あけましておめでとうございます。
私たちが実際に見たり感じたりする物理的な力というのは、重力と電磁力ですね。しかしミクロ的には「強い力(原子核をまとめている力)」と「弱い力(中性子などが崩壊するときの力)」というのがあります。ですので物理学的な力というのは4つあることになります。
重力がいかに弱いか、ということを少し考えてみましょう。
この力の大きさというのはずいぶん違っていて、電磁力が1とすれば強い力は10の6乗、弱い力は0.001倍、重力に至っては10の-36乗となります。強い力と弱い力の差もすごいですが、重力は桁違いに弱いですね。
マクロに現れる電磁力と重力の強さについても少し考えてみてください。10グラム程度の磁石を上から釘に近づけると、たちまち釘が磁石にくっつきますよね。磁力というのは電磁力の力の現れのひとつです。ですから、これは電磁力が重力よりも強いということの現れです。考えてみてください。この地球という私たちの感覚でいえばべらぼうなおおきさのものが作り出す重力ですら、たった10グラムの磁石が作り出す力にかなわないわけです。ですからいかに重力というものが弱いかということをご理解いただけると思います。
つぎに何故ひとつにまとめようとしているのかを考えてみましょう。
物理学は法則をなるべく単純化しようとした歴史でした。ニュートンが現れるまでは、地上の法則と天の法則は全く別のものだと考えられてきました。月が地球をまわる現象、林檎が木から落ちる現象。普通で考えれば全く別の現象です。しかしこれは現在では万有引力の法則というひとつの法則で説明ができます。電気力も磁力も以前は全く別のものだと思われていましたが、いまではマクスウェルの方程式により統一的に説明ができます。
最初に申し上げたように、自然には強い力、弱い力、電磁力、重力の4つの力があります。最初は別々の理論だったのですが、現在は弱い力と電磁力は電弱統一理論というひとつの理論で説明することができるようになりました。現在は強い力、弱い力、電磁力をひとつにまとめようとする大統一理論の研究が進められています。かなりのところまで進められていますが、現在この大統一理論が予言する現象(陽子の崩壊など)がまだ確認されていません。
この3つの力に比べれば、重力というのはあまりにも弱いこと、重力そのもののが量子論のなかにうまく組み入れることができないことから、重力を含めた統一理論というのはかなり難航しています。超弦理論など全く別の立場から重力を含めた4つの理論を統一しようという試みもありますが、まだまだ難しいようですね。これらができればノーベル賞は確実なんですけれどもね。
ご質問に対する答えで言えば、物理学的世界では多くの法則がバラバラに動くのではなく、少ない法則で説明できる方が美しいのですね。
お礼
ありがとう。 しかし、美しさは学者さんにとっては感動物ですが、感動する心があってこそのものなので。 何かしらの便益があるのでしょうか。 重力ってそもそも そんなもの無い宇宙もありかもしれない。 重力があると、宇宙のあるところが濃い部分で 残りは薄い部分ができてしまう。 そもそもお互いに引き寄せあうということが起きている目的(目的はないかもしれない)と、その背景は何でしょうね?