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ヒュッケル法とは?分子軌道の求め方とは?
- ヒュッケル法は、等核二原子分子の分子軌道を求めるための手法です。
- 等核二原子分子では、ヒュッケル法を用いて永年方程式を解くことで、分子軌道の係数を求めることができます。
- しかし、多原子分子(例:ブタジエンやアリルラジカル)では、等核二原子分子とは異なる手法が必要です。
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エチレンの永年方程式は、Caβ+Cb(α-E)=0 ではありません。 行列式の形で書くと │α-E,β│ │β,α-E│=0 が、エチレンの永年方程式です。この式を展開すると (α-E)^2 - β^2 = 0 という2次方程式になりますから、これを E について解けば E = α±β となって、分子軌道のエネルギー E が求まります。 Caβ+Cb(α-E)=0は、分子軌道のエネルギー E から分子軌道の係数 Ca, Cb を求めるのに使う式です。この式に E = α+β を代入すれば Ca/Cb=1 が得られますから、これと規格化条件から E = α+β のとき Ca=√(1/2), Cb=√(1/2) になります。Caβ+Cb(α-E)=0に E = α-β を代入すれば Ca/Cb=-1 が得られますから、これと規格化条件から E = α-β のとき Ca=√(1/2), Cb=-√(1/2) になります。 ブタジエンや、アリルラジカルなどの場合も同様に、(1)永年方程式を行列式の形で書いて、(2) 行列式を展開してから、(3) Eについて解けば、分子軌道のエネルギー E が求まります。 アリルラジカルの場合は │α-E,β,0│ │β,α-E,β│= 0 │0,β,α-E│ を展開すれば (α-E)^3 - 2(α-E)β^2 = 0 という方程式が出てくるので、この3次方程式を解くと分子軌道のエネルギー E が3つ求まります。あるエネルギーを持つ分子軌道の係数 Ca, Cb, Cc を求めるには、 Ca(α-E) + Cbβ = 0 Caβ + Cb(α-E) + Ccβ = 0 にEを代入して、規格化条件を使えばいいです。 ブタジエンの場合は │α-E,β,0,0│ │β,α-E,β,0│= 0 │0,β,α-E,β│ │0,0,β,α-E│ を展開すれば (α-E)[(α-E)^3 - 2(α-E)β^2] - β^2[(α-E)^2 - β^2] = 0 という方程式が出てくるので、この4次方程式を解くと分子軌道のエネルギー E が4つ求まります。エチレンやアリルラジカルと同じように、分子軌道のエネルギー E から分子軌道の係数 Ca, Cb, Cc,Cd を求めることもできますが、とても複雑な式になりますので、手計算でこれらの係数を求めるのは、かなり面倒な作業になります。
お礼
とても丁寧なご回答ありがとうございます!! とてもよくわかりました。今までエネルギーやら永年方程式やら軌道係数が頭の中でごちゃごちゃになっていたのですが、すっきりしました^^本当にありがとうございます。