- ベストアンサー
「あり」は動詞で「なし」は形容詞??
「あり」「ある」が動詞なのに、「なし」「ない」が形容詞なのはなぜですか?教えて下さい。
- みんなの回答 (4)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
直接の回答にならないかもしれませんが。 言葉を組み合わせて、一つの文やひとまとまりの談話が作られていくとき、そこにどんな規則性・法則性があるかを明らかにしようとする学問が「文法論」です。 「文法論」には、例えば 山田文法(山田孝雄〈やまだよしお〉の文法論)、 松下文法(松下大三郎の文法論) 橋本文法(橋本進吉の文法論) 時枝文法(時枝誠記〈ときえだもとき〉の文法論) など呼ばれているように、研究者の考え方や視点の違いに応じて、さまざまな、「文法論」があります。小学校や中学・高校で教わる、いわゆる「学校文法」は、そんなさまざまな「文法論」の中の一つにすぎないということをまずご理解ください。 さて「あり」と「なし」についてです。一般には「あり」は動詞、「なし」は形容詞と扱われますが、「あり」を形容詞の仲間と考える文法論がありますので紹介いたします。 江戸時代の国学者で、本居宣長の門人だった人に鈴木朖(すずきあきら、1764~1837年)という人がいます。この人は『言語四種論(げんぎょししゅろん)』を著して、語を以下の四種に分類しました。 1、体ノ詞(たいのことば) 2、作用ノ詞(しわざのことば) 3、形状ノ詞(ありかたのことば) 4、テニヲハ 「作用ノ詞」は、現在の用言のうち終止形がuで終わるもの、つまりラ変動詞以外の動詞です。「形状ノ詞」は、現在の用言のうち終止形がiで終わるもの、つまり現在の形容詞とラ変動詞です。鈴木朖は「あり」を形容詞の仲間と考えたわけです。 石垣謙二(1914~1947年)という人は、鈴木朖の影響を受けたのでしょう、用言を「作用性用言」と「形状性用言」に分けます(『助詞の歴史的研究』所収「作用性用言反発の法則」)。そして「形状性用言」には、「意義上からは事物の形状を表すもの」ということで、以下の語が所属します。 1、形容詞(ク活用、シク活用) 2、動詞(ラ行変格活用、見ゆ、聞こゆ、思ほゆ、侍ふ、候ふ、おはす、といふ、になる) 3、助動詞(形容詞型活用の助動詞、ラ変型活用の助動詞、き、じ、ず、む、らむ、けむ) やはり、「あり」は形容詞の仲間になっているわけです。 「形状(状態)を表す」ということで、「あり」を形容詞の仲間にするという考え方は、ある意味で合理的・魅力的な考え方だとお感じになりませんか? ちなみに「山田文法」では、「あり」をはじめとするラ変型の活用語は「存在詞」と位置付けられています。
その他の回答 (3)
- sanori
- ベストアンサー率48% (5664/11798)
あらず、ありたり、あり、あるとき、あれば、あれ =動詞・ラ行変格活用 あらない(?)、あります、ある、あるとき、あれば、あろう=動詞・ラ行五段活用 ない&なし=形容詞・ク活用 文法なんて、しょせん、すでに存在していた言葉を法則化したものですから、民衆の力で文法が事実上破壊されてる場合も多々ありますよね。「れる」「られる」なんかは、そうですよね。
- tttt23
- ベストアンサー率25% (76/303)
> 「あり」「ある」が動詞なのに、「なし」「ない」が形容詞なのはなぜですか? そうだったんですか。おもしろいですね。質問者に点数を付けられるになら 20 点差し上げていたのですが。
- solisere
- ベストアンサー率31% (34/108)
難しい質問ですね。 言葉というものは、文法にもとづいてできたのではなく、今まで使っていた言葉に規則性があることに気づいた人が、その言葉を分類したらこうなった、ということでしょうか。 つまり活用があって「し」「い」で終わるという規則を発見して、これを「形容詞」と名づけ、同じく「ウ段の音」で終わるものを「動詞」と名づけたに過ぎないのだと思います。 で、たまたま「なし(い)」が前者、「あり(る)」が後者に分類されたのでしょう。 文語文法では「あり」は「ラ行変格活用」というなんだかものものしい名前がつけられていますが、それも、「動詞」のカテゴリに分類しようとした結果「これ特殊だよね」という感じで名づけたのではないでしょうか。