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交流専用車と交直流車
交流専用車と交直流車とでは、どの程度価格が違うのでしょうか。 両方の車両を所有しているJR東日本の場合、 常磐線でまとまった数が必要な交直流車に対して、 交流専用車は東北地方でのローカル運用と数が限られますが、 あくまで電化方式以外は同条件とするとどうなるのでしょうか。
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これ、実際には「ロット数」が違うので直接的な比較は出来ないのですが、最新の新製車で車体構成とロット数が全く同じだと仮定した場合は、ほとんど誤差の範囲内(とはいえ交直流の方が高い)です。車両の価格は本体と台車、モーターに制御機器が高いので、交直流の切り替え機器の価格は、他に比べてべらぼうに高い、と言う訳ではありませんので。 ただ、交流専用にする理由は、新製価格よりメンテナンスのためです。切り替え回路は高圧接点の塊でメンテナンスが大変なので(火花が飛びまくる)、無ければ無い方がずっといいからです。
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- littledough
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今から約30年以上前までは鉄道車両のメインモーターは直流電動機しか使えませんでした。 交流モーター(主に誘導電動機)では起動時のトルクが小さく、重い鉄道車両を起動する事ができなかったのです。 なので交流電車でも日本では直流直巻電動機が使われておりました。 但し交流は電圧を変えるのが比較的容易であるため、交流電車はトランスの二次コイル側に多数のタップを出して低い電圧から高い電圧まで切り替える事が出来るようにし、その交流を直流に整流してメインモーターを回すという制御方式をとっていました。 電気の流れを簡略に示すとこんな感じです。 架線―(特高圧単相交流電気)→トランス―(低圧~中圧単相交流電気)→整流器―(低圧~中圧直流電気)→メインモーター しかし交流電車は当然交流電化区間しか走れませんので新幹線を除くとごく限られた地域でしか運用された実績がありません。 ところで近年、半導体技術が進み鉄道車両の制御回路のような大電流機器でも半導体が使えるようになってからは事情が一変。 メンテナンスフリーの誘導電動機が最近の鉄道車両のメインモーターの主流に躍り出たのです。 しかしこの場合でも50Hz/60Hzの商用周波数の交流電気では速度制御できません。直流電気を用いたVVVF(可変電圧・可変周波数)という制御機器を用いないと交流モーターで電車を起動させる事はできないのです。 今、我が国の電車の大部分は直流電車であり、そのうち近年のVVVF方式の電車は 架線―(直流電気)→VVVF制御装置―(可変電圧・可変周波数の三相交流電気)→メインモーター という、一見すると非常にめんどくさい事をやっているのです。(しかしこの方式の方が従来の直流電車より省エネかつメンテナンスが容易なのです) さらに近年の交流電車はというと、下記の通りもっととんでもない(?)のです。 架線―(特高圧単相交流電気)→トランス―(高圧単相交流電気)→整流器―(直流電気)→VVVF制御装置―(可変電圧・可変周波数の三相交流電気)→メインモーター つまり近年の交流電車とは直流電車の頭に整流器とトランスが付いているという代物ですから、どう考えても新製コストは 交直両用電車≒交流電車>直流電車 なのです。 ですから交流電車は今や絶滅危惧種? 交流電車を作るなら、いっそ交直電車を作ってしまえ、という事になり、北海道・九州など交流電化区間しかない鉄道会社や特殊な例を除いては、交流区間を走る電車でもいきおい交直電車を投入する傾向になってます。 またJR西などはかつて交流電化区間だったところを直流化したりしています。 で、車両の新製コストはこのように 交流電車>直流電車 ですが、変電設備などの地上設備は 交流電化<直流電化 ですから(電力会社が供給する電力がそもそも交流なので)、列車本数をさほど増やす見込みのない線区に限っては交流電化の方が経済的みたいなのです。 なお、新幹線はあれほどの運転本数がありながらなぜ交流電化を採用しているかというと、あのような超高速の場合は特高圧交流電気の方が架線とパンタグラフの間の集電効率が良いからです。 最後になりますがJR東の交流電車はみな秋田新幹線・山形新幹線と線路を共用する区間を走る電車だけの筈です。 これらの線区の車両はは新幹線と線路の軌間が同じで他の在来線の線区に乗り入れる事ができませんから、交直両用の車両にする必要がないのです。
- ultraCS
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交流電車も交直流電車も、日本国では、交流を直流に整流して抵抗制御や位相制御、チョッパ制御を行うか、交流→直流→三相交流と変換して三相かご形電動機を駆動するかになります(海外には単相交流電動機の使用例有り) ですから、制御関係以外では、交流電車と交直流電車では大きな違いはありませんが、交直流電車の場合、直流区間では交流→の部分をスキップして直流部に架線からの電流を取り込む必要があり、この部分の付随回路が必要になります。 また、交直流車では、交流切り替え中に直流区間に冒進(デッドセクションで交直切り替えしなかったり、地上切り替えを誤った場合も含む)して直流が初段の交流回路に流れたり、逆に直流切り替え時に交流期間に冒進して高電圧の交流が直流回路に流れないような保護回路が必要になります。 当然ですが、上記に伴う運転室機器も必要です。 実際の価格差は不明ですが、交直車が交流専用車よりかかりそうなコストは上記ですね。こういった鉄道用のパワーエレクトロニクス機器は、据置用機器と比べると動作環境(耐候性、耐振動性、耐熱性)がシビアで少量生産の為、価格が高めになります。
お礼
切り替え部分が必要なことは想像できたんですが、なるほど保護回路が必要なんですね。 ありがとうございました。
- sss457180
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つくばエクスプレス(秋葉原~つくば)は、たかだか 60km弱の路線ですが、常磐線と同じ理由のため 途中の守谷駅の先で直流/交流と双方の電化方式を取っています。 しかし、車両は秋葉原~守谷折り返し専用の直流電車と つくばまで行く交直流電車と、2種類用意しています。 このことからも、交直流電車は高価な車両だということが わかると思います。 また、単に車両コストだけでなく、2つの電化方式を持つということは それだけ保守にも手間がかかるということなのでしょう。 JR九州に引き継がれた交直流の485系特急列車も、直流機器を外して走って ました。 交直流機器はやむをえない区間だけで、他は直流、交流どちらか専用の車両と した方が、車両コストだけでなくいろいろな面で都合が良いのでしょう。
お礼
なるほど、メンテナンスですか。JR東日本が思いっきり気にしそうな部分ですね。 羽越本線の架線下DCを見るにつけ「何故、秋田支社に交直流車を持たせないんだろう」 と思ってたんですが、メンテナンスが絡むのなら納得です。