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毛管現象、大木、永久機関
3題噺です。毛(細)管現象はポンプよりも強力(揚程が10m以上)だと理解しています。これは10メートルを超える(外国では50m以上)大木が珍しくない(梢の葉まで毛管現象で水を送る)ことで証明できます。 葉から蒸発する水を露結させて大量に集め、落差を利用するという原理の永久機関はなぜ作れないのでしょうか。それとも上記のどこかに原理的な間違いがあるのでしょうか。
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毛細管現象で液が上がるには限界があります。管を完全にぬらす水が細い管では界面が曲面を作ることが圧力差の原因になります。だから大木であろうがなんだろうが、どこかに液と大気の曲面状の界面が現実になければ圧力差でません。凸側と凹側の圧力差はよく知られた式 P0-P=2σ/r で表されます。P0が大気圧、Pが液(水)の圧、σが水の表面張力、rが管の半径です。Pが小さい圧になる故に下の水だめの液面を大気圧でおす力が勝って上に上がるだけです。rが小さくなってもPがマイナスになれるわけではありません。水のσは室温でおよそ73x0^(-3)N/mです。r=1.44x10^(-6)m=1.44μmになればP=0になりこれ以上の圧力差はでません。そして水柱は理想的な場合でも10mどまりです。(上げる力は下の水だめを大気が押す力だからです。) さらに毛細管現象で水が上がるとして毛細管を10mよりも手前で先端を曲げて出口を下向きにしても液面は水側に向かって凸ですから落ちてきません。 大木が10m以上水を揚げられるのは浸透圧が効いているはずです。 ところで浸透圧の方はU字管の実験で半透膜を挟んだ実験の絵がよく書いてあります。溶液の濃い方の溶媒の化学ポテンシャルの不足により、半透膜があれば濃度の薄い方から濃い方へ溶媒が移動する現象です。濃い方の溶媒の化学ポテンシャルを上げて溶媒とつりあわせて平衡にする要因は、溶媒の流れ込みによる希釈と、液体そのものの増による水柱の高さによる圧力増です。ここで濃い方側の溶液の管を短くすれば溶媒が溢れてくるでしょうが、一時のことで溶液がうすくなればとまります。 自然に蒸発した水の位置エネルギーを使うという意味でしたら面倒なことを考えずとも、もう使われています。海の水が太陽エネルギーで蒸発し、その後凝結して雨として陸の高いところに降って、これのポテンシャルエネルギーは仕えます。すなわち水力発電です。これは太陽エネルギーがエネルギー源です。
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- jamf0421
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>うまくこの現象を応用して人工的な根で常時10気圧くらいに >保てば、100メートルの揚程が稼げるのではないでしょうか。 浸透圧自身は結構な圧力になります。たとえば273Kの温度のショ糖の水溶液で0.53 mol/Lで14.2気圧、0.87 mol/Lで26.8気圧の測定例があります。だから細胞膜を半透膜的に使って水を高いところまで上げることができます。 そしてその水は植物の呼吸の時一部は排出されるかも知れません。(その分また浸透圧で下から上がってきます。)しかし排出は水蒸気であって、もし水にしようと思ったら冷却板でも使って凝結させなければならないはずです。 なお水が上がる過程はエネルギー保存則を破って上がっているものではありません。
お礼
ご回答ありがとうございました。参考になりました。
補足
>浸透圧自身は結構な圧力になります。たとえば273Kの温度のショ糖の水溶液で0.53 mol/Lで14.2気圧、0.87 mol/Lで26.8気圧の測定例があります。 おお、素晴らしい実績があるのですね。うまくこのようなことを応用すれば200m以上の高さに水を揚げることが出来、そこから蒸発する水をガラス板のようなもので露けつさせ、一挙に落として発電する。またその水を循環させる---。 これが永久機関ではないと承知していますが、例えば太陽の光と熱の援護でこれが大規模に行えるのなら太陽発電にも劣らないコスト比で将来の代替エネルギーに加えられるかもとか夢想しています。
- isa-98
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太陽定数は1366W/m^2です。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%AE%9A%E6%95%B0 葉の総面積を1m^2と置いて、1KW(エアコン1台分)が賄えます。 エントロピーの法則では、 仕事を全て熱に変える事は叶うが、熱を全て仕事に変える事は叶わないとなります。 つまり、反射、通過するエネルギー+葉を加熱するエネルギーと気化熱に変換するエネルギーに大別されます。 熱効率を都合良く50%に置くと太陽電池効率の2倍となります。 1m^2辺り約600Wは約150カロリーに変換されます。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%83%BC http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB 水温を15度とし、気化点を25度とすると 15gを気化できます。 しかし、この理想的な効率は、コップを実験すれば破綻する事が知れています。 エネルギーが通過するからです。 >葉から蒸発する水 これなら熱効率が50%を超えるかもしれません。^^ 頑張りましょう。
補足
見事な理論化で私の思いつきのシステムに一点の希望の灯を点してくださいました。 ありがとうございました。 大木とは案外(つうーか案の定?)高効率の機械なんですね。
毛細管と永久機関といえば「ボイルのフラスコ」が想起されます。今回の「三台噺」も、つきつめれば同じことで、大木という生物から離れてモデルを構築してみましょう。 ポンプより強力な毛細管が産業界でなぜ使われないかというと、重力に逆らって上昇した液体を毛細管から出すのにエネルギーが必要だからです。今回の場合、大木の葉から蒸発する液体を結露という形で集めることになっていますね。液体の蒸発に必要なエネルギー源は周囲環境の熱です。というわけで、このモデルは永久機関ではありません
お礼
早々のご回答ありがとうございました。
補足
確かに、これは自足したかたちのシステムではないですね。ま、その点では百歩譲るとして、わずかな太陽の光と熱で大木がそういった営みをしているように、コスト比で良い結果が得られるような気がしたもので、提案した次第です。大木の代わりに巨大な雑巾を使う手もありますし、雑巾から水分を蒸発させるのに太陽の熱が利用できれば、大きな揚程はまるまる効率に寄与しないでしょうか?
- nemoax006
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>蒸発する水を露結させて 露結させるエネルギーはどこから手に入れるのか?
お礼
早々のご回答ありがとうございました。
補足
>露結させるエネルギーはどこから手に入れるのか? そうですね。厳密に言えば永久機関ではないですね。 砂漠で水を得るのに砂の上にガラス板を置くという例を考えていました。コスト比で意味があれば実用になるのではと思っていましたので。
- ESE_SE
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問題はその大木の生存を維持したまま敷設・運用コストに見合った利得が得られるかどうかだと思われます。 大木が水を吸い上げるのは単に毛細管現象だけではなく、根の細胞が水を吸収する→枝葉の細胞が水を発散しつつ吸い上げるという工程が植物の生命活動であるからではないでしょうか。・・・物理学については門外漢なので断定は出来ませんが。 そうなると、大木の生命維持を阻害することなく大木の発する水蒸気を吸着して落差をエネルギー化できるよう集約する・・・ 原理的に不可能ではないでしょうが、それでどの程度の水量が確保できてどの程度エネルギーに変換できるか、これに対する費用対効果を考慮する必要があると思います。
お礼
すみません。大木の水分を吸い上げる原理について、もう少し調べて見ます。早々のご回答ありがとうございました。
補足
大木を出したのは、毛管現象の実例をあげただけだったので、大木そのものを利用するつもりはありませんでした。 >費用対効果を考慮する必要があると思います。 そうですね。原理的にうまくいったとして、コスト比が莫大なら意味がないとも言えます。湖の水面に伐採した大木の幹を束ねて数百本立て、その上に斜めにしたガラス板で覆って露結する水滴を集めればどのくらいの循環量になるだろうとか想像しています。
補足
そうなんですか。毛管現象は10メートルが限度ですか。でも根の浸透圧というものが望みの綱なんですね。うまくこの現象を応用して人工的な根で常時10気圧くらいに保てば、100メートルの揚程が稼げるのではないでしょうか。 >自然に蒸発した水の位置エネルギーを使うという意味でしたら面倒なことを考えずとも、もう使われています。海の水が太陽エネルギーで蒸発し 人間の先達である自然の力が凄い事は承知しています。でも人間はもっとすごいことを、風力やわずかな光の電気化学的な変位をこつこつ積み重ねて次世代エネルギーを作ろうともしています。この線何とかならないものでしょうかね。