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賃貸契約書の遅延による家賃支払い義務
- 賃貸契約書が遅延しているため、家賃支払いが困難になっています。
- 仲介不動産屋や管理会社の対応が不十分で、契約書の作成が進まない状況です。
- 仲介不動産屋への仲介料の返金や3業者に保障を求めることは可能でしょうか?
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結論的には、kayoko_mさんは、仲介業者に対して、勤務先から受給できなかった住宅手当相当額の損害賠償をご請求になることができる可能性が高いと考えます(ただし、事後的に勤務先に賃貸借契約書等の証明書類を提出すれば住宅手当を遡って受給できるならば、住宅手当の受給遅延期間につき、年5%の割合による遅延損害金のみご請求になることができると考えます。)。 まず、契約当事者や代理人その他の関係者に対して契約書の作成を義務づける一般的な(≒ありとあらゆる契約について適用される)法令は存在しませんから、家主や管理会社が契約書を作成しなくとも、少なくともkayoko_mさんとの関係では違法とはいい難いものと考えます。 ですから、家主や管理会社に対しては、何らの法的責任の追及もできないと考えます。 しかし、宅地建物取引業者は、建物の賃借に関し、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、当事者の氏名及び住所、当該建物を特定するために必要な表示、借賃の額並びにその支払の時期及び方法などを記載した書面を交付しなければなりません(宅地建物取引業法37条2項、1項1号、2号、4号、10号)。 この書面は、必ずしも契約書でなければならないわけではありませんが、仮に契約書そのものではなくとも、多くの事業者にあっては、契約書と同様の、従業員が住宅手当を請求する際に必要な証明書として取り扱われるものと思われます。 そして、この書面の交付義務は、建物の流通の円滑化を図るという公益のみならず、賃借人の利益の保護を計ることも目的としており(同法1条参照)、それゆえ、本件についていえば、仲介業者がkayoko_mさんに対する関係でも負う義務であると考えることができます。 したがって、このような義務を仲介業者が怠っているということは、kayoko_mさんに対する関係でも違法な行為と考えることができます。 さらに、仲介業者は、おそらく、kayoko_mさんとの交渉等の過程で、kayoko_mさんが会社員であることを認識していると思われますが、現在のわが国社会においては、多くの事業者が住居手当を請求する従業員に対して契約書等の賃貸借契約の内容を証明する文書の提出を要求していることは、いわば常識と思われます。 したがって、仲介業者は、kayoko_mさんに対する前記の書面の交付が遅滞すればkayoko_mさんが住宅手当を受給できないことを認識することができたといえますので、kayoko_mさんが住宅手当を受給できず、あるいは、その受給が遅延したことに対する損害を賠償すべきことになります(詳細なご説明は割愛させていただきますが、民法709条、416条が規定する要件に当てはまることになります。)。 なお、仲介業者に対する仲介手数料の返還請求は、これを基礎づける法律構成が特段見あたりませんので、不可能かと思われます。 また、kayoko_mさんが主張なさるべき事項は、本件賃貸借契約の成立(契約締結日時、入居日時及び家賃。これについては争いがないでしょうから、証拠すら不要となる可能性が高いでしょうが、万一この点に争いがあれば、お住まいのお部屋の不動産登記簿謄本を取得なさり、そのお部屋が大家の所有であること(つまり、kayoko_mさんは他人の所有建物にお住まいであること)の証拠となさるとよいでしょう。)と、前記の書面の交付がないために住居手当を受給できなかったこと(またはその受給が遅延したこと)のみです。 そして、必要な証拠は、kayoko_mさんが勤務先の従業員であることの証明書(例えば、社員証)と、住居手当請求手続を証明する書類(例えば、勤務先の諸手当書簡係が作成した案内パンフレットなど)くらいであり、仲介業者が前記の書面の交付をしなかったことをkayoko_mさんが立証なさる必要はありません。 手続としては、お見込みのとおり、少額訴訟が有効でしょう。 ところで、仲介業者の前記の書面の交付懈怠は、業務停止の事由ともなります(同法65条2項2号、4項2号)から、場合によっては、仲介業者の対応を都道府県の所管課にご相談になることもご検討なさってはいかがでしょうか。 もっとも、事実関係や詳細な証拠関係を、Web上のやりとりだけで完全に把握させていただくことは不可能ですから、以上のご説明も、あくまでkayoko_mさんがご質問の中でご説明になった事実関係を前提とする不確実なものにすぎません。 実際に行動を起こされる際には、必ず、各地方公共団体が実施している無料法律相談や、下記サイト内に記載されている法律相談窓口をご利用の上、弁護士などから直接、対面でアドバイスをお受けになるべきです。 また、少額訴訟の手続については、簡易裁判所の窓口でご相談になるべきです。 ご参考になれば幸いです。
お礼
お礼が大変遅くなりまして申し訳ありません。細部に渡りアドバイスを頂けて感謝しております。とても参考になりました。