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「強い力」と「弱い力」の違いは?
- 基本相互作用(自然界の四つの力)について質問です。
- 重力は引力のみ、電磁力は引力と斥力があります。
- 強い力は核子を結合させており、引力が働きます。弱い力はβ崩壊に関わり、斥力が働くとされています。
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引力か斥力かを、ざっくり言えば、弱い力も強い力も一種の引力だと言えます。なぜなら、どちらもプラスの電荷の陽子と電気的に中性の中性子が集まってできている原子核が、どうして電気的な反発力(中性子はともかく、陽子は電気的にプラスで反発)があるのに、壊れずに安定して存在しているかを説明する力ですから。 重力や電磁気力だと、遠隔作用説的には、二つの物体の間に「力」が働くと説明しますし、近接作用的には、ある物体の周りの空間が歪み、そこに別の物体を多くと、その別の物体が力を受ける、というような説明をします。 弱い力と強い力は、普通はそういう説明をしません。原子核内部のことですから、以降、物体ではなく素粒子という言葉を使います。また、重力は電磁気力よりはるかに弱いので、無視します。 原子核では、陽子同士が反発します。でもなぜ壊れないか、ということを説明するには、「陽子や中性子が何か素粒子を交換している関係があるために安定する」ということがいえればOKだと分かっていました。これを「交換力」といいます。 つまり、電磁気力のような二つの電荷の「間」に働く「力」とか、電磁気的に「空間が歪む」とか、そういう発想と根本的に異なるわけです。 素粒子同士が互いに素粒子を受渡しする関係があるから離れられない、なぜならそのほうが安定する、つまりエネルギーが低い状態になっている、ということです。 水は水路さえあれば、高い所から低い所に流れて行きます。逆は自然には起こりません。高い所に移そうとすれば「エネルギー」を使って、ポンプなりなんなりでくみ上げなければなりません。 おおざっぱな言い方ですが、物理現象はすべて、エネルギーの低いほうへ移るのが自然の成り行きです。言葉を変えれば、エネルギー準位(高さの度合い)の低いほうが安定するわけです。不安定な状態は壊れて、安定な状態に落ち着くのが自然の成り行き、とも言えるでしょうか。 弱い力と強い力に戻りまして。中性子は不安定な素粒子だということが分かっていました。ベータ崩壊、つまり電子を出し、同時に反ニュートリノという素粒子を放出して陽子になってしまうのです。このとき、そばに陽子があると、その電子と反ニュートリノを吸収して中性子に変化します。 そこで、原子核内部では陽子と中性子が電子と反ニュートリノの交換をしていて、その交換関係の交換力のために、原子核は電磁気的な斥力に打ち勝って安定しているのではないか、と考えられました。 しかし、その交換関係の交換力では、電磁気力に勝てないことが分かりました。 そこで、湯川博士は未知の「中間子」というものがあって、それを陽子や中性子が交換する交換力がある、という仮説を提唱しました。他の物理学者は、その仮説には冷やかでしたが、宇宙からの放射線の中に、確かに中間子と考えられる素粒子が観測され、さらに実験などで検証されて、中間子の実在が証明されました。 そうしてようやく湯川博士の仮説が認められ、陽子同士が中間子を交換する交換力により原子核が安定しているとなりました。これが「強い力」です。これのおかげで、湯川博士はノーベル物理学賞を受賞しています。 その後、研究が進み、中間子以外にも「強い力」があることが分かってきたので、中間子による強い力は、核力と名付けられて区別されています。 以上のように、弱い力も強い力も原子核を構成する陽子や中間子を結びつける力ですので、一種の引力とも言えますが、そのメカニズムが違うので交換力と呼ぶのが普通です。ですので、引力(とか斥力)という言葉で説明することが、あまりないのだと思います。
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お礼、ありがとうございます。#2です。お礼に気が付くのが遅れて、申し訳ありません。 >中間子はクォークから構成されているので、それらは弱い相互作用および強い相互作用の両方に関与している。 ここですね。これは、間違ってませんよ。その下の「中性K中間子の注意点」で、少し触れられています。 K中間子は、2~3個のπ中間子(ここまでの説明が主にこれです)に分裂するときに、弱い相互作用でのパリティ非保存が理論的に予想され、実際に実験で確認されています(コバルト60の電子の角分布)。 このパリティ非保存の確認により、μ粒子崩壊での電子の角分布、Λ粒子崩壊での陽子やπ中間子の角分布など、弱い相互作用からくる現象を説明することになりました。 そういうことですので、「媒介している」などと書かず、「関与している」と書いてあるのでしょう(この項目は、どうも英語のウィキペディアとほぼ同じようです)。
お礼
四度の回答ありがとうございます。 ふむぅ、自分が勉強不足なのが良く分かります。(涙) 『パリティ非保存』など説明は読むのですが奈何せん、理解が追いつきません。 勉強不足は反省しつつ、とりあえず、当初の目的『強い力と弱い力は引力か斥力か』については、一応の理解が出来た(つもり)なので、この辺りで締め切らせていただきます。 これ以上理解を深めるには、まだまだ勉強不足であることが分かりました。 回答者の皆様方の解説を理解出来るよう、精進するつもりです。 回答していただいた皆様、ありがとうございました。
お礼、ありがとうございます。補足、承りました。#2です。 >ははぁ、中間子ってのは弱い力にも関係しているんですね。 いえ、そうではありません。中間子は、あくまでも強い力のうち、核力を媒介しています。弱い力は、電子と反ニュートリノだけで生じます。 >しかしそうなると、斥力を持つのは電磁気力だけってことでしょうか? 明確に分かっているのは、仰る通り、電磁気力だけです。 しかし、アインシュタインの重力方程式では、引力だけの基本的な式を、「宇宙項」と呼ばれるものを追加することがあります。この宇宙項は斥力を表しています。 アインシュタインは、宇宙項を自身の重力方程式に追加したのは、宇宙が膨張していることが分かっておらず、引力だけでは宇宙が重力で引き合ってつぶれてしまうことになって、おかしいから追加したのですが、宇宙が膨張していることが発見されて、宇宙項については大変恥じたと言われています。 しかしその後、宇宙の膨張が加速的だったこともあると分かり、また現在も加速膨張とされており、宇宙項は非常に重要なものとして再認識されています。
お礼
三度の回答ありがとうございます。 あれ? また読み違えてしまいましたか? またしてもWikipediaの『中間子の一覧』の記述に『中間子はクォークから構成されているので、それらは弱い相互作用および強い相互作用の両方に関与している。』とありましたので。 この記事にはノートが無かったのですが、議論の対象にすらなって無かったってことでしょうか。 中間子を良く理解出来ていれば、間違いにも気付けそうですが、中間子他の素粒子の説明が難しくて理解が追いつきません。 >宇宙の加速膨張 ダークエネルギーのことですね。 まだまだ現代科学だけでは分からないことも多く、色々楽しみです。
お礼、ありがとうございます。#2です。 >しかし、強い力を伝えるグルーオンの一種が中間子であり、強い力=核力ではありませんか? 中間子はハドロンの一つで、ハドロンの構成要素の一つがグルーオンです。グルーオンは「糊」という言葉通り、ハドロンを崩壊しないように固める働きをしています。 >Wikipediaにはそう書いてありました。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E5%8A%9B ですか? もしそうでしたら、その項目についてのノートの議論、 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%E5%BC%B7%E3%81%84%E7%9B%B8%E4%BA%92%E4%BD%9C%E7%94%A8 をご覧になるといいでしょう。記述内容について疑義が出されています。 私は今回、上記項目を読んでみて、「あれ? 以前に勉強したときと、定義などが変わったの?」と、いったんですが、驚いてしまいました(^^;。 私としては、ウィキペディアの「強い相互作用」(核力がここへ転送されている)は間違いだと思います。核力は強い相互作用(強い力)の一つにしか過ぎません。 >『ウィークボソン=電子と反ニュートリノ』となり引力となりますが...... そうではありません。ウィークボソンのうちWボソンが関係しており、中性子が、Wボソンを放出、陽子ができ、すぐさまWボソンが崩壊して、電子と反ニュートリノになります。 Wボソンは一瞬ですので、通例に従い省略しましたが、細かい過程までご興味がおありと気づきませんでした。大変申し訳ありません。
お礼
再度の回答ありがとうございました。 自分の理解が浅いことが露呈してしまいました。(苦笑) ははぁ、中間子ってのは弱い力にも関係しているんですね。 なるほど、『核力は強い相互作用(強い力)の一つ』は何とか理解しました。 色々議論されているようだから、Wikipediaの記述は割と信頼していたのですが、間違いや議論中の物もあるってことですね。 これからは気を付けて読むことにします。 Wボソンの記述も読み、御回答の通りと理解し(たつもりになり)ました。 細かい過程については出来れば理解したいと思っています。 ただ、『スピンが~』とか『色価が~』とか出てきて、更に数式?が出てくるともうお手上げです。(高校の物理でも数式で苦労した思い出が...) 陽子とあまり変わらない質量の中性子から出てくるWボソンが陽子の約80倍~90倍の質量を持つのも驚きですし、それが崩壊した後に出来るのが電子と反ニュートリノってのも不思議です。 質量とエネルギーが相互変換されているのでしょうか? 素粒子の世界は難しいことを改めて感じています。 素粒子レベルの極近距離でしか働かないし、粒子を交換して力を伝えていることが分かっているから、(物理学会)一般には交換力としか呼ばれない、との説明は納得しました。 素人的な考えで、「引力と斥力の両方を持っているのは電磁気力だけじゃないの?」と考えたのが今回の質問の発端なのですが、強い力も弱い力もくっつける力(スンごく広義に見て引力)と考えてよろしいでしょうか?
補足
すみません。 #2の回答の頭に「引力だ」と書いてありますね。 先の『お礼』の最後は無視してください。 しかしそうなると、斥力を持つのは電磁気力だけってことでしょうか? むしろ特別なのは引力しか持たない重力ではなく、電磁気力の方なのかも?
- fxq11011
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詳しくは知りませんが、物質を介在することなく伝わる力を、引力または斥力と言っているだけと思っていました。
お礼
回答ありがとうございます。 そんな感じがしないでもないですが、張力だって見方を変えれば引力と言えると思います。 もっとも、これに作用している基本相互作用は電磁力なんですが。 重力や電磁力だってグラビトン(重力子)やフォトン(光子)で伝えられる、とも言われますので、全ての力は物質を介在して伝わっているとも言えると思います。
補足
申し訳ありません。 もしかして、#2さんの回答の最後辺りと同様のことを述べてらっしゃるのでしょうか? そうであれば、先に書いた『お礼』の記述は頓珍漢ですね。
- dahho
- ベストアンサー率44% (68/153)
私もあまり理解できてないですが、たぶん、強い力も弱い力も、引力と斥力の両方があるとおもいます。 以前読んだ本に、 スピンが奇数のゲージ粒子が伝える力は、荷量が同符号のとき斥力、異符号のとき引力。 スピンが偶数のゲージ粒子が伝える力は、荷量が同符号で引力、異符号で斥力になる、と書いてあったと記憶しています。 その理由は書いてなかったのでわかりません。 (ちなみに荷量とは例えば電磁力の場合の電荷、重力の場合の質量とかのように、粒子が持っている力の働きやすさの量) 具体的に書くとゲージ粒子のスピンは、 グルーオン、中間子、光子、ウィークボソンなどはスピンが1。 グラビトンはスピンが2。 電磁力の場合、ゲージ粒子は光子。荷量は電荷。 電荷が同符号の粒子の時、つまり、プラス同士やマイナス同士は斥力。 電荷が異符号の粒子の時、つまり、プラスとマイナスでは引力。 強い力の場合、ゲージ粒子はグルーオンや中間子。荷量は色荷(カラー)。 http://www.geocities.jp/nbsakurai/12.htm によると、 「二つのクォーク間に働く力は、二つのカラーが同じ場合は斥力となり、他の場合に引力になる。」 とのこと。 弱い力の場合、ゲージ粒子はウィークボソン。荷量は弱荷(弱アイソスピン)。 電子ニュートリノやアップクォークは弱アイソスピン+1/2、電子やダウンクォークは弱アイソスピン-1/2を持っているらしいです。 たぶんβ崩壊は、中性子(の中のダウンクォーク)と電子ニュートリノの間に引力が働いているんじゃないかな~と思ったりします。 良くわかりません^^; 重力の場合、 質量が+の物同士が引力。 それ以上は・・・良くわかりません^^;
お礼
回答ありがとうございます。 申し訳ありませんが、スピンの話になると途端に難しく感じ、理解が追いつきません。 確か、『回転している』のとは関係ないのでしたよね? でも、ゲージ粒子に関して少し理解が深まった気がします。 ありがとうございました。
お礼
回答ありがとうございます。 湯川博士の中間子のくだりは、弱い力以降は概ね知っておりました。 しかし、強い力を伝えるグルーオンの一種が中間子であり、強い力=核力ではありませんか? Wikipediaにはそう書いてありました。 でも、強い核力とか弱い核力とかの記述もありますね。 なんか紛らわしいです。 しかし、弱い力はどう作用しているのでしょう? β崩壊に関わるとの記述から、斥力か?と考えていましたが、ご説明の通りであれば、『ウィークボソン=電子と反ニュートリノ』となり引力となりますが...... 『中性子が不安定である』と言うのも今回初めて知りました。 なんとなく、プラスの陽子とマイナスの電子がくっついているのだから、安定なのかと考えていましたが、違ったんですね。 量子の世界は難しいです。