微分のやり方には Newton 流の極限を使う方法と Leibniz 流の無限小を使う方法があります。「限りなく0に近い」は極限の考え方です。無限小では代りに「どんな数より小さい数」みたいなものを考えます。
今、日本の学校ではほぼ例外なしに極限による方法で教えてます。しかしアメリカやヨーロッパの良い大学では、初年度くらいに無限小を使って微積を教える所が増えています。その方がわかりやすく、計算もしやすいからです。このへんについては、数学史的におもしろい盛衰がいろいろあります。
私も極限による方法では「計算はできるけど、わかった気がしない」という感想でした。大学を卒業してから無限小を使う方法を教わって、やっとわかった気がしました。それによって直観が効くようになり、いろんな計算や証明が楽になりました。特に近似が上手になった気がします。
無限小を使うと楽になる具体例を 1 つだけあげておきます。弾力性の定義を (dy/y)/(dx/x) と、dy と dx をばらして書くことができます。この意味は直観的に明確で、「x が何 % 増えると y が何 % 増えるか」です。極限による方法では dy/dx はまとめて 1 つの記号なので、こうは書けず、(x/y)(dy/dx) とか d(log y)/d(log x) とでも書くしかありません。こう書いてしまうと、式を見ただけで直観的に意味を理解できる人は、ほとんどいないでしょう。
無限小を使う方法はいろいろ知られていて、nonstandard analysis (超準解析)とか smooth infinitesimal analysis とか surreal numbers などがあります。
というわけで、たとえ話を聞くよりも、無限小を使う方法を勉強することをお勧めします。入門書は極限を使う教科書よりは圧倒的に少ないのですけど、だんだんと増えています。これ↓ なんか、いいです。
お礼
ありがとうございます。無限小を使うテキストをアマゾンで発注しました。 今の生活で必要ではないのですが、一度気になり出すととまらないもので。