- ベストアンサー
忘れ草は一日しか花を咲かせないようですが,ちゃんと受粉できるのでしょう
忘れ草は一日しか花を咲かせないようですが,ちゃんと受粉できるのでしょうか。 あと忘れ草の生態に関する特徴とか知りたいです。お願いします。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
ご質問者さんはご存じと思いますが、一般の方向けに「忘れ草」と言う植物は、ノカンゾウ・ニッコウキスゲ・キスゲ(ユウスゲ)等の「わすれぐさ属」の総称です。古来歌に詠まれてきました忘れ草も同じく特定の植物を指し示したものではありません。 氷河期の残存植物と言われています「わすれぐさ属」の花は一日しか咲かない「一日花」です。ニッコウキスゲは朝咲きまして翌朝しぼみます。ユウスゲは夕方咲きまして午前中にしぼみます。わすれぐさ属の花が一日花である理由は、氷河期の寒冷気候に適応したものと考えられています。 一般に花を維持するためには花蜜等のコストが掛かります。しかし、コストを掛けて長時間花を咲かせておきますと送粉昆虫に送粉して貰い受粉の可能性が高まります。しかしながらニッコウキスゲ・キスゲ(ユウスゲ)等が生育します山岳地帯では、氷河期と同じに送粉昆虫(昼は花蜂類、夜はスズメガ類)の活動が不活発ですから必ずしもコストに見合う成果が得られないのです。そこで自家受粉といった方法を発達させまして一日花になったわけです。氷河期以降温暖な気候に適応した忘れ草は昆虫の活動も活発ですからコストに見合った受粉が約束されますので開花時間が変化してきました。 ニッコウキスゲ等の種子は、実験で採取後直ぐに幡種した場合の発芽率は決して低くないのですが、尾瀬等ではほとんど発芽状態の幼植物は見られません。大部分が無性的に増殖します。近年の鹿による食害で近い将来ニッコウキスゲによる黄色の絨毯がしかれたような中田代の景観は見られなくなるでしょう。
お礼
この花も氷河期を越した花だったとは頭になかったです。優しい花なのに力強いですね。詳しい回答ありがとうございました。