人間の記憶というのは、一体どういうものでしょうか?人間は五感の中で生きています。勿論、人によってはそれが四感や三感の場合もあるのですが、いずれにせよ、複数の情報が集まって一つの記憶を形成しています。
今までで一番美味しかったものは何かと聞かれたとき、その食べ物の味だけが浮かんでくるンじゃなくて、その食べ物の味・匂い・湯気の風景・一緒に食べた人との会話・店の雰囲気・周りの物音‥そういった関連するものが混ざって思い出されます。
さて、生れて初めて行ったチベットの奥地で懐かしさを感じたり、友人と話しているときに「おや?この会話は覚えているぞ」と感じたり、そういった現象が一般にデジャブといわれていますね。
これは、先に述べた記憶の中の一つの要因が一致、或いは、近い線にあった場合に、記憶回路が誤って連結し、本当は違う場所なのに来たことがあるように錯覚したり、別の場所の同じような場面での会話が、現在進行形のものと同じものであるように錯覚してしまうのではないかと考えられます。
もう一つの大きな原因は、刷り込み記憶とでも呼ぶものでしょう。過去に人の話しを聞いたときに頭の中に思い浮かべた風景や、テレビ・映画などで見たもの(これは、はっきりと見たものである必要はなく、あるシーンの背景として見逃してしまうくらいの映像で十分です。極端な話し、18分の1秒であるフィルムの1コマにだけ写っていて、目には見えない風景でも十分です)などが、潜在意識の中に刷り込まれていて、その風景や状況に出会ったとき、「懐かしい!」「前に来たことがある!」と感じるわけです。
また、電車の中で聞くともなく聞こえてくる他人同士の会話や、コンピュータに向かって何かしているときのBGM代りのラジオやテレビの会話なんかが、記憶の奥にしまわれてしまいます。それが、何かのキッカケで間違った記憶回路の接続をもたらし、「前と同じ話しをしている」なんて錯覚するのです。
結局は、デジャブというのは、記憶回路が誤接続して関係のないものが繋ぎ合わされた結果である場合と、本人も気付かないうちに記憶に刷り込まれた場面を思い出すこと。これら二つでほとんどの場合は説明が付くと考えられます。
補足
似たような風景の誤認ですかぁ・・・。なるほど。 確かに可能性としては大きいと思います。 私事で申し訳ないのですが、以前見たこともない風景のはずなのに「あっ、ここ知ってる気がする・・・。この先には○〇があって・・・。」などと知らないはずなのにその先のことまでわかったということがあったので、気になって気になって。 その風景というのが、普段住んでいるところからはまず見ることはないだろうと思われる林道の風景だったのです。う~ん、どこかで似たような景色でも見たことがあるのでしょうか。やっぱりちょっと不思議です。