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化学的な「溶ける」の意味合いについて
- 化学における「溶ける」のニュアンスについて疑問があります。
- 水溶媒中での「電離」と「拡散」は「溶ける」の噛み分け例です。
- 金属イオンの系統分析において、PbCl2とAgClの「溶ける」特性が異なることを利用します。
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「溶ける」という言葉には幅があります。 「均一な分散状態が実現している」・・・これは「広い」意味での「溶ける」です。 この分散状態において溶質がどういう形で存在しているかを問題にすると意味が変わってきます。 石膏を水に溶いたとします。白いドロドロの液体が得られます。しばらく放置しても沈澱が出てくるわけではありません。「溶けた」と言います。 濾紙でろ過します。白い固体が濾紙に残ります。 白く見えるのは固体が分散していたからです。ろ液は無色透明です。 このろ液に塩化バリウム水溶液を加えます。さっと白く濁ります。 CaSO4+BaCl2⇒BaSO4↓+CaCl2 硫酸バリウムの沈澱が生じています。無色透明な水の中に濾紙を通過して来た石膏の成分が含まれていることになります。白く見えたのはCaSO4の固体です。濾紙を通り抜けたのはCa^2+とSO4^2-のイオンです。 化学で「溶ける」と言っているのはこの段階のものに対してです。「溶解度」という言葉の対象になるのもこの段階のものです。「溶解度」と「溶解度積」を関連づける時にはこの認識が前提になります。 従って、化学で「溶ける」と言っている時には「溶質を構成している基本構成粒子のレベルまでばらばらになって分散している状態が実現していること」を意味しています。 分子性物質であれば基本構成粒子は分子です。 イオン結合性物質であれば基本構成粒子は成分イオンです。 水の中に水に溶けていない固体があれば沈澱してくるはずだと普通は考えます。 しかし、固体が分散していても沈澱してこない場合があるのです。これが言葉の意味に幅が出てくる理由です。 溶解度という言葉の対象になるような「溶ける」と区別する必要があります。「コロイド」はそういう分散状態に対して使われる言葉です。 均一な溶液が濁って見えるとか、不透明であるというのはサイズの大きな粒子が分散していることを表しています。放置しても分離してこない場合は「コロイド状態」だとしていいでしょう。牛乳もマヨネーズもコロイドです。でも分散している固体のサイズが小さければ透明に見える場合があります。見ただけでは本当に溶けているのか、固体が分散しているのかが分かりません。高校の教科書には「チンダル現象」という言葉が出てきます。強い光のビーム(レーザー光線がよく使われます)をその溶液に当てると光の経路が見えるという現象です。透明なコロイドと真溶液を区別する方法として出てきます。水の中に水の10倍程度以上のサイズのものがあればチンダル現象は観察できるようです。分子のレベルまでばらばらになっているが1つの分子の大きさがチンダル現象が見える範囲にあるという例もあります。タンパク質やデンプンが溶けている場合が当てはまります。溶けているのですがコロイド粒子と同じようなふるまいをすることがあります。「分子コロイド」と呼ばれています。 透明なコロイドと不透明なコロイドの大きさの境い目は光の波長付近にあります。 グラハムのコロイドの定義には大きさの上限があります。「ろかでは分離できない」というものです。濾紙の目の大きさよりもちいさいという事です。 でも安定で均一な分散状態ということであればもっと大きなサイズのものも可能だろうと思いますのでこの定義でのコロイド状態よりも範囲が広い事になります。でも溶けているとはどういう事かについて考える時には参考になるでしょう。 これは全て高校レベルの事です。 石膏のろ過の実験は「溶けるとは」、「溶解度とは」の単元で行って来ました。
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- ORUKA1951
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溶けているということは、混合物ですが、それは不均一なものとは違います。 化学の一番最初に、混合物、純物質・・を学んだとき、抑えようが足りなかった? 水の中で、すべて電離しているわけではありません。強電解質と呼ばれる一部の物質だけで、多くはまったく電離していないもの、一部電離しています。ショ糖は電離してませんし、炭酸水や酢酸でも一部しか電離していない。 溶液中の溶質はもこのように、イオンであったり分子であったりします。そして、溶ける量も、温度に依存するものやほとんど依存しないものがあります。まあ、水分子と相性がよいものは、水分子にくるまれてよく溶けます。強酸、強塩基に由来するイオンだったり、構造に水分子に近い形を持っていたり(ショ糖やPVA)。
お礼
混合物と純物質の噛分けは十二分に出来ていると自負しております。牛乳=混合物でしたね。ただ、牛乳=混合物などは答えから、そういうものだとただ暗記しただけでした。では、乳糖ラクトースが水に散らばっているのか、あるいは組成を変えているのか、この辺を問われるとよく解らない……というのが現状です。 スクロースが水に一部しか「電離」しないのはその電離度に寄与するのはよくわかります。特に酸と塩基単元でこれについて深く学びますから… 自分なりによく解らないな、と思うのが、酸性下であれ塩基性下であれ、はたまた高温下であれ水溶液中のある化合物が、どのように反応するのが、一般に使われる「溶ける」に当たるのか、という点です。 アドバイスありがとうございました
イオン結晶は初めからイオン対ですので「溶解する」≡「電離する」です。 溶解の定義は、 「充分な時間ののち、媒体のどの部分を取ってもそこに後から加えた物質が存在する」 です。 ですから、溶けていない部分があっても溶解していることと矛盾しません。 溶液はあくまで液体で、固相と平衡関係にあっても構わないのです。 このことは固溶体の相図と対応しています。
お礼
唸りました。丁寧且つ簡潔というか、すごく勉強になりました。 独学故にすっとこどっこいな質問をしてしまうかもしれませんが、今後もアドバイス下されば有り難いです。
- coirn
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塩化鉛(II)は、熱水中で以下のように電離して溶解します。 PbCl2 → Pb^2+ + 2 Cl^-
お礼
溶解して電離する ではないのですか?
お礼
なるほど! コロイドですか。化学IIで習う内容ですね 非常に解りやすいアドバイスありがとうございました