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大腸菌operon(オペロン)について
あるウィルスのDNAに大腸菌オペロンのDNAが400bpぐらいマッチングしました。こういう場合、このウィルスは大腸菌と関係していると考えられますか。GC%が大腸菌と一致していたら大腸菌をもとにしたものと考えてもいいでしょうか。
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大腸菌の配列とウイルスの配列を比べて見ましたが、 少なくとも、現時点でNCBIからダウンロードしたデータでは そのように100%一致する領域は見当たりませんでした。 (SARSの配列にヒットしたのは、類縁のウイルスのみでした。) ただし、大腸菌のご指摘の領域には、ISという、移動性因子が 含まれていることが分かりました。 そこで、この領域に一致する配列をデータベースで検索 したところ、大腸菌以外に、ヒトやイネなどの配列と されているもののいくつかにもヒットしました。 これは、おそらく、ヒトやイネなどの塩基配列を決定する操作において、 一旦大腸菌でそのDNAを増やす過程において、ISが大腸菌の ゲノムから飛び出して、ヒトやイネのDNAを載せたプラスミドに 飛び込んでしまったためであると思われます。 したがって、これらの現象は、あくまで、配列決定操作上の 誤りであり、ヒトやイネがそのような配列のDNAを持っているという ことではないでしょう。 >それで仮説ですが、大腸菌にバイオ操作でウィルスを感染させて利用するような技術はありますか?そうすれば大腸菌のDNAや部分的な機能が含まれたりするのではないでしょうか。 つまり、上記の様に、大腸菌にウイルスを感染させたという わけではなく、ウイルスのゲノムDNA配列を決定するにあたり、 その一部分ごとにしたウイルスゲノムDNAを大腸菌内で 増幅させた際に生じた混入と見るのが妥当でしょう。 (もし、どこかの時点で取得して来たウイルスの配列に 大腸菌の配列が含まれていたとした場合) ちなみに、動物に感染するウイルスを大腸菌に感染させることはできません。 大腸菌に感染するウイルスの仲間もいますが、それは、 バクテリオファージと言われるものであり、ヒトなどの 動物に感染するものとは全く違うものです。 鳥にしか感染しないはずのウイルスがヒトに感染するように なってしまうという様なレベルの違いではないのです。
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- blackdragon
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>「ウイルスのDNA配列を決めたときの試料、配列情報の統合、データベースへのアップロード、」……データはすべてNCBIによります。向こうの問題でしょうか。 考えにくいですが、そうかも知れませんね。 >「あなたがダウンロードしてからマッチングを解析するまでの過程のいずれかにおいて、大腸菌の配列が混入したと考えるのが最も妥当でしょう。」……これはないです。純粋にNCBIのデータだけを使っています。 そのつもりが、解析の仕方や、データの取扱中の思わぬミスで ということも意外に多いものです。この場合、自分では どこで間違いが生じたかを見付けるのは難しいことが多いでしょう。 ダウンロードする際に、データベースの形式によっては、 配列以外の情報も含んでいることもありますので、 その部分が一致しているとも考えられます。 配列そのものを操作したいなら、FASTA形式で表示させて、 ">"で始まるコメント行を除いた部分を使うのが最も簡単 だと思います。 >オペロンは最大700bpマッチングし、他の個所にも長いのがあります。それから、別のウィルスで10000bp以上マッチングするものがありました。しかもSARSウィルスの巨大な構造の半分以上を占めています。どうです? マッチと言うのは、その領域で100%一致なのでしょうか? だとすると、よほど近縁種でない限り、そのように長い範囲で 一致することは考えにくいです。 大腸菌のオペロンの名前かウイルスの名前(分離株名も)が 分かれば、こちらでチェックすることも可能ですが。 例えば、大腸菌のlac operonとか、SARS coronavirus isolate SIN2774 などの情報です。 こちらで、いくつかのSARSウイルスについて相同性検索 してみた結果では、そのような領域は見付かりませんでしたが。
補足
今回使った大腸菌オペロンは以下です AJ515252 Escherichia coli microcin operon, strain CA58 gi|30387005|emb|AJ515252.1|ECO515252[30387005 比較もとのSARSコロナウィルスは AY278741 SARS coronavirus Urbani, complete genome gi|30027617|gb|AY278741.1|[30027617] です。マッチというのは領域でずばり100%でした。 それで仮説ですが、大腸菌にバイオ操作でウィルスを感染させて利用するような技術はありますか?そうすれば大腸菌のDNAや部分的な機能が含まれたりするのではないでしょうか。
- blackdragon
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ウイルスのDNA配列を決めたときの試料、配列情報の統合、 データベースへのアップロード、あなたがダウンロードして からマッチングを解析するまでの過程のいずれかにおいて、 大腸菌の配列が混入したと考えるのが最も妥当でしょう。 ウイルスのゲノムDNA中に、大腸菌の配列が取り込まれる可能性が 皆無なわけではありませんが、かなり考えにくいので。 DNAの配列を決める作業には、大腸菌内でDNAを増幅する過程が 含まれることが多いため、大腸菌のDNA配列が混入してしまう ことは、さほどまれではありません。 ただし、大抵の場合、配列を公表する前には、どんな配列と 一致するかの解析がされていますので、その段階で気づいて 取り除かれます。 (もしくは、混入でないことがチェックされれば、そのことを 含めて報告しているでしょう。) ちなみに、ウイルスと大腸菌は全く別の生き物ですので、 大腸菌から取り込まれたDNAの遺伝子情報が、いきなりそのまま ウイルスで機能している可能性は極めて低いです。 (特に、その400bpの一致が、完全一致であれば) ウイルスの配列と、大腸菌の配列をそれぞれ新たに入手しなおして、 もう一度それを使って解析しなおしてみることを、まず お勧めします。
補足
「ウイルスのDNA配列を決めたときの試料、配列情報の統合、データベースへのアップロード、」……データはすべてNCBIによります。向こうの問題でしょうか。 「あなたがダウンロードしてからマッチングを解析するまでの過程のいずれかにおいて、大腸菌の配列が混入したと考えるのが最も妥当でしょう。」……これはないです。純粋にNCBIのデータだけを使っています。 オペロンは最大700bpマッチングし、他の個所にも長いのがあります。それから、別のウィルスで10000bp以上マッチングするものがありました。しかもSARSウィルスの巨大な構造の半分以上を占めています。どうです?
補足
なるほど、DNA解析の際の培養でそういうことが起きてしまうんですね。すると、やはりたんぱく質レベルの大きな組織で比較検討したほうがいいとなるわけですか?それからGC含有率で見たらそのウィルスが同じ種族と見れるのでしょうか?GC含有率の計算方法はそのDNAのGとCの数の総和を全塩基数(GCATの数)で割ればいいのですか?どうも分子生物学のテキスト(今入手できたのは「David Freifelderの分子生物学の基礎」東京化学同人)ですが計算方法まで書いていないので。)あと、オペロンの件は私のデータミスがわかりました。SARSウィルスとデータを混ざっていました(今他のデータもやりなおしています。おかげで結果は違いました。スミマセン!)