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同素体の定義
硫黄の同素体のうち、斜方硫黄と単斜硫黄は、いずれも120度くらいでは融けますが、この状態では区別できないと思います。 この状態の物質は、どのように表現するのでしょうか。どちらの同素体とも状態が異なるのでこれも同素体のひとつとなるのでしょうか。同素体の定義がよくわかりません。教えてください。
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「同素体」を化学辞典(東京化学同人)で調べてみました。 「同じ元素の単体で互いに性質や構造の異なる物質」 と書かれています。 酸素とオゾン、灰色スズと白色スズ、ダイヤモンドと黒鉛、黄リンと赤リンが例として示されています。硫黄の例は出ていません。 森北出版の辞典には斜方硫黄、単斜硫黄の例も示されています。 「同素体」にはいくらか曖昧さがあります。 温度や圧力を変えた時に分子構造や結晶構造の変わる物質の例は多いからです。どういう違いがあれば特に同素体というのかの基準がハッキリしないのです。 多分、通常の温度、圧力条件で存在する物について言っていると思います。熱力学的にはある温度、圧力では1つの構造しか安定でないはずです。でも熱力学的に安定でなくても寿命が長ければ安定に存在しているとみなしてもいいだろうと考えます。常温、常圧ではダイヤモンドは熱力学的には安定ではないはずです。単斜硫黄は数週間で斜方硫黄に変わるということですからダイヤモンドに比べると極端に寿命が短いです。 硫黄は常温で固体です。固体で結晶構造の異なるものが常温で存在すれば同素体であると考えます。融解状態の硫黄、気体状態の硫黄を同素体とはしていないはずです。 硫黄の同素体には斜方硫黄と単斜硫黄があります。「斜方」や「単斜」という言葉の意味は高校化学では扱わないものです。単なる言葉の暗記物にしかなりません。 実験では結晶形の違いを見ます。 菱形の結晶と針状結晶との違いを見てもどちらが単斜で、どちらが斜方でなんて分かるはずもありません。高校生のレベルで分かるのは黄色の硫黄とゴム状硫黄の違いぐらいです。 (単斜硫黄にはβ型とγ型があるそうです。通常、単斜硫黄と言うとβ型だそうです。でも実験でよく見る針状結晶はγ型だという事ですから混乱します。) 硫黄の同素体は実験でやりやすいという意味で出てくるのでしょうが、試験に出るような取り扱いにするというのはあまり勧められないものだろうと考えます。 異なる結晶形を取りうるということだけを見せればいいのです。名前は必要ありません。A型、B型でもいいのです。
補足
詳しい説明ありがとうございます. 結晶構造の違いを区別して同素体と定義するのなら,液状と固体状も区別してもよいのではないかと思っていました.