- ベストアンサー
閲覧制限と公開
訴訟記録は通常は公開されますが、それは何故ですか?どのような目的があるのでしょうか? また閲覧制限がかけられる場合の私生活上の秘密とはいわゆるプライバシーのことですか?
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
前段について #1のとおり,憲法82条の精神の徹底が目的です。 同条の目的はご存じかと思いますが,歴史的に絶対王政の時代のヨーロッパでは,裁判は密室で行われるのが通常だったため裁判の内容や手続が外部には全く分からなくなりました。裁判が本当に証拠に基づいて公正に行われたのかという点について疑いが生じることにもつながり,この密室裁判に対する反省から,フランス革命の後に,裁判を公開するという原則が確立したと言われ,裁判を公開し,国民が自由に傍聴できるようにすることによって,裁判の手続を国民が監視できるようにして,裁判の公正を保ち,裁判そのものに対する国民の信頼を確保することが,裁判を公開の法廷で行う目的とされます。 そして訴訟記録は当事者の提出するものと裁判所が作成するものからなりますが,進行に関する期日の調書や証人等の調書は公証官たる書記官が作成するところ,せっかく公開された内容と異なる調書が記録として残ってしまうと公開の趣旨が没却しかねないことにも繋がります。とくに裁判が長期化し,裁判官の交替があったりしますと訴訟記録が絶対的なものとして作用しますからことは重大です。このようなことが記録の公開の目的となります。 しかし,裁判ではプライバシー等の問題を多かれ少なかれもっていますから,裁判という国の作用の監視目的との兼ね合いでどちらに重きを置くかというのは,とりわけ記録の公開については,立法施策の問題として理解されています。 後段について #1のとおりです。さらに付加しますと,とりわけ刑事手続の一環としての少年事件においては,少年自身の更生という可塑性が高いことから取扱が異なっておりますが,近時メディアで論争になっているところです。 また,プライバシーというのは極めて多義的な意味合いを持ちますから,あまりこの点を強調しすぎると訴訟制度が成り立ち得なくなりかねません。このため,とりわけ重大な秘密に関するもの,即ち,当事者が社会生活を営む上で支障を生じる程度のものとして理解されるべきものとなります。
その他の回答 (1)
- lubeck
- ベストアンサー率62% (10/16)
1 民事訴訟については、民事訴訟法91条に訴訟記録の閲覧が規定され、刑事訴訟については、刑事訴訟法53条(そしてこれを受けて刑事確定訴訟記録法)に訴訟記録の閲覧が規定されていますが、訴訟記録が公開されるのは、本来的には、憲法82条の保障する「裁判の公開」を事後的に担保する趣旨だと思われます。 2 民事訴訟記録でも刑事訴訟記録でも、閲覧が制限される場合が規定されていますが(民事訴訟法92条、刑事確定訴訟記録法4条)、民事では、いわゆるプライバシーのほかに営業秘密もありますし、刑事では関係者のプライバシーのほかに犯罪者の更生・改善の妨げになる場合などには、閲覧が制限されます。
お礼
ありがとうございました。
お礼
ありがとうございました。 裁判ではプライバシーは余り守られていないんですね。 プライバシーという観念は法律上も、憲法上も根拠が不明確で有りながら、現代人は非常に大切にしていると思います。 個人的には、プライバシーにもっと配慮した裁判のあり方が検討されたらと思います。