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ハーゲンポワズイユの式の境界条件について教えて下さい。
お世話になります。 ハーゲンポワズイユの式の導出の過程で、 du=-ΔP/(2μL)×rdr これを解いて u=ΔP/(4μL)×(r0^2-r^2) とあります。その時に下記の境界条件を用いています。 r=r0でu=0 この意味が分りません。r0とは管の壁面ですが、何故そこでの流体の速度uが0になるのでしょうか? 壁面での流速が管摩擦により遅くなるのは分かるのですが。u=0という事は壁面では流体は移動していないという意味になり、それは実際の現象とは異なると思うのですが。流体が流れると管の壁面も濡れるので、壁面付近の流速は0ではないと思うのですが。 どなたかご教示いただけないでしょうか。よろしくお願いします。 http://chemeng.on.coocan.jp/fl/fl7.html
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誤解の無いように補足しておきますが、スリップの導入は壁近傍の流体の流れ場を添付図のように線形近似したものです。 添付図:ζがスリップ長。 x >0 が流体。x=0 が壁 赤線が現実の流体の速度を示す x >> 0 がどうなっているかは状況によって違う。 流体力学ですから、流体構成粒子の平均自由行程よりも短いスケールの分子の運動を厳密に扱えるわけがありません。ですから、「壁に接している粒子がスリップ長の分だけ動ける」というわけではありません。 スリップの概念は、壁のごく近傍の流れがどうなっているかを気にすることなく、あたかも壁近くで滑っているかのようにしてナビエストークス方程式をあつかいましょう、というものです。 > 現実にはスリップはあるので、 (中略) >モデルの問題で、境界付近は現実よ異なるが、そこ以外の領域は現実とよく一致しているという意味でしょうか? おおむねそのように理解してよいのではないでしょうか。 悪魔の証明と一緒で、スリップが無いということを証明できない。 しかし、現実の問題を説明するのには充分だったということです。 (流体力学には、他にもこういった「うまく証明できないけど、どういうわけだかうまくいく仮説」というのがあります) そもそも、ナビエストークス方程式自身がある種の近似です。粘性の小さい場合、圧縮性の強い場合、渦がたくさんある場合、よりミクロな構造を考えなければならないような場合には精度が悪くなります。
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- IrGacria
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もっともな疑問です。 流体構成粒子は壁と運動量を交換することは間違いないでしょう。だからといって、究極的に壁と接している粒子が止まっているかどうかまでは分かりません。しかし、平均自由行程よりも短いスケールの個別粒子の運動を考えてはならない、というのが流体力学の哲学です。 このジレンマのようなものを解決するのが、「スリップ」という概念であり、スリップ長という「現象論的長」さです。通常の粘性流体のポアズイユ流などを扱う場合には暗黙のうちにスリップ長を0とし、それが現実の流体を良く記述します。スリップ長が0でないなら、それは壁での流れが0なく、その流れの分だけ、流れ場が全体的にゲタを履くことになります。 流体力学のやや高度な教科書には書いてありますので、探してみてください。
お礼
ご回答ありがとうございました。 何故スリップ長さ0として、現実の流体を良く記述出来るのでしょうか??現実にはスリップはあるので、スリップなしの境界条件だと解析結果と実測値にずれが出てくると思うのですが。。 モデルの問題で、境界付近は現実よ異なるが、そこ以外の領域は現実とよく一致しているという意味でしょうか?
- Ae610
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管壁で流速が0になる・・・ という(言い方)よりも、管壁での流体の付着を仮定し、剪断応力の仮定を考慮した計算式が実験的に得られた関係と良く一致するので、管壁における流速を0としても差し支えない・・・ という程度の意味に取った方が良いのではと思う。 ただ、ハーゲン・ポアズイユの関係式は、管半径および流速が小さい場合に成り立つ式と理解している。
お礼
ご回答ありがとうございます。 上の方にも質問させて頂きましたが、管壁で流体の付着を仮定した計算結果が何故実験結果と一致するのがよく理解できません。「すべりなしの境界条件で」との記述をよく目にしますが。。 もう少し調べてみます。ありがとうございました。
お礼
丁寧な説明ありがとうございました。 分りやすかったです。これを元により理解を深められるよう勉強したいと思います。 ありがとうございました。