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天文学教育の目的とは?
- 天文学におけるニュートン力学の実際の計算への適用性についての疑問を持つ質問です。
- ニュートンの理論式が正確に天文学の計算に使用できないケースが多いことや、水星の近日点移動の証明における観測データとの差異などが問題となっていることが話題です。
- 一般相対論の検証が難しいため、天文学におけるニュートン力学の限界や改善点に関しての情報の提供を求めています。
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>「そのまま使えない」とはどういう意味でしょう。 水星は他の惑星同様楕円軌道を描きますますが、 太陽に最も接近する場所が少しづつ移動して行きます。 これを水星の近日点移動と言います。 重力は距離の2乗に反比例するというだけの ニュートンの理論では、楕円の軌道が計算で出てきても それが移動していく結果がでません。 当然観測結果とは大きく違ってしまいます。相対性理論 に出てくる時間軸方向への空間の歪みの効果が式の中にないためです。 水星の近日点移動については、比較的簡単に 概略が書いてある本がちょっと思いつきませんが、 とりあえず 「アインシュタイン全集(選集?) 第2または3巻」 また火星や木星といった惑星探査をする無人探査機の コース計算には相対性理論による補正式を用いて いることが以下の読み物に出てきます。 ニュートンの理論式だと特に月の外側に探査機を 飛ばす場合にコースのズレが大きすぎることが 書いてあったと思います。 「ボイジャーと共に生きる」 >「そのまま使えない」とはどういう意味でしょう。 摂動論でしょうか、それとも理論と観測とを合わせるには 複雑な座標変換が必要とかいう意味ですか? ニュートンの重力理論の式に元ずき、惑星の 軌道をコンピュータで描かせたとしましょう。 そこに天文台の観測データに基づく軌道を 重ねると、一致しないという意味です。 >これは私も良く知りませんが、(ほとんど)2体問題ではないのでしょうか? 先の回答にも書きましたがハレー自身の業績はよく知らないのですが、 ハレーがニュートンの崇拝者であったことは確かなようですから 彗星の周期計算にもニュートンの理論をもろに使ったと思われます。 ポアンカレの3体問題の関連もあるでしょうが、それはニュートン力学 理解の仕方、計算上の注意点のようなものです。3体問題は、ニュートン の式の解が非常に複雑になることを示唆しているのであり、理論そのものを 否定していません。 しかし相対性理論の登場で事態が変わりました。相対性理論は光速の理論との 理解のほうが大きい思いますが、ニュートン力学とは全く違った重力の 記述方法です。 >>(月の運動について)やはりニュートンの式が不完全で >そこから現在まで改善はされていないのです。 ぜひ参考文献をお願いします。 読み物として 1)「専制君主ニュートン」 2)「ニュートンに消された男 ロバートフック」 などがあります。 1)のほうには王立天文台の観測データが書物として出版されるとき 編集長だったエドモンド・ハレーがデータをニュートンの理論に 合うよう改ざんした内容が書かれています。 また 2)のほうは洋書の翻訳で、王立学会の話などを交えながら 幅広視点で語られています。 距離の2乗に反比例するといったアイディアでフックのから 大きな影響を受けながら、それを自らの業績とするため フックの書物の出版を妨害するなど、かなり悪どい手口を 使っていたことが紹介されています。 また題名を思い出せませんが、ニュートンの書物プリンキピアの 改訂履歴を追った本もあり、ニュートンが真実を暴かれないよう かなり策をねっていた形跡が伺えます。 問題の月の軌道計算については、第3版で削除されました。 >一般相対論の検証は非常に難しいのでこの程度の誤差なら問題ないのでは? 相対性理論の検証は今でも続いているようで、どの程度実験値と合うのか といった問題は今でも問題です。数年前ロジャー・ペンローズ(ホーキング の先生)が日本に来たとき、当時の検証進行状況を語っていたとネットで読みました。 またこの相対性理論と観測値の差について、10年ほどまえ、 太陽の形状を考慮しなかったためではないかとの仮説を立て 研究している学者がいると聞いたことがります。 とりあえずこんなところで・・・ なお記憶に頼って書いているので、書籍の題名など 不正確でしたら悪しからず。
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- hatman34
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#7 の hatman34 です >>王立天文台の天体観測データと、ニュートンの月の >軌道の計算結果が合わなかった >理由がニュートン力学の不正確さだというのはどう考えても納得出来ません。 >私の意見では、 >2.当時の観測技術の限界 >または、 >5.当時の摂動論が未発達だった。 >なんですけど。 そうですね。私もそんな気がします。 そうでないとしたら、もう少し定量的な説明がほしいですね。 当時の観測結果を、現在見直してみて、 (1)ニュートン力学 (2)特殊相対論 (3)一般相対論 で見直してみて、 「観測精度+数値計算精度」による誤差より(2)や(3)の方が支配的要因と分かれば、「ニュートンは自分の力学にこだわりすぎて、相対論のきっかけとなる観測結果を見落とした」といえることになります。マイケルソン・モーレイの実験を待たなくても、特殊相対論のヒントになったかも。ちょっと考えにくいですね。
お礼
No.6へのお礼にも書きましたが、 「自然は近代まではなかなか教育的であった。 もしも、極端に光速が小さかったり、プランク定数が大きかったりしたら、 物理学の発展はありえなかったであろう。」 は実は間違いで、 物理の研究に必要なのは、現実の捨象能力ということになりますよね。 誤差を誤差だといいきる大胆さでもいいです。 科学史に詳しい方はいないんでしょうか。
補足
「専制君主ニュートン」読みました。 やっぱり、月の軌道理論の不正確さは 5.摂動論が未発達 に帰せられるようです。 長い間お付き合いいただきありがとうございました。
- hatman34
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すごく興味ある話題なんで、参加させてください。 ibm_111さんに 感謝! 最初に apple-man さんの回答を拝見して「なんてアホなことを言ってるんだろう」と思ってしまいました。 >>>暗黙のうちに信じていることだと思うのです。 >と書きましたが、そう信じるよう高校までの授業が作られていると思うのです。 確かに私もそのように思い込んでいました。でも、今では「大変な勘違いをしていたんじゃないかな」と思い始めています。そんな 前提で下記回答(もどき)を記します。 是非、ご批判ください。 (ニュートン力学、特殊相対論は数学的にも理解しているつもりです。一般相対論については考え方をある程度理解しているつもりです。) 【惑星探査などの現状の宇宙開発関係の計算はニュートン力学で可能か?】 No だと思います(考えが変わりました) 特殊相対論では、速度0の質量m(0)の物体が速度vになると質量m(v)は m(v) = m(0)/root(1 - (v / c)2) となりますよね。 例えば、地球の公転スピードは30km/秒で、光速cの約1万分の1ですから、質量は約1万分の1程度大きくなりますよね。1万分の1という精度はエンジニアリングの世界では無視できない大きさですね。観測精度は2桁以上高いでしょうから。したがって、惑星間飛行のような計算では、十分差が出てくると思います。 -->したがって、答えはNoです。 但し、実際の飛行では、燃料コントロール他の誤差要因の方が大きくて、それら誤差を吸収するためにフィードバック制御が行われます。その力学的根拠はニュートン力学で十分です。 --> 結論:apple-man さんの言われるように >大学で物理学を専攻された方以外の多くの理科系の学生さんたちが >暗黙のうちに信じていることだと思うのです。 というのは言えてますね。 【一般相対論との関係】 私の学んできた範囲では、一般相対論の検証のために (1)水星の近日点移動 と (2) 太陽直近での光の曲がり が試されたと思います。 したがって、上記(1)(2)以外の20世紀初頭の 天体観測(月とか惑星)と理論計算との不一致うんぬんは、特殊相対論のまで広げれば矛盾では無かったのではないでしょうか。 ニュートンがそれまでの天体観測結果に作為を施したとすると、ニュートン力学のすばらしさのあまり「きっと誤差だろう」と思い込んだからじゃあないでしょうか。
お礼
>最初に apple-man さんの回答を拝見して「なんてアホなことを言ってるんだろう」と思ってしまいました。 正直、私もそう思いました。・・・すみません。>apple-manさん しかし、apple-manさんの他の回答、姿勢を見るうちに よほどの根拠があるのか??と思った次第です。 >【惑星探査などの現状の宇宙開発関係の計算はニュートン力学で可能か?】 まあ、こちらは、Noということでいいかもしれません。 実際、私は人工衛星の軌道計算を出来るほど摂動論に通じてるわけでもないですし。 しかし。 >王立天文台の天体観測データと、ニュートンの月の >軌道の計算結果が合わなかった 理由がニュートン力学の不正確さだというのはどう考えても納得出来ません。 私の意見では、 2.当時の観測技術の限界 または、 5.当時の摂動論が未発達だった。 なんですけど。
- apple-man
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なぜ合わなかったのでしょうか。それは、 1.一般相対論の効果 2.当時の観測技術の限界 3.ニュートンの計算が間違っていた 4.その他 5.当時の摂動論が未発達だった。 重力に関するいろいろな効果を計算に入れていないのが 原因で、現在分かっているところでは仰るとおりでしょう。 当時はマックスウェルの電磁気学の理論もありません でしたし、もろもろの効果を計算に入れられなかったのは 当然ですが、その結果は観測値とのズレという結果に出ていた。 当時は多少の差は気にしない時代だったかというとむしろ逆で、 ヨハネス・ケプラーが惑星の楕円軌道を発見したのもチコ・ブラ-エ の火星軌道の観測結果について、円軌道と考えた場合との、わずかな差を 際検討した結果だった。 >5.当時の摂動論が未発達だった。 ニュートンは自分の重力の理論が際検討しにくいよう 著書プリンキピアの出版にあたり策をねったのです。 1)式をわざと複雑に分かり難く書き、プリンキピア自体の ボリュームを読みにくいよう膨大なものとした。 2)ピリンキピアを教会に寄贈し、この本は神に捧げる書物で あると宣言した。 これによりニュートンの重力理論は多くの人にはその内容が理解 十分理解されず、偉大なニュートンが書いた貴重な書物という認識だけが 広がり、しかも内容に疑問をもてばそれは神への冒涜とされて しまった。未発達も何も検討できる余地が無かった。 18~19世紀にフランスで数学教育が盛んになったのを きっかけに、あまりにごじゃごじゃしたこのプリンキピアを 数学的に見直そうとの活動が起きた。 数学的、物理的に多くの人にこのニュートン力学が理解 されるようになると多くの疑問がわき上がった。 ポアンカレの3体問題、ポアンカレの相対論的物理現象の示唆、 マッハの疑問、それに続く20世紀の相対性理論の誕生等が起こっている のは以上の歴史的流れによるもの。 つまり、発見されていない未知の現象、理論とか、測定精度が上がった 後世の測定値との差など考えなくても、よく考えるとニュートン力学 はおかしいと多くの学者が感じたというこなんです。 そして実際、私の上げた人工衛星(正確には、特に月のより遠くへ 飛ばず無人探査機など)の軌道の計算には相対論による補正式が使われている。 >>暗黙のうちに信じていることだと思うのです。 と書きましたが、そう信じるよう高校までの授業が 作られていると思うのです。 No.5の方へ ニュートン力学が相対性理論かといった2元論に陥って いると思われ、このような参考ページをご紹介頂いたのかと 思います。 >http://www.gtl.isas.ac.jp/geotail/science/chap4.html 太陽風などの影響があることは、一般向けの本で読んで いましたが、このように具体的説明は初めて見ました。 参考になりました。 >http://home7.highway.ne.jp/max-1998/theory.html 実はこの方面が私の興味の対象の1つです。 原子論に始まる粒子論、コペンハーゲン学派の量子 力学等に基く現在の学校教育の内容は1つの有力な仮説 に過ぎないことを物理の専門家以外にも広く教える べきと考えていますが、ここgooの回答など見ていても この仮説を(少なくとも現時点においては、比較的正しい 主説と)>暗黙のうちに信じている内容が多く見られ 先の「天文学教育の目的」という質問の回答に >> 天体という壮大な検証対象を通じて試される物理学の正さを実感する ことが、まず天文学教育の重要性でしょう。 という内容があり、私が >ニュートンの式が不完全で とか >>有名な水星の近日点移動の証明というものですが、 >これでも1%程度観測データと差があることが など書き込んだことが、この今回のibm_111さんの 質問に繋がっています。 ここのページの直接の回答ではありませんが、 以上参考情報としてお許し下さい。
お礼
度重なる回答ありがとうございます。 読んでみると人間としてのニュートンの批判になっていて ニュートン力学の内容への批判にはなっていないと思います。 どこの誰が書いたのかは不明のいいかげんな引用ですが、 「自然は近代まではなかなか教育的であった。 もしも、極端に光速が小さかったり、プランク定数が大きかったりしたら、 物理学の発展はありえなかったであろう。」 というのを読んだ覚えがありますが、 apple-manさんの意見だと、 「極端に光速が小さかったり、プランク定数が大きかったり」はあまり本質ではなくて ニュートンたち物理学者の、現実から数式で書ける部分を 抜き出してくる捨象能力が重要だった、ということですか? >つまり、発見されていない未知の現象、理論とか、測定精度が上がった >後世の測定値との差など考えなくても、よく考えるとニュートン力学 >はおかしいと多くの学者が感じたというこなんです。 数学的な言葉として整備されていなかったということですか? どうも論点が良く分からなくなってきました。 No.2の回答の最後の部分: > 受験参考書は嘘を並べてもその本の性質上 >しかたないことですが、高校の教科書くらい >には注釈が必要だと感じています。 こちらの注釈として適当なものはどのようなものとお考えですか?
- littlekiss
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考察されるのに何かの参考になれば、 下記に参考URLを記載します。 http://home7.highway.ne.jp/max-1998/theory.html http://www.gtl.isas.ac.jp/geotail/science/chap4.html
- apple-man
- ベストアンサー率31% (923/2913)
No.3の方へ >大きな速度や質量が関係する天文現象では、ニュートン力学は有効ではなく、目下であれば、一般相対性理論が「より有効」だということは分かっています。 あなたのいう大きな速度というのが光速のことで、 大きな質量というのがブラックホールのことなら、 私の心配しているとおりなんですがどうでしょう? f=ma つまり、質量に応じて重力が働き、惑星の軌道が変わる。 これがニュートン力学。 ところが実際は質量のない光が重力の影響で その軌道を変えられてしまいます。 ニュートン力学では、重力が物体に与える影響を 計算しきれていないのです。 このニュートン力学が見逃している効果を 私は人工衛星の軌道計算を例にあげ、大きい と考えているし、ibm_111さんは水星の近日点 移動を例にあげ小さいとしているのです。 >ニュートン力学が実用に合わないのではなく、人間の観測能力に限界があるからです。 観測限界の話ではないんですよ。 17世紀に王立天文台の天体観測データと、ニュートンの月の 軌道の計算結果が合わなかったのに、ニュートンはそれを 無視し、理論を再検討せず、これがバレないよういろいろな策を 講じ、現在に到っています。
お礼
何に対して「効果が大きい」と言うかですね。 現代の観測技術に対して、「効果が大きい」かどうかなら、 apple-manさんのおっしゃる通りでしょう。 したがって、論点は、 >王立天文台の天体観測データと、ニュートンの月の >軌道の計算結果が合わなかった なぜ合わなかったのでしょうか。それは、 1.一般相対論の効果 2.当時の観測技術の限界 3.ニュートンの計算が間違っていた 4.その他 のどれにあてはまるかによると思います。
補足
もうひとつ可能性 5.当時の摂動論が未発達だった。
- maris_stella
- ベストアンサー率71% (241/336)
基本的に天文学は、ニュートン力学で計算しているはずです。もちろん、プランク定数に応じて、微細な距離での物質現象では、量子力学が有効であると同様、大きな速度や質量が関係する天文現象では、ニュートン力学は有効ではなく、目下であれば、一般相対性理論が「より有効」だということは分かっています。 そういうことは、常識ではないかとも思います。 >>多くの人がニュートン力学が実際の >>天文学の計算にそのまま使えないことが多いことを >>知らない > >「そのまま使えない」とはどういう意味でしょう。 「実際の天文学の計算にそのまま使えない」という言葉の意味が問題でしょう。多体問題は解析的に解けないことは分かっていますから、天文学では、惑星などの天体の位置を精密観測し、この観測値を境界条件にして、そこから、摂動で、誤差範囲を決めて、天文計算をニュートン力学で計算するはずです。 天王星、海王星、冥王星などは、惑星の位置についての精密観測と、それに基づく、ニュートン力学での理論的な、惑星の位置移動の計算と、観測位置が合わないので、観測結果の(理論計算との)ずれを元に、理論的に、どの程度の質量の天体が、どのあたりに存在すると、こういうずれが起こるかを元に、古典力学で計算して、発見したはずです。 この場合、大いに有効であったのではないでしょうか。 >>(月の運動について)やはりニュートンの式が不完全で >>そこから現在まで改善はされていないのです。 これは意味が分かりませんが、観測装置や理論も含め、「完全に宇宙の運動を測定したり、記述したりする道具も理論もありません」。従って、「不完全だ」というのは、誇張していえば、誰でも知っているはずです。問題は、実際上の有効性であって、一般相対性論をいちいち使わなくとも、「補正項」を加えれば、ニュートン力学だけで、別に計算に問題はないはずです。 逆に、 >>有名な水星の近日点移動の証明というものですが、 >>これでも1%程度観測データと差があることが >>今でも問題になっています。 わたしの記憶では、水星の近日点移動は、「大体合う」という程度で、天文学の授業で、太陽のごく近くに、未知の質量がある場合、水星の近日点移動は説明できるので、水星の近日点移動が、一般相対性理論の妥当性を証明する証拠とするには、一種の誘導があったのではないかという話を、聞いた記憶があります。 つまり、近日点移動については、太陽の一部に形態的変化があって影響する可能性もあれば、未知の質量が、水星の運動に影響を与えているという可能性もあり、非常に高度な精度で一致していたら、どこかでごまかしがあったのではないかという疑いが逆に出てきます。 かなりな質量の天体との関係で、かなりな速度で、長距離・長時間の運動をする場合、例えば、人工惑星なら、到達空域が、数十kmのオーダーぐらいで、ニュートン力学では、誤差が出てくることはあたりまえのことです。(これは、木星や火星への人工惑星の飛行の話です。これらの誤差は、少しのジェット噴射で補正できます。一般相対性理論に基づく誤差として)。 しかし、多体系の運動では、先に述べたように、観測結果を基に、理論的に軌道計算を行い、短時間なら、この理論計算は十分な精度を持ちます。無論、一般相対性論を持ち出さなくとも、何千年後の太陽系の各惑星の配置がどうなっているのか、単純にニュートン力学を適用すると、天文学の実用に応じるレベルでの精度は得られません。 誤差の蓄積が非常に大きくなるのです。この場合、別の計算式を使い、結果に矛盾がないように、計算パラメータを決めたように思いますが、この計算は、別にニュートン力学を否定するものではありません。むしろ、ニュートン力学の定理に基づく計算式のはずです。 宇宙船を地球の軌道に打ち上げる計算、軌道に乗せた人工衛星が、安定するかどうかの判断の計算、月面で、着陸船を、目的の場所に誤差10cm以内に着地させる計算……こういう計算でニュートン力学は十分な精度を持って実用性があります。 >>(ハレー彗星の周期について)ニュートンの理論式 >>ではそんなに正確に計算できないはずなんですね。 彗星は、太陽に接近するたびに質量を失い、また質量分布が、予測不能な形で散開します。また、遠日点や、そこまでの途中で、別の質量を吸収することがあり、惑星のような、長期的に安定した天体の軌道計算と違って、ニュートン力学を二体問題で適用しても、他天体の影響を考慮しても、彗星本体の質量や、質量分布が不規則に変化するので、ニュートンの式で、正確に計算できないのは当然のことです。 軌道から落ちて、地上に落下する人工衛星がどこに落ちるか、現在、数百キロメートルの誤差が出ています。 気体の運動では、熱力学や統計力学で、統計的に計算する訳で、予測していなかった僅かな条件の違いで、理論計算結果と、全然別の答えになります。海洋の波などの運動もそうです。 しかし、量子力学的効果も幾らかあるとはいえ、これは、ニュートン力学が実用に合わないのではなく、人間の観測能力に限界があるからです。
お礼
> わたしの記憶では、水星の近日点移動は、「大体合う」という程度 私の認識だと「ばっちり合う」なんですけど。 今、手元にあるフォスター・ナイチンゲール「一般相対論入門」(1991年)によると、 近日点の前進(括弧内は理論値) 水星 43.11±0.45秒(43.03秒) 金星 8.4±4.8秒(8.6秒) 地球 5.0±1.2秒(3.8秒) で、いずれも誤差の範囲です。 これを全て未知の惑星バルカンに帰すのは無理でしょう(たぶん) >彗星は、太陽に接近するたびに質量を失い、また質量分布が、予測不能な形で散開します。 私も彗星の軌道計算では、こちらの効果のほうがはるかに 大きいと思うんですけど、どうなんでしょう。
- apple-man
- ベストアンサー率31% (923/2913)
>「ボイジャーと共に生きる」 は、amazonや大学・市の図書館で検索してみましたが ありませんでした。残念です。 書籍名間違えたらごめんなさいとは書きましたが、本当に間違えて まして申し訳ない。「ボエージャーと共に生きる」でした。 >しかし、探査機の軌道計算に一般相対論を使うでしょうか? 使うみたいです。 この「ボエージャーと共に生きる」の60ページの内容をそのまま 引用しますね。 (以下60ページ2行目より) 太陽の傍を通ると、例えば光は軌道が曲がる。 太陽の反対側から来る光はグーッと曲がるわけです。 それから、光の速度も遅くなる。 似たような現象は、人工衛星の軌道でも起こります。要するに、 空間が重力によって曲がっているそうです。だから、軌道も 曲がるということのようです。 我々は完全にはわからないですけど、そこまでわかる必要は ありません。要するに補正式がある。ニュートン力学で計算して、 それにこれだけ加えなさいという補正項がわかっている。この 相対論の効果が結構バカにならないわけです。 (以下電波が受ける相対論的効果が述べられ、以下のように 結ばれています。) つまり宇宙で距離を測る精度というのは、今、直線距離だけで 10メートルくらいに達している。それでも、相対論効果を 入れないと、(ここのところ 入れないで の間違いだと思います) 4キロメートル違ったらもう全く観測にならないわけです。 だから、この補正式を入れています。 全部の惑星や太陽、もちろん地球だってあります。したがって 相対論効果を全部入れて軌道を計算しています。 (以上60ページの内容) この本の著者、西村さんという方、1955年からアメリカに 留学し、博士号を取得後、NASAで軌道計算などを通じ、惑星探査 に参加された方で、当時の思い出としてこのようなことを 書かれています。すでにNASAのほうでは補正式と呼ばれる 計算方法が確立していて、自分は原理は良く分からないが それを使っていたということのようです。 >現在のところ、一般相対論の(兆候はともかく、明確な)反証は 何一つ見つかっていないと私は理解していましたが。 相対性理論は間違っているといったようなトンでも本は信じて いないのですが、少なくとも量子力学との矛盾があり、 何か大きな理論体系の一部である可能性が大きいのです。 相対性理論の理論値と観測値、実験値との差を検証する理由は、 相対論が考慮していない効果が観測される可能性を考えて のことです。 >「多くの人が一般相対論の結果を知らない。」ということで 要約できるのでしょうか。 いえいえ、以上のようにニュートン力学だけでは 惑星探査機の軌道すら実用的なレベルで計算できないのに、 受験参考書や一部の天文学の本には、微分方程式 を使ったニュートンの重力の方程式できれいに 計算ができるかのごとく記述が多いのが問題だと 考えているのです。 受験参考書は嘘を並べてもその本の性質上 しかたないことですが、高校の教科書くらい には注釈が必要だと感じています。
お礼
今、私が計算してみたら、地球上空数百kmのところをまわる人工衛星は、 1回公転するうちに近日点は10cmほどずれるようです。 近日点移動の効果は累積的なので、現在の技術なら 測定できるでしょう。 >この相対論の効果が結構バカにならないわけです。 >惑星探査機の軌道すら実用的なレベルで計算できない どっちかというとバカにならないのは現在の技術の凄さのような気が。 今の「実用的なレベル」というのが一般人に想像できないほど 高いのかもしれません。
補足
訂正です。 ×1回公転するうちに近日点は10cmほどずれるようです。 ○1回公転するうちに近地点は10cmほどずれるようです。
お礼
ご回答ありがとうございます。 確かに一般相対論を考慮した場合は確かにニュートン理論とは、ずれます。 また、ロバート・フックとニュートンの論争は私も聞いたことがあります。 しかし、探査機の軌道計算に一般相対論を使うでしょうか? 水星の近日点移動は、100年につき500秒程度ですが うち一般相対論による効果は1割ぐらいで 残りは他の惑星による摂動です。 探査機は水星よりも太陽から遠く、しかも、存在期間はせいぜい10年ぐらいですから 一般相対論屋さんを除いて、そこまで精密な計算をする 理由はないと思いますが、いかがでしょう。 GPSなら納得なんですがね。 「ボイジャーと共に生きる」 は、amazonや大学・市の図書館で検索してみましたが ありませんでした。残念です。 >相対性理論の検証は今でも続いているようで、 >どの程度実験値と合うのかといった問題は今でも問題です。 そうですね。 現在のところ、一般相対論の(兆候はともかく、明確な)反証は 何一つ見つかっていないと私は理解していましたが。 > またこの相対性理論と観測値の差について、10年ほどまえ、 >太陽の形状を考慮しなかったためではないかとの仮説を立て >研究している学者がいると聞いたことがります。 ブランス-ディッキー理論ですね。 この理論は、パラメータの範囲で今も有効ですが 現在のところ、復活させる理由はなさそうです。 量子重力などを考えれば別なんでしょうが。 結局、apple-manさんの主張は 「多くの人が一般相対論の結果を知らない。」ということで 要約できるのでしょうか。 そりゃ、定量的には知らないでしょうけど。