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重金属の生成の過程が分からないので、伺います。
どうして、超新星爆発前の核融合では、 鉄迄しか出来上がらないのでしょうか?
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原子核には+の電荷を帯びている陽子が含まれています。 同じ電荷を持つ粒子同士の間には、電気的に反発する力が働きますから、電気的に見ますと、原子核は不安定と言えます。 それでは何故、原子核は陽子同士の反発力でバラバラにならないのかと言いますと、原子核の中の陽子や中性子の間には、核力という力が働いていてるからです。 核力は、原子核内部程度の極めて短い距離においては、極めて強く引き付けあう力として働きますから、電気的な反発力に打ち勝って、原子核を一つの塊に結合させています。 この核力は、距離が離れると急激に力が弱くなり、原子核の外では、核力は全く働かなくなります。(逆に極端に短い距離では、核力は逆に反発力として働きます) つまり、大きな原子核になりますと、原子核中の表面辺りにある粒子と、その反対側辺りにある粒子との間では、距離が離れ過ぎていて、直接的には核力で結び付いてはいない、という場合もあります。 一方、電気的な力は、距離が離れるほど弱くはなるものの、その弱まり方は核力ほど急激なものではありません。 そして、電気的な反発力は、原子核が持っているプラスの電荷の数(即ち陽子の個数)の2乗に比例して大きくなります。 水素やヘリウムといった原子番号が小さい原子核であれば、電気的な反発力よりも、核力の方がずっと強いため、核融合を起こして大きな原子核になった方が、エネルギー的に安定します。 しかし、ウランやプルトニウムといった原子番号が大きな原子核では、電気的な反発力が強いため、核分裂を起こして小さな原子核になった方が、エネルギー的に安定します。 つまり、ヘリウムとウランの間の何処かに、電気的な反発力と核力のバランスが取れているために、最も安定している原子核がある筈です。 そのバランスが取れている原子核というのが、鉄付近の原子核なのです。 鉄の原子核は最も安定しているため、そこへ更に核融合によって大きな原子核になる反応が起きますと、エネルギーが放出されるどころか、エネルギーを吸収してしまいます。 核融合が起こるためには、電気的な反発力に打ち勝って、原子核同士が接近して衝突しなければなりませんが、そのためには、原子核の熱運動による運動エネルギーが、電気的な反発力によるポテンシャルエネルギーよりも大きくなくてはならず、先述の様に、原子核が持つプラスの電荷が大きい程、反発力が強くなりますから、核融合の結果原子番号が増える程、核融合を起こすために必要な温度は高くなります。 鉄は恒星内部で生じた最も原子番号の大きな元素ですから、それが核融合を起こすためには、より高い温度が必要になりますが、鉄が核反応を起こせばエネルギーが減りますから、温度は低下してしまい、核反応が進みません。 恒星は、核融合反応が起きた際に生み出されるエネルギーによって、内部を高温に保つ事で、内部の圧力を高圧にし、その圧力によって、自身の重力で潰れてしまわない様にして、安定を保っています。 核融合反応によって鉄が出来る様になりますと、鉄は幾ら高温高圧になっても、核反応によってエネルギーを作り出しませんから、恒星が生み出すエネルギーが減ってしまい、大きさを維持出来なくなった恒星は、自身の重力で潰れてしまいます。 恒星が潰れると、中心部が超高密度に圧縮されるため、その中心部は中性子星やブラックホールに変化します。 恒星が潰れて、恒星の外周部にあった物質が、その中心部に落ち込んで来て、出来上がった中性子星の表面に衝突しますと、物質は衝突によって圧縮され、その圧力によって衝撃波が発生します。 その衝撃波は強力で、恒星全体を吹き飛ばしてしまいます。 これが超新星です。 又、ブラックホールに物質が落ち込んで行く際には、(ブラックホールの元となった恒星が自転していて、且つ磁場を持っていた場合には)一部の物質はブラックホールに吸い込まれずに、回転軸の方向に、光速に近い速度で噴き出す細いジェット流となって噴出します。 この流れのエネルギーの一部が、恒星の中心部よりも外側にあった物質に伝わり、そのエネルギーによって、超新星よりも強力な爆発が起こり、恒星全体が吹き飛ばされます。 これが、極超新星(ハイパーノバ)です。 この様に、鉄は安定なため、核反応は進まない上、鉄が出来れば恒星は爆発してしまうため、超新星爆発前の核融合では、鉄迄しか出来ない訳です。 因みに、鉄よりも原子番号が大きな元素は、超新星や極超新星爆発の際に、超高温と超高密度によって、エネルギーを吸収する反応が、何段階も急速に進む事によって作り出されると考えられています。 又、その他にも、極めて希な事ですが、中性子星同士が衝突して、2つの中性子星がバラバラになる事により、莫大な量の重い元素が生み出される事もあると考えられています。 中性子星は表層以外は中性子だけで構成されていますから、言うなれば星1つが丸ごと1個の原子核の様なもので、その破片が核分裂やβ崩壊を繰り返せば、重い元素が生み出される訳です。
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- notnot
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前提知識が不明なので、うまく説明できませんが、Wikipediaの「鉄」の項目の同位体のところにそれなりの説明があります。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%84
補足
有り難う御座います。 見落としの存在が分かり、非常に助かりました。
補足
詳しい説明を下さいまして、誠に有り難う御座います。 家庭のLANのセキュリティの不具合のせいで、返事が酷く遅くなり申し訳が御座いませんでした。