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大学の授業で熱力学を学び始めたのですが、
大学の授業で熱力学を学び始めたのですが、 「準静的に熱量δQを加える」という文章が出てきました。 ゆっくり加熱するというのは、分かったのですが、 なぜわざわざゆっくり加熱する必要があるのかわかりません。 断熱として扱えるとか、何か考慮する必要がなくなるとか、 考える上で得をすることがあるのでしょうか? 学び始めたばかりですが、これから先が不安です。 分かる方、ご教授おねがいします。
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- jamf0421
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準静的変化とは平衡点の点綴したものです。変化の各瞬間が平衡ですので、ある点でみて、どちら向きでも行けて可逆変化になっているのです。昇温で熱源と加温されるものは温度差が限りなくゼロですし、膨張でガス自身の圧とピストンの圧の差は限りなくゼロです。そうでない有限の温度差とか圧力差で変化を起こすとエントロピー生成が起きます。よって計算をするときには可逆過程をたどらないといけないのです。 dU=dQ-PdV=TdS-PdVと書きますがこれは可逆変化のときです。dS=dQ/Tが成立するのは可逆のときでそうでないときにはdS>dQ/Tになります。つじつまを合わせるために非補正熱dQ'を考えてdS=dQ/T+dQ'/Tと考えるやりかたもあります。このときdQ'は絶対負にならないものです。dQ'/Tがエントロピー生成に当たる量です。(ここでdQ'はいわゆる熱とは異なるものです。) 不可逆過程が起こるなら dU=TdS-dQ'-PdV になります。つまり dU+PdV-TdS=-dQ'<0 ということです。(SとVが一定で自発的に変化が起こるのはdUがマイナスになる方向だとわかります。) たとえば理想気体が等温可逆膨張したとします。外部にする仕事-PdVのPは可逆過程ですから、外圧と限りなく近いのでガスそのものの圧Pが使えます。本当は内圧(ガス自身の圧)が少しは大きくないと膨張できないですが、準静的な過程では一つ一つが平衡点を考えてこれをつなげていきます。さて体積がViからVfまで広がったとすると、この過程でガスが外部にした仕事は W=-∫PdV=-RT∫(1/V)dV=-RTln(Vf/Vi)...(1) です。温度は定温で、理想気体の内部エネルギーは変化しませんから、dU=dQ-PdVより、吸収する熱は Q=RTln(Vf/Vi)...(2) です。ガスについてのエントロピー上昇はΔS=Q/Tです。 なお、このとき最終圧はPiVi=PfVfよりPf=(Vi/Vf)Piになっています。 さて、ここで外圧がはじめからPfしかなくてこれに抗しての等温膨張を考えます。このときは膨張している最中は内側のガスの圧力が有限な量外側のPfより高いです。よって膨張速度も無限にゆっくりではなく有限の速度になります。ようするに不可逆過程です。ガスが外部にした仕事は W'=-Pf(Vf-Vi)=(RT/Vf)(Vf-Vi) =-RT(1-Vi/Vf)...(3) です。そしてガスを等温を保つために吸収する熱量は Q'=RT(1-Vi/Vf)...(4) です。ln(Vf/Vi)>1-Vi/Vfとなっているから、等温不可逆膨張では外部に行った仕事量は少なく、吸熱量も少ないです。だからといってこの定圧膨張によるガスのエントロピー増大はΔS=Q'/Tではありません。不可逆過程発生に基づくエントロピー生成があるので、これが足されて結局エントロピー増大はΔS=Q/Tになります。つまりエントロピーは状態量になっていて、経路がことなっても同じ状態になれば同じ値です。 逆に言えば、状態量の変化は可逆過程で計算しなければいけないのです。ちなみに熱だめのエントロピー変化は可逆なら-Q/T、不可逆なら-Q'/Tです。結局可逆過程なら全エントロピーは増大しませんが、不可逆過程ならQ/T-Q'/Tだけエントロピーが増えます。
お礼
なるほど、エントロピー生成をさせないために「準静的」と書いてあったわけですね! 等エントロピー仮定でこの話を進められる。 投稿後、教科書を読み進めていったらエントロピーの増大とか可逆とか書いてあって、よくわからなかったところです。 「準静的」についてもわかりやすく教えていただきありがとうございます。 さらに、次に戸惑っていた単元についても教えていただけて、本当に感謝です。