百人一首ですか。
私は百首、幼稚園から小学校にかけてで覚えましたが、それ以来忘れたことはないですね。
人それぞれですが、不得意分野、ということもないと思います。
百人一首・・・和歌は、昔の歌です。
今現在でも数々の歌がノミネートされ、出ては消え、売れては去り、そんな曲が多いです。
けれど、何年経っても、何十年経っても人々から愛され、未だ歌われ続けてる歌も数多いですよね。
それは人々の心に溶け込んでいるからだと思います。
百人一首だってそうです。
何百年、千年と経ってもなお人々が親しんでるのは、その心が理解できるからなんです。
曲のワンフレーズ、歌詞、メロディ、音の響き・・・現代のみならず、かつても同じことを人々はしていたんです。
歌手や作詞者は、その歌詞にどれだけの人を引き込むか、何を伝えるか。
和歌だって5・7・5・7・7の中でいかに心を表現するか。
同じ事をしています。
百人一首は『歌』です。歌なら覚えられるでしょう。
その歌の意味を考えてみて下さい。何を表現しているのかを考えて下さい。
詠み手は一体何を考えて、何を感じてその歌を作ったのでしょうか。
恋人を想う気持ち、恋人の気持ちが自分から離れていく悲しさ・恨めしさ、死別、この世の無情。
自然の美しさ、四季の彩り。
どんな背景があって作られたかが分かれば、意味が分かれば簡単に覚えられます。
出だしと終わりの繋がらない歌は聞いてても意味が分かりませんからね。
漫画で百人一首を解説している本もあります。これは分かりやすいので、スッと頭に入ると思います。
まず覚えることを優先するならば、古典文法などは気にせずに意味・内容だけを覚えたほうがいいです。
(ではポピュラーなのを)
『花の色は移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに』小野小町
(直訳)美しい花の色は、色があせて衰えてしまったことよ。むなしく、私が長雨をぼんやり眺めて夜を過ごして物思いに沈んでいるうちに。
◎小野小町は大変な美人で、多くの貴族達が求婚者として毎日毎日詰めかけました。中でも特に熱心だったのは深草少将。彼は、熱心に求婚するけれど、小町は頑なにそれを拒み続けます。
「一目会わせておくれ、もうずっと通い続けているのだから」
「お断りします。それに、私にはとても好きな人がいます」
小野小町は、とある男性が好きでした。その人は在原業平。当時、女性からは男性に告白するなどということは考えられていません。男性の方から求婚し、結婚して一夫多妻制の中で生活していくのです。
長い間、自分こそが一人の男性に恋をしているのに、あちらは何も知らない。焦がれ、想い続けているうちに、月日は経ち、年月は経ち・・・自分の容姿も衰えてしまったことだろう。女としての花の盛りも終わってしまっただろう。
それに、桜の花も、私と同じように長く降り続く雨で色あせてしまった。
私があの人を恋い慕って、ぼんやり眺めているうちに・・・。
小野小町が感じている切ない女心。
それを小町は和歌に詠み、百人一首になり、現代まで語り継がれているのです。
どうでしょうか。昔も今も人の心だけはいつまで経っても変わらないものです。
だからこそ、百人一首は今でも人の心に響くんです。
覚えられないなんてことはありません。
千年前も今も、誰かを恋しく思う気持ちや、物事を美しいと感じる心を、人々は持ち合わせているはずです。
かつての人々の心に触れてみて下さい。