歌舞伎に将来はあるのか?
先日、市川團十郎さんが亡くなられた時にNHK教育の追悼番組で、團十郎主演の「勧進帳」と「暫」を見ました。
勧進帳は字幕入りでしたので、役者のセリフや長唄の内容もよく分かり、話の筋もよく分かりました。
一方の暫の方字幕がなかったので、セリフや長唄の内容が全く分からなかったし、肝心の話の筋も何となくですが、悪党共が善人を処刑?しようとした所に主人公が「しばらく、しばらく」と割って入り悪党共を懲らしめる様な話かなぁと言った程度にしか分かりませんでした。
字幕がなければセリフも筋もほとんど理解出来ません。自分が関西人のせいもあるかも知れませんが、江戸言葉が聞き取れませんでした。勿論大筋では意味は分かるのですが…。
劇の背景に流れる長唄に至っては最後まで全く分かりませんでした。(上方歌舞伎の浄瑠璃もそうですけど)
今はHDDレコーダーという便利な物があるので、聞き取れなかったところを繰り返し再生が出来ますが、仮に歌舞伎座のような場所で初めて鑑賞する場合、劇の流れや登場人物を事前に勉強しておかねば、楽しめないのではと思います。
歌舞伎の場合、有名な歌舞伎十八番を始め多くの演目が江戸時代の作品でセリフもその当時の言葉遣いそのまま。
あと50年もすれば、ほんの一握りの日本人しか理解できない劇にならないか心配です。
また暫の主役の大仰な衣装や大刀一閃で悪党共の首が跳びはねるところなど、特撮やSFXのない江戸時代なら驚愕を持って喝采を浴びたかも知れませんが、現在では子どもだまし過ぎて笑ってしまいそうになりました。
また、歌舞伎公演の入場料を見たのですが、最低でも5000円くらい、高い席は3万円近くします。
同じ頃に発生したと思われる人形浄瑠璃は国や自治体から補助金を貰って、辛うじて続いていますが、歌舞伎も現在既に大衆の娯楽とは言い難いと思います。
果たして歌舞伎に将来はあるのでしょうか?
先日の勘三郎追悼番組の折にも質問しましたが、その時は若手が育っているので安泰、歌舞伎は日本の文化なのだから先に筋などをあらかた勉強してから見るもの、料金が高くても見る人がいるのだから将来的にも心配はない等々の回答をいただきました。
はたして本当にそうでしょうか?今の日本語と相当かけ離れたセリフと筋を事前に勉強し、安い席でも映画の数倍、高い席になると20倍近い額を払ってまで…何となくですが、50年もしないうちに絶滅までは行かないけれども、人形浄瑠璃のように税金から補助金を貰って観客は団体の小中学生が教育の一環として強制的に鑑賞させられる…これは杞憂でしょうか?
歌舞伎は初心者です。歌舞伎の将来のことを考えると分からないのですぐに涙が出ます(ほぼ毎日)。
始めの30分位は歌舞伎の将来のことを思い出して泣いているのですが(酷い時は過呼吸も併発します)気が付くと凄く悲しい気持ちになり1-2時間位泣いています。
その間、何も手に付かず、何も考えられません。 悲しい感情を全くセーブ出来ないのです
頭の中は真っ白で、何が悲しいのかわからないけど、悲しくて涙が溢れてきます。泣いている間は自分じゃないみたいです。