財産権 というのは非常に幅の広い複数ある権利をたったの一語で
ぎゅぎゅっといいくるめたものです。
憲法29条に（財産権）とどかんと記載されています。
(1)財産権は、これを侵してはならない。
(2)財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを
定める。
(3)私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひる
ことができる。
この３条です。
読んでみるとはぁ？（゜谷゜）マジやめてくださいよほんまわけわからん。
っていいたくなりますよね。
(1)は、財産権自体については何にも語っていません。ただ、
侵してはならない。とだけ明記しています。
(2)をご覧になってください。「法律でこれを定める。」と書かれて
いますよね？ここがまぁ、味噌です。
財産権は、法律で定められているのです。ここで予備知識が必
要なのですが憲法と言うのは最高規範。すなわち、法律の上位
に位置する条文です。法律をばしばし改正して憲法が変わって
しまうと、極端にいえば戦争なんてぼっこぼっこ起き始める可能性
がありますから、このように序列をつけられて
いるわけです。
ですから(1)で侵してはならない。と、憲法で定められてしまった以上、
(2)で財産権を、「法律で定める」といったものの、財産権を侵すような
法律は作ってはいけない。ということになるのです。
さて、ではその財産権というものは一体何なのでしょうか。
財産。とひとえに聞くと、資産、現金、株、有価証券、地位、
となりますでしょう。
財産権というのは、所有権であったり、債権であったりして、
その内容はまさに、「法律で、これを
定め」ているのです。
さて、では最も我々に身近な法律の一つである
民法を開いてみましょうか。
民法１６３条
所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、
かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年
を経過した後、その権利を取得する。
と書かれています。このことからも、財産権は複数あるのだ。
ということがおわかりになられるでしょう。
「所有権以外の財産権」と、法律で明記されているのですから。
物権の種類、 所有権、占有権、地上権、地役権、永小作権、入会権
留置権、先取り特権、質権、抵当権
さらに上記のそれぞれに場合が規定されています。
債権の種類、 金銭債権、損害賠償請求権（不法行為を理由とする金
銭債権）
取消権、代位権、選択債権、賃借権、解除権 等など。
順番はばらばら。そして債権は契約、不法行為、事務管理、不当利得
によって生じますから、それぞれによって異なります。何が異なるか
っていうと発生する権利の内容です。上に上げたのはほんの一例です。
物権も債権もともに財産権です。
さて、他にも財産権といわれるものは多数存在しますが、これらに
共通するものと言えば何でしょうか。例外もあるものの、やはり、権
利者その人に属する権利だということでしょう。
過去戦争により、国は総国民の財産を国へ差し出すよう強制、
食料は配給制により切りつめられることになりました。ほぼ全
体主義国家になりましたね。戦後もダムの建設による文句、空港
設置の反対等など、国民からその所有権などを国が侵害するとい
う形で、「財産権への侵害」がなされてきました。戦後の場合には
ある程度の補償はあったみたいですが、土地を空港やダムのため
に取られた人にとってはたまったもんじゃないですよね＾＾(3)の
正当な補償のもとにっていうのがこれです。どうしても侵害しなくちゃ
国民のためにならないような場合は、その取り上げられる人のこと
をちゃんと考えながらとってあげなさいよ。ということですね。
ここでも予備知識がいるのですが、憲法は国の権力を制限する
規範です。ですから、「国による財産権の侵害」を制限している
わけです。じゃあ、国以外からだといいの？それだと刑法による
犯罪として扱われますね。
窃盗罪などいい例です。
国は自分たちが正当性を持った、大義名分を握ったと判断すれ
ば国民にずかずか強制できる恐れのある強力な権力者ですから、
憲法でこのように縛ったわけです。議会でこうするよう決まったから
貴方の土地没収ね。っていわれてもね＾＾；できちゃうから怖い。
お金上げるから引っ越してね。ってね。
話は少し迂回しましたが、財産権は、権利者その人に属する権利
だということですね。
ですから、その権利は、「その人のもの」、なわけです。
だから、その権利を他の誰かに売ります上げます、というのもその人
次第で可能だということです。
土地を売ります。その土地は私のものです。つまり私の所有権
によって支配されている土地です。ですから、この土地の支配権
をあなたに売ります。つまり所有権をあなたのものにするのです。
所有権は財産権です。ひいては財産権をあなたに移転するわけです。
これをもって「財産権を移転」するということになるのです。
さて、電気料金の債権の消滅時効についてですね？
電気というのは子供のころからある場合、当然流れているもの。
と考えがちですが、実際は電力会社と契約をし、私たちは電力を供給して
もらう代わりにその基本使用料と、さらに測量使用料を支払う義務を負い、
電力会社はそれを私たちに支払うよう請求する権利を持ちます。
電力会社にとって、私達に支払うよう請求する権利、これが
債権であって、つまりは財産権となります。
一般にはこういうのを金銭支払い請求権といいますよね。
で、最近は銀行や郵便局により引き落としがされ、ほぼ強制的に
決済されるシステムになっていますね。
この現実的にはほぼ一瞬の間に権利というものが浮かんでは
消え浮かんでは消え、というようになっているわけです。
我々にはその動きを目で捉えることはできません。権利は
目に見えないものですから。
では消滅時効というのは何なのでしょうか。時効というと、
しばしば犯人が１５年間逃げ切り、犯罪が不成立となった場合に
使われます。しかしこうした言葉は民法にもございます。
なぜこのようなことが許されるのでしょうか？
まず民法の場合は、電力会社が持っている債権が、「時効によって
消滅」するから消滅時効となります。
なぜ電気料金の債権の消滅時効で「財産権の移転」という話が
出てきたのか、若干推測の域を出ませんが、普通は一定時間
電力料金の支払いをしないままでいると、その債権を行使できなく
なります。
つまり、電気料金払ってよ。といえなくなるわけですね。
時効という制度もやはり上で述べた国家の権力を制限するため、
とはまた別の存在理由を持っています。
長いこと放置されていた権利っていうのは、次第に忘れ去られる
ので、その事実状態を尊重した方がいいということ。
権利があるっていうのにそれを請求しない。つまり怠け者の
債権者を救う必要なんてないだろう。ということ。
その債権を証明する証拠なんていつまでも持ってるはずが
ないだろうから、いつでも請求できるなんてすると、お金を
払う人がいつまでもその証拠をもっていなくちゃいけなくなって
不安定な地位につく。という３点がしばしば理由としてあげられます。
時効は最低でも１年で成立します。１年もほったらかしにされてたら
ほとんどの人は忘れているでしょう。何回も継続的に支払ってる
はずの電力料金ともなればそういうこともありえます。
時効っていうものにかかわったことない人からすればえ～
私はちゃんと覚えてるよ？って人もいるかもしれませんが、
実際にやってみないとどんなもんかわかりませんよね＾＾
明細書の管理をきっちりしてればまずほとんどありえない
時効なんじゃないでしょうかね。
で、時効はその電力料金を支払ってよ。と言えるように
なった時点からスタートします。
原則は１０年です。で、先ほどいった１年の時効というのは
短期消滅時効という例外です。２年と３年、５年のもあります。
私としては１年の短期消滅時効、「消費物の代価」に当たる
ような気がするのですが勉強不足。なぜなら、刑法でもでてくる
論点「電力は物なのか？」という問題がここでもあるだろうから
です。
で、先ほど疑問に思った財産権の移転、と電気料金の債権の消滅
時効、ですが、財産権はこの場合電気料金の債権、ですから、
これを電力会社が他の誰かに渡しちゃったんでしょうな。
しかしそれをもらった人がずっと行使しなかったから
消滅時効が問題になったか
あるいは、すでに時効が成立しちゃってて、その権利せっかく売った
みたいだけど既に時効ですよ？と債務者、つまり我々がわが
言っている場面の２パターンがぱっと出てきます。
前者は普通に消滅時効かどうか。がストレートに問題になりますが、
後者は、債務者の抗弁の問題になります。
後者はちとわかりにくいですが、その債権の移転まって！消滅時効
が成立してるんですよ！と債権をもらった側に伝えずに、「ああ、あなたが
新しい債権者さんですか。」とそのまますんなり認めてしまうと、
これ以降時効が成立してる。等言えなくなります。
最後に財産権というのは一般的な用語です。しかし、私財産権持っ
てるからお金はらって。などという使い方はあまりされません。
最初にいったようにたくさんある権利の総称です。
法律を学んでたらしばしば出てきます。
長くなりましたがお分かりいただけたでしょうか。
何か疑問点がおありでしたらまたお知らせください（＾益＾）
