これはある程度英語が出来る人でもあまり疑問に思わないかもしれません。私たちが最初に習う外国語と言えば言うまでもなく英語であり、右も左も分からないまま文法を叩き込まれ、疑問を持つ余地などなかった人が大部分でしょう。それでは、私なりに不備なところを挙げてみます。
1.文型: これは疑問視する人も多いですね。例えば“He breaks a window.”という文はSVOになりますが、進行形にすると、“He is breaking a window.”となりますよね。その場合、現在分詞を形容詞とちて扱うと SVCという見方もでき、却って混乱します。また、受動態にした場合、能動体では目的語だったのが主語になるのですが、主語だったのは何と呼ぶのか用語がありません。これはフランス語の文法では動作主補語と呼ぶんですが。
2.不定詞の分類:日本の学校では名詞的、形容詞的、副詞的用法と分類するのが好きなようですが、分類の難しいものがあります。例えば
“I know how to cook. ”と言った時です。これは、howを名詞と看做し形容詞用法になるのか、副詞を修飾するのだから副詞的用法になるのか、knowという動詞の目的語になっているので名詞的用法になるのか、はっきりしません。アメリカの文法書ではあまり詳しく扱っていませんが、不定詞は動詞が名詞化したものであり、toの働きに還元して考えるようです。
3.動詞の叙法:アメリカの英文法書によると、次の5種類があります。
(1)indicative mood・・・・直接法のことです。最も基本的なのに、というかだからこそ、中学校では言及されず、仮定法が出てくる段階で 仮定法と対比する段階になって初めて触れられます。
(2)imperative mood・・・・日本式の英文法では「命令法」と言わず、「命令形」と呼ばれます。
(3)infinitive mood・・・・日本式の英文法では「不定法」と呼ばれず、「不定詞」、または「原形」と呼ばれています。
(4)subjunctive mood・・・・仮定法のことです。しかし、「仮定法」という用語は日本式の英文法では、動詞の叙法を指すのか、構文を指すのか不明確です。
(5)conditional mood・・・・日本式の英文法では用いられない用語ですが、仮に「条件法」と呼ぶことにします。これは多くはwould+動詞の原形で表わされる形で、仮定法とよく混同されます。
4.動詞のアスペクト: これは時制の中に取り込んで考えるのが普通なんですが、大雑把に言えば 普通の形と進行形の対立を含む動詞の様態です。日本の学校では進行形に出来ない動詞というのを習いますが、それでは日本語の「持つ」と「持っている」、「知る」と「知っている」は英語ではどう区別するのかという領域にまで広がります。これは多くの人が見落としているんですが、日本語の現在形は英語の現在形用よりも未来形に対応することが多いんです。例えば友人と喫茶店行って、「何飲む?」と聞く場合は“What do you drink?”ではなく、“What will you drink?”とか “What are you going to drink?”
が正しいんです。というのは、drinkのように英語で進行形に出来る動詞の現在形は反復動作や習慣を表すものであり、日本語と違い、一回限りの動作が近い未来に行われることを指すわけではないからです。ところが、学校の英語ではwillを「~だろう」、be going toを「~するつもりだ」と結び付けるので、正しく理解できないことが多くなります。
5:phrasal verb: これは look forやput offのような動詞に副詞や前置詞が付いた形を言います。これは中学校の英語では熟語扱いすることが多いんですが、これだと make up one's mind to のように名詞なども含んで少し長いものまで含まれます。しかし、句動詞とか群動詞とも呼ばれることもありますが、統一された呼び方はないようです。
また、look forのforやput offのoffの品詞は副詞になるのか前置詞になるのか、はっきりしないものが多いです。アメリカの文法書では
こう言った一連の語句は particleとして敢えて区別しない場合も多いです。
6.助動詞:英語の助動詞にはdoやhaveのように、疑問文を作ったり時制をあらわす為に使われる auxiliary verbとcanやmustのように意味をを加えるmodal verbとがありますが、日本式の英文法では区別されません。まあ、厳密に区別しなくても大きな支障はないんですが、日本式の英文法では「準助動詞」という用語も使われることがあり、定義がマチマチです。
7.代名詞の格: 例えば“ Me too. ”と言った場合、Meは目的格なのに表しているのは主格の場合が多いです。なぜ、目的格なのに、主格を表わしているのか不条理ですね。これは、一種のstressed formと考えることができます。
私が思うに、「仮定法」なんて教える側も根本的な定義を理解していないので、教わる側は、そんなに難しくないことも理解に苦しみ、動詞のアスペクトは逆にそういう用語を持ち込まないからこそ、むしろ感覚的に覚えられるんじゃないでしょうか?
お礼
素晴らしい回答ありがとうございます。 私は旺文社の「ロイヤル英文法」を持っているんですが、そんな記述はありませんでした。