沖縄は基地の見返りに2兆4000億円を手にした
本サイトで、「沖縄県は普天間基地の辺野古移設とひきかえに国から8年間で2兆4000億円もの沖縄振興予算を手にしたのだから、基地移設を拒否するならこちらも返上すべき」との回答を見かけます。
検索してみると、池田信夫氏の同趣旨のコラムを見つけました。ネットの世界ではそれなりに常識化した言説のようです。
「基地を利用した補助金「おねだり」は沖縄の地場産業」
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2015/04/post-918.php
しかし、わたしが理解している沖縄振興予算とは以下のようなものです。
【沖縄振興予算】他の都道府県では各省庁に分かれている予算を内閣府の沖縄担当部局でまとめたもので、他県並みに国から予算を受けとりながら加算されているわけではない。
予算規模は平成27年度で3,340億円、うち沖縄振興一括交付金1,618億円、国直轄事業1,424億円。
【沖縄振興特別措置法】国土の均衡ある発展のために所与の条件から発展が阻害された地域に実施される地域振興法のひとつで、北海道や小笠原諸島に対しても同様のものがある。
2012年度に一括交付金を明記した法改正が行なわれる。
【財政移転の規模】沖縄県に対する国からの財政移転(国庫支出金と地方交付税交付金)は被災三県をのぞけば全国で14位、県民一人あたりでも6位と、特別多いわけではない。
沖縄振興予算の特殊性とは上記予算の置かれ方と、県の裁量範囲が広いこと、国の補助金率が高いことなどであり、額面そのものが特殊なのではない。
【一括交付金制度】地方自治の拡充を目的として全国の自治体に拡充される予定だったが安倍政権が廃止したため、沖縄県でのみ実施されているにすぎない。
沖縄振興特別措置法にもとづき、ソフト事業を対象とする沖縄振興特別推進交付金と、公共事業を対象とする沖縄振興公共投資交付金に区分されており、使途を定めない地方交付税交付金とは別もの。
【辺野古受け入れの見返り】当時の仲井間知事も安倍官邸も、くり返し沖縄振興予算は普天間基地の辺野古移設の見返りではないと言明している。これは沖縄振興特別措置法の趣旨からしても当然であり、逆に基地移設の条件とすることは地方自治の否定につながり、憲法違反の疑いが濃厚と指摘されている。
【基地交付金】沖縄振興予算とは無関係に、全国の基地が設置された自治体に交付されているもの。したがって、普天間基地を県外に移設するならその分は交付が停止される。
これらの点を踏まえると、ネットや池田氏の主張は的外れな言いがかりとしか言えませんが、それなりに流布しているからにはわたしが何かを見落としている、もしくは誤解している可能性があるのかと心配になりました。
この辺の事情をご存じの方がいらしたら教えていただけないでしょうか。
なお、拙問に対する批判は歓迎しますが、質問を理解しない(無視する)方はご遠慮願います。
お礼
回答ありがとうございます。 ご教示頂いた第二十三条辺りを読むと、目的や計画に関わる条項を定めており、それらの中に大都市や工業地帯という文言が含まれていないところをみると、先の「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」によって初めて大都市や工業地帯への設置を遠ざけた感があります。 もちろんご指摘の通り、各関係大臣の許可を得ることも定めているわけですから、ここでまず振り落とされるのは明確ですが。 しかしながら、第二十三条の3に定める「立案をしようとするときは、あらかじめ原子力委員会及び原子力安全委員会の意見を聴かなければならない。」 この「聴かなければならない」という実に曖昧な定めは不要にも思えます。