオンになれるんだとすれば、Fe+~Fe10+とかいくらでもありそうな気がするのです。でも、鉄の場合はFe2+とFe3+くらいしか聞かないですし、水素の場合のH2+も聞きません。どうしてでしょう(-_-;
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イオン化エネルギー(単位はkJ/mol) H 1312 Na 495 4562 6911 Mg 737 1476 7732 K 419 3051 4410 Ca 589 1145 4910 He 2373 5259 Ne 2080 3952 Ar 1520 2665 1.不活性元素(希ガス)の電子配置から先に行くのは難しいのが分かります。 Na^2+は存在しないだろうというのはエネルギー的な判断として可能です。 2.Ca^2+を実現するために必要なエネルギーはNa^+を実現するために必要なエネルギーよりも2倍以上大きいです。でもCa^2+は安定に存在します。これはイオン化エネルギーの大きさだけでは判断できない事です。 CaOとNaClは結晶構造が同じです。融点を比べると結合の強さの違いが分かります。 NaCl 801℃ CaO 2572℃ CaOの方が格段に結合が強いことが分かります。 結合が強いというのを安定な構造ができていると考えてもいいはずです。 NaClは(+)、(-)の間の引力です。CaOは(2+)、(2-)の間の引力です。これで4倍の違いが出てきます。イオン間距離も問題になります。Ca^+には最外殻のs軌道に電子が1つ残っていますからCa^2+よりも大きいです。荷電数が大きくてサイズの小さいイオンができる方が静電エネルギーでの安定化には有利なのです。 Fe(OH)2よりもFe(OH)3の方が溶解度が格段に小さいというのも2+、3+という電荷の大きさの違いが効いてきています。サイズも小さくなっています。 イオンは単独では存在しません。必ず対のイオンと共に存在しています。 水和されていると書いておられる回答もありますが対のイオンの存在によって安定化されるというのが先です。 水溶液の中であっても正イオンだけとか負イオンだけとかでは存在できません。水和された正イオンと水和された陰イオンとが同数あります。水和された負イオンの周りは水和された正イオンが取り囲んでいます。液体の中にありますからかなり乱れた構造になっていますが正負のイオンが同数あって互いに反対符号のイオンの周りに分布しているという特徴は維持されています。 3.d軌道に電子が不完全に入っている元素を遷移元素と呼んでいます。 「遷移」というのは性質がダラダラと変わるということから来た言葉です。普通は族番号が変われば性質が大きく変わります。周期表で横にある元素とは性質が異なるが縦に並んでいる元素とは性質が似ているというのが元素を「周期表の形にまとめてみよう」という考えの出発点でした。だから3属から11族を1つにまとめて考えるという事も出てくるのです。 性質が似ているというのは電子の配置に理由があるはずです。電子は最外殻のsに先に入って後からdに入ります。エネルギーの逆転が起こっていますが違いは小さいものです。まず外の枠組み(s軌道)が決まっている、違いは内部(d軌道)の電子の入り方だけだというところからダラダラ性質が変わるというのが出てきます。M^2+のイオンがすべて存在するというのもここから出てきます。11族の元素に1+が出てくるのは内部のd軌道を満杯にしてs軌道電子が1つになるというからのことでしょう。これは#7に書かれています。でもそれがなぜ言えるのかはさらに別の理由が必要でしょう。 s軌道の電子が飛び出してイオンができたとすると残るのはd軌道の電子です。イオンのサイズがあまり変わらないというのはここから出てきます。 イオンの価数の種類が1つではないというのも遷移元素の特徴です。エネルギーにあまり大きな違いのないところでの電子の出入りだという捉え方でもかまわないと思います。イオン単独で考えているのではなくてイオンが置かれている環境の中で考えています。イオン化エネルギーの大小だけではありません。 色が付いている化合物が多いというのもエネルギー的にあまり大きな違いのない電子配置がいくつか存在する、そのエネルギー状態は周囲の環境によって割合と簡単に変化するという事を表しています。普通なら電子遷移は紫外線の領域です。可視光の領域に吸収が出るのですから差の小さいエネルギー準位があるという事です。この色が周りに何があるかによって変化するというのも、変動しやすいエネルギー順位があるという証拠になるのではないでしょうか。酸化銅、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、結晶の色は異なります。水和された銅イオン、アンモニアが配意した銅イオンもはっきりとした色の違いがあります。 4.今考えているイオンの電荷は実電荷です。酸化数は実電荷に対応しているとは限りません。 単原子イオンの酸化数はイオンの価数そのままですが、単原子イオンではない、分子中の原子、または多原子イオンの中の原子の酸化数は形式的に電荷を割り振ったものです。イオンでないものであってもイオンであるかのように見なしているのです。「Cr^(6+)」が存在するなんて書かれると「????」となってしまいます。Cr2O3の融点が2436℃、CrO3の融点が196℃であるという数字から考えるとCrO3はイオン性ではありません。無水クロム酸とも言われていますがCrO4^2-の中の結合と同じであろうと考えられます。 CO2はC^(4+)1つとO^(2-)2つが結合したものと教えている中学校があるように聞いていますが困ったことです。「硫酸の中の硫黄の原子価は6+である」と書いてある危険物のテキストもあります。酸化数と原子価の混同はかなり広く見られることのようです。Cr^6+ という表現はそれと同列のことですから堂々と回答に書かれては困ることです。
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- htms42
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#8です。 #8では、 ・あまり、大きな違いのないいくつかのエネルギー状態がある、 ・そのエネルギー状態は外部環境(結合する相手等)によってもかなり変動する というのを書きました。 でも質問者様の元々の疑問には答えていませんね。方向が少し違うように思います。 いくつかのエネルギー状態があるのはどの原子でも同じです。 ただ、原子によってその中の1つしか安定状態が存在しないものと2つとか3つの安定状態があるものとがある これはどうしてかということですね。 分子の場合でしたら、結合や構造の変更が起こる場合にはエネルギー的なハードルを越える必要があるという説明がされていますが、割合と納得しやすいです。そのハードルの高さが活性化エネルギーという言葉で表現されている説明を見られたことがあるだろうと思います。 でもイオンの場合はどうなるのでしょう。 Ca^+とCa^2+の移り変わりにはハードルがほとんどなくて、Fe^2+とFe^3+の移り変わりにはハードルがあるということになります。 このハードルの正体は何か、どうして遷移元素にはエネルギーの異なる状態間の移り変わりに対してハードルが存在するのかについての説明が欲しいですね。 探してみたのですが見つかりませんでした。 エネルギーについての説明は結構あちこちにあります。 イオンは単独で存在することはない、必ず周りに対イオンが存在するということが関係しているかもしれません。 イオンになる時に出ていく電子がs軌道のもの、d軌道のものと混ざっていることが理由になっているのかもしれません。Caの外側の2つの電子はどちらもs軌道にあります。順番に出て行けばいいのですからその内側の電子配置にはあまり影響が出てこないだろうという予想ができます。s、dの両方が関係していると2つ出ていく時と3つ出ていく時では内部の電子配置の組み換えが必要になってくるでしょう。これがハードルになっている可能性もありそうです。Feがイオンに変化する場合、ある反応ではFe^3+まで行くが別の反応ではFe^2+までしか行かないということが起こるのでしょう。これは相手次第だということです。一旦Fe^2+、またはFe^3+ができるとそれが変化するためには電子のやり取りが必要になります。この電子のやり取りがどの程度起こりやすいかは反応によって変わってきます。Fe2O3とFeCl3はどちらもFe^3+を含む化合物ですが安定度に違いがあります。FeCl3はCuを酸化するのによく使われるような酸化剤ですがFe2O3が酸化剤として使われることはあまりありません。Fe2O3は鉄鉱石の成分としても多く産出されるものですから非常に安定な物質なんです。 ちょっと取り留めのない内容になってしまいました。 これが私の限界です。
お礼
ありがとうございます。ご質問に関わる部分についてお調べいただいたことなどあったのですね。 「活性化エネルギー」はイオンの価数の変化について必要なエネルギーという文脈では使わないような気がするので、ハードルという言葉でここではおっしゃっているのでしょうか。 「Ca^+とCa^2+の移り変わりにはハードルがほとんどなくて、Fe^2+とFe^3+の移り変わりにはハードルがあるということになります。」 という表現はとても分かりやすいです。 ちなみに回答者様の限界はすごいものだと思います。説明できるものの10倍くらいがその人の実力だと思っています。
- Tacosan
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ついでに余談だけど, 「基底状態における実際の電子配置」は必ずしも #4 のように規則的に変化するわけではありません. nd 副殻と (n+1)s 副殻とのエネルギー差は小さく, また「ちょうど半分だけ電子が存在する」ときや「ぴったり全部うまってる」ときにはエネルギーが小さくなる傾向があるため, nd4 (n+1)s2 や nd9 (n+1)s2 よりも nd5 (n+1)s1 とか nd10 (n+1)s1 とかの電子配置の方が安定になりやすいです. その結果, (Rg を除く?) 11族元素は共通して +1 の原子価を持ちます.
お礼
以前にも回答者さまにはいろいろ教えていただいた気がします。ありがとうございます。 なかなか理解できてなくて混乱気味ですが、殻の半分まで電子が存在したり、ぴったり全部うまっているときにはエネルギーが小さくなり(バランスがいいんですかね・・・、エネルギーが打ち消しあうとか)・・・、それで、そういう配置をとる場合は安定になるから電子を取られにくい、ということかな。う~ん、ちょっとわかりません。ごめんなさいm(_ _)m
- c80s3xxx
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私は水和を挙げましたが,結晶とかでは水はないわけですので,水のせいというのはちょっと語弊がありますね. この問題は,配位子場あるいは結晶場というものを考える必要があって,簡単な説明は無理なんです. まず量子論に基づく原子構造と電子軌道について理解し,さらに軌道間相互作用,また結合や結晶場の影響をどのように考えていくかまでやらないとイオンの安定性や価数を議論しきれません. 当面は,そういう性質があるんだ,ということで済ますしかないんじゃないですか. そしてほんとに理解したければ,大学3年程度までの理論化学をやる必要があるということで.
補足
だいぶ頭がやばくなってきました(>_<) 結晶では水がない(?_?) 配位子、結晶場?? 私の質問って理系の大学の3年生くらいの理論化学をやらないとせっかくいろいろお答えをいただいてもわからないのですね(汗)
- Tacosan
- ベストアンサー率23% (3656/15482)
「H2-」が「H2^-」(水素分子+電子) なのか「H^2-」(水素原子+電子2個) なのかわかりにくいのですが, 前者は理論上存在しえます. 後者は... 無理だと思う. H^- ならあるけど. また, 単純な Fe^4+ や Fe^6+ はそのままの形では存在しないと思いますが, 形式的に「電子を 4個 (あるいは 6個) 失った鉄原子」を含む化学種は存在します. ただし, 恒星のような極端な環境では話が異なります. γ線のような高エネルギー光子で電子を叩き出せばよく, Fe XXVII (26回電離した鉄, つまり「裸の鉄の原子核」) すら作ることができます.
お礼
ご回答ありがとうございます。 表記方法が変ですみませんでした。そういう記載の方法をするのですね(^_^; H^2-のつもりで書いていました。 H^-までは存在しうるのですね。驚きです!! Fe^4+やFe^6+もやっぱりありえるのですね。 というか、Fe^27-もあるとは・・・。すごい世界を教えていただいてありがとうございます(^o^)
- ORUKA1951
- ベストアンサー率45% (5062/11036)
原子の電子軌道を理解しないと一筋縄では行きません。 ゆとり教育のためか、現在電子軌道は高校では教えないことになっています。 電子の軌道は、 s軌道(最大2個)、p軌道(最大6個)、d軌道(最大10個)、f軌道(最大14個)、g軌道(最大18個?)とあります。 H :1s(1) いわゆるK殻 He:1s(2) Li:1s(2),2s(1) = [He],2s(1) いわゆるL殻 Be:1s(2),2s(2) = [He],2s(2) B :1s(2),2s(2),2p(1) C :1s(2),2s(2),2p(2) N :1s(2),2s(2),2p(3) O :1s(2),2s(2),2p(4) F :1s(2),2s(2),2p(5) Ne:1s(2),2s(2),2p(6) =[He],,2s(2),2p(6) Na:1s(2),2s(2),2p(6),3s(1) = [Ne],3s(1) Mg:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2) = [Ne],3s(2) Al:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(1) Si:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(2) P :1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(3) S :1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(4) Cl:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(5) Kr:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6) K :1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(1) Ca:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2) ここまで典型元素 Sc:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(1) 遷移元素(d軌道が満たされていない) Ti:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(2) 遷移元素(d軌道が満たされていない) V :1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(3) 遷移元素(d軌道が満たされていない) Cr:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(4) 遷移元素(d軌道が満たされていない) Mn:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(5) 遷移元素(d軌道が満たされていない) Fe:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(6) 遷移元素(d軌道が満たされていない) Co:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(7) 遷移元素(d軌道が満たされていない) Ni:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(8) 遷移元素(d軌道が満たされていない) Cu:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(9) 遷移元素(d軌道が満たされていない) Zn:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(10) 典型元素 Ga:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(10),4p(1) Ge:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(10),4p(2 As:1s(2),2s(2),2p(6),3s(2),3p(6),4s(2),3d(10),4p(3) 満たされていないd軌道、f軌道(ランタノイド・アクチノイド)は、s軌道p軌道よりも、遠くに広がっているため、この電子が化学結合に強く関わります。d軌道の電子がいくつ失われるかは、量子力学の範疇なので説明は省きますが、「遷移元素に関しては、いくつでも電子を失う可能性が高い」と言うことです。[典型元素も実際には、他の価数をとりえますが、単に習わないだけです] 極端な例で言うとCrなんかは、1価から6価まで普通に知られています。鉄酸イオンはFeO4^{2-}ですから、鉄は6価です。 >水素の場合のH2+ これはありえないでしょう。価数は基底状態の原子から電子を取り去るのですから、水素は陽子がひとつしかないし、電子もひとつしかない。無いものから電子は取れない。 これは、高校の教科書の復習が必要だね。 ★拡張周期表 - Wikipedia ( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8B%A1%E5%BC%B5%E5%91%A8%E6%9C%9F%E8%A1%A8 ) ★遷移元素 - Wikipedia ( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%B7%E7%A7%BB%E5%85%83%E7%B4%A0 ) を読んでください。
お礼
詳しくありがとうございます。私が理解できるかは別にして(汗) ご紹介のウィキペディアのページ見てみました。拡張周期表ではd軌道、f軌道に何個入っているかも分かりやすくていいです。 この部分の軌道に乗る?電子はK殻やL殻、M殻の一部よりも原子核から離れているところまで移動するのですね。だから、化学結合するときに先にくっつくというか、そういうことがあるのだろうと理解しました! Crはd4まで、Feがd6までd軌道が埋まってます。だからd軌道上の電子がどこかに出て行って、Cr4+、Fe6+まではありえそうだなと思いました。 H2+は、そうですね、おかしいです・・・。ではH2-とかはあるかも・・・・?。
- DJ-Potato
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鉄とかカルシウムが電子を保持しようとする力より、水が電子を奪おうとする力の方が強いから、 水溶液中ではFe2+やFe3+辺りでようやくその綱引きが拮抗する、って感じですかね。 Fe4+になると、鉄が電子を取り戻す力の方が勝る。
お礼
ありがとうございますっ! 鉄とかカルシウムの原子核が電子を引っ張っている力より、水が電子を奪おうとする力が強くて(これが綱引きですかぁ!!)、すると二つ目の電子も三つ目の電子も水に引っ張られて出て行ってしまうのですね。 その綱引きが拮抗するからFe2+やFe3+が水があるところでは安定ということですね! Fe4+は水が四つ目の電子を引っ張る力が原子核の電子をひっぱる力に勝てないから水のところには無いということかぁ☆
- c80s3xxx
- ベストアンサー率49% (1634/3294)
原子から電子を取るときに必要なエネルギーだけを考えていると,たとえば2価のカルシウムイオンの存在すらやっかいになります. たとえば,真空中で孤立した原子から電子を取ると,ほとんどの場合,1個の電子しか取れません.Fe+ とか Ca+ とかになるわけです. これは,ある意味当然で,2個目を取るときにはすでに + 過剰になっているイオンからその静電引力に逆らって取り外すのですから,中性状態から1個取るよりもさらに大変になることは想像がつくでしょう. 実際,カルシウムのイオン化エネルギーは,第1イオン化エネルギーが589.8kJ/molなのに対し,第2イオン化エネルギーは1145.4kJ/molで,2個目を取るのは1個目を取るのに比べてはるかに大変なのです. では,なぜカルシウムは2価イオンなのか.それは水に溶けているという状況があるからです.水の中ではイオンは水和された状態にあります.この水和によるエネルギーを考慮すると,Ca+ はさっさと Ca2+ になってしまう方がよくなるのです. (電子を水の水素イオンに押しつけてしまう) Fe2+ と Fe3+ も同じです.水和によってどちらも存在できる程度に安定になっているのです. もうひとつ.安定性を考えるときの希ガス配置というアイディアは,遷移元素についてはそのまま当てはめられません. この辺はけっこう面倒なリクツがあるので,大学生でもすんなりとは理解できないところの一つでしょうね.
お礼
ありがとうございます。 解説いただいて、一個目の電子を取るときと二個目の電子を取るときでは必要なエネルギーが違っていて、二個目を取るときの方が大きなエネルギーが必要、ということまで分かりました。 その続きが、だから、例えば、Ca+が世の中には多いんだよ、なら理解度満点なのですが・・・。 でも、実際は水に溶けているとCa+よりもCa2+になる方が楽(-_-; う~ん。 希ガス配置が安定というのは遷移元素(3~11族?)ではそうでもないのですね(^_^; Feは8族だから遷移元素ですね。
- DJ-Potato
- ベストアンサー率36% (692/1917)
化学の分野で「安定」っていうのは、絶対的なものではなく、あくまで相対的に安定、ということです。 空気中では、水素イオン H+ よりも 水素分子 H2 の方が安定だから、水素分子の形で多くが存在します。 水の中では、水素イオン H+ 、本当はH3O+ですが、の方が安定だから、水素イオンの形で多くが存在します。 溶質がイオンになるのには、もちろんエネルギーが必要です。 それがイオン化エネルギーというヤツですが、 Fe+ には簡単になれて Fe2+ にも割と簡単 Fe3+ になるにはそこそこエネルギーが必要で Fe4+ になるにはかなりエネルギーが必要 なので、だいたいの鉄がFe2+かFe3+でいる、というコトです。 イメージとしては、安定な状態に向かうために、途中に不安定な状態を経由するので、より安定な状態になるよりは、このままちょっとくらい不安定な状態で待っててもいいでしょう、みたいなFe達がいる、というコトです。
お礼
即答ありがとうございます!! 世の中に多くいるイオンは、それがそのイオンにとって安定な状態だからなのですね。 では、世の中(環境、高圧、高温とか)を変えればH2+とかF10+とかってイオンも出現するのでしょうか!? Feが一番簡単になれるのはFe+ということは電子一個を誰かにあげると希ガスみたいな配置になるのですか??
お礼
詳細なご回答ありがとうございます。しばらく置いて頭がクールダウンしたし、休日とのこともあってじっくり読んでみました。 もう一つ最新のご回答をしていただきまして、それについてはまたお礼をと思っています。 直接的な私の疑問へのご回答ではないのかもしれませんが、関係する部分の知識を埋めることができます。物を理解する時にはやっぱりいろいろな方向から対象を見ることが必要だと思います。 イオン化エネルギーに、二個目の電子が取られる時、三個目が取られる時というのが別にあるというのは今回初めて知りました。そのイオン化エネルギーの観点で希ガスとNaを比較した場合に、Na^2+にするためには約5千キロジュールも必要で、希ガスから電子をとって+イオンにするよりエネルギーが多く必要ということで、Na^2がなかなか存在しえないということが分かりました。 それから、原子と原子の間の結合の強さ(結合に必要なエネルギー?)を知るのに融点を参考にするという方法があり、「NaClは(+)、(-)の間の引力です。CaOは(2+)、(2-)の間の引力」という視点で見れば、CaOの融点が高くなることも理解できました。 イオンの存在のしかたですが、よく教科書的な図ではcl-とかが丸く水溶液中に書かれていたりする気がするのですが、イオンはそのままでは存在していないのですね。必ず電荷が逆のやつと対になって存在していると理解しました。 遷移元素については、理解しきれなかったのですが、例えば、遷移元素のうち一つの元素を取りあげるとその元素は価数が異なるイオンが数種類存在することがよくあるということが分かりました。 酸化数と原子価は混同しないように注意しましょうというのも分かりました。これは私もたぶん混同していて、酸化数分の+電荷がついたイオンになるだろうと単純に考えていました(汗)
補足
ごめんなさい、理解しようと思ってがんばってます。