>第一審(地裁)で認定された事実が虚偽と控訴審で判明した場合に、控訴(高等)裁判所は事実誤認と判断し、原審を破棄差し戻しするのでしょうか?
ケースバイケースです。原告の請求を認容する判決に対して被告が控訴したとして、控訴審の裁判所する判決として考えられるのは、次のとおりです。
一、控訴認容判決
1.自判
控訴審の判断 「契約書は偽造されたものである。契約書以外に原告の主張する事実を認定するに足りる証拠はない。第一審に差し戻して審理をするまでもなく、原告の請求に理由はなことは明らかである。」
主文 「1.原判決を取り消す。2.原告の請求を棄却する。」
2.差し戻し
控訴審の判断 「確かに契約書は偽造されたものであるから、その契約書を証拠として、A事実を認定することはできない。しかし、原告が主張していたB事実が認定できれば、一審判決の理由は間違っているが、結論(主文)は正しいことになる。原審はB事実の有無について審理をしていないので、第一審に差し戻して、B事実について審理をさせるべきである。」
主文 「1.原判決を取り消す。2.本件を何々地方裁判所に差し戻す。」
二、控訴棄却判決
控訴審の判断 「確かに契約書は偽造されたものである。しかし、その契約書以外の他の証拠によっても、原告が主張する事実は認定できる。契約書の成立を認めた原審の判決の理由に間違いはあるが、結論(主文)は正しいので、原審の判決を取り消す必要はない。」
主文 「1.本件控訴を棄却する。」
民事訴訟法
(控訴棄却)
第三百二条 控訴裁判所は、第一審判決を相当とするときは、控訴を棄却しなければならない。
2 第一審判決がその理由によれば不当である場合においても、他の理由により正当であるときは、控訴を棄却しなければならない。
(第一審判決が不当な場合の取消し)
第三百五条 控訴裁判所は、第一審判決を不当とするときは、これを取り消さなければならない。
(第一審の判決の手続が違法な場合の取消し)
第三百六条 第一審の判決の手続が法律に違反したときは、控訴裁判所は、第一審判決を取り消さなければならない。
(事件の差戻し)
第三百七条 控訴裁判所は、訴えを不適法として却下した第一審判決を取り消す場合には、事件を第一審裁判所に差し戻さなければならない。ただし、事件につき更に弁論をする必要がないときは、この限りでない。
第三百八条 前条本文に規定する場合のほか、控訴裁判所が第一審判決を取り消す場合において、事件につき更に弁論をする必要があるときは、これを第一審裁判所に差し戻すことができる。
2 第一審裁判所における訴訟手続が法律に違反したことを理由として事件を差し戻したときは、その訴訟手続は、これによって取り消されたものとみなす。
お礼
わかりやすい説明をありがとうございまた。