モーターを電池には接続せずに、豆電球につなぎ、軸を手で回してやると豆電球が点灯すると思います。モーターはそのまま発電機になるのです。
次に、モータを単体で(豆電球はナシで)電池につなげば、モータとして軸が回転を始めます。先程、【手で】軸を回した時には豆電球を光らせるほどに発電したこの機械は、実は【電気で】軸を回しても発電します。これが先の方々の解答中にある「逆起電力」です。この逆起電力、エネルギーとしては供給された電源を上回ることはありません。また名前の通り電源とは逆の極性で発電される為に、モータ内部に電流を流さないようにしようとする方向に作用します。
最初に、モータが停止している状態では、モータの中身はただコイル状に巻いてあるだけの長い銅線ですから抵抗分は微小で、かつ軸停止ですから電源に逆らう逆起電力も発生していません。ここへ電池をつなぐと瞬間に大きな電流が流れます(オームの法則により)。電流が流れるとフレミングの左手やらナンダカンダで軸が回転を始めます。すると今度はフレミングの右手やらで逆起電力が発生し、電源に逆らい電流を抑えにかかります。逆らいきれず回されながら逆起電力を発生させながら、モータは回転速度を安定させます。文章にすると長いですが、これが一瞬のうちに行われるのです。
さて、モータは最初の一瞬だけ大きな電流が流れます。この大電流で、停止していた軸が回転を始めるのです。回っている軸を回し続けるのに大きな力は必要ありませんが、停まっている軸を回し始めるのには大きな力が必要です。
ここで、直列に豆電球がつながっていると、これが電流制限器になってモータを回し始めるだけの大電流を流せません。豆電球の抵抗はモータのそれよりずっと大きいのです。さらに、豆電球のフィラメントは発光発熱すると抵抗値が大きくなります。ますます電流は流れにくくなります。
それだけでは有りません。モータ単体でなら電池の電圧は全てモータだけに与えられましたが、直列に豆電球がつないであると電池の電圧をモータと豆電球とで分けあう事になります。分け前は互いの【抵抗値の比】で決まるので、豆電球よりもずっと小さい抵抗値しかないモータにはわずかな電圧しかかかりません。
電圧はかからない、電流も足らない、ではモータは回り出しようもありません。「コイル状に巻かれた、単なる長い銅線」として、豆電球が光るに足るだけの電流を細々と流し続けるだけ、と云うことになります。
以上、小学校高学年向け。電気科の学生がレポートにこの文を参照すると、教師の失笑を買うでしょう。専門的なところは、先の方々の解答にある通りです。お子様への説明の一助になれば幸いです。
お礼
実は仕事柄、数kW程度の自給ポンプを使った試験をしていて、それに当てはめてみると、ブレーカーの選定の際、「定常電流値」「起動電流値」というのがあったことを思い出しました。 ・オームの法則 ・豆電球の抵抗値が大きい ・モーターの起動電流 を整理して考えれば理解できたんだなあと思いました。 ありがとうございました。