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現在、交易赤字28兆円だそうです。交易赤字とは?
テレビでやってましたが、現在の交易赤字は28兆円だそうです。 黒字額で言えば、前年比10分の1だとか。 これは、どういう意味? 原油価格の上昇で、貿易赤字ということですか? 所得が海外に流出しているのでしょうか?
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交易利得(trading gains)や交易損失(trading losses)というのは、 自国から同じだけの輸出を行っても、 交換される海外からの輸入品の量は条件によって変わるため、 この変動で実質所得が増減するということです。 2000年を基準として、同じだけ輸出した際に輸入できるモノが少なくなり、 28兆円分の実質所得の目減りが発生したということになります。 原因としては、原油・資源高とその価格転嫁の遅れ以外に、 円が安くなったために減った部分もあります。 日本の総合的な通貨価値(実質実効為替レート)は、 2000年を基準にすると2/3程度になり、 アルゼンチンに次いで二番目に大きく下落したようです(1)。 また、日本の得意な輸出品目であるIT系機器/部品は、 多くの投資が行われ目覚ましい技術革新が行われたため、 他の産業よりも価格が下がり、交換の条件が悪くなってしまったという皮肉もあります。 一方では物価高が騒がれていますが、もう一方では200ドルとかいった 超低価格パソコンも登場している時勢で、海外の所得改善には貢献しています。 ただ、資源高を背景に資源・エネルギー関連の投資や技術革新が 活発になれば、長期的にはこの辺りは是正されるかもしれませんが。 交易損失が拡大したというのは、同じ量を輸入するために必要な 輸出の量が多くなったということになります。 直接カネが流出したわけではありませんが、 輸入品価格が上がり、多くの輸出を行わなければ交換できなくなり、 実質所得が目減りしてしまいます。 しかし、実質所得の変化を求める際に最もよく用いられる実質GDP(実質国内総生産)の計算は、 海外生産分の物価変動を打ち消してしまっています。 交易利得や交易損失を入れた指標は、実質GDI(実質国内総所得)として併記されています。(2)。 貿易黒字(trade surplus)や貿易赤字(trade deficit)というのは、 輸出額と輸入額の差で、貿易黒字=輸出超過、貿易赤字=輸入超過になります。 本来貿易というのは輸出と輸入が等しくなるはずなのですが、 日本やドイツ、中国のように、輸入以上に輸出する国もあれば、 アメリカやイギリスのように、輸出以上に輸入するという国もあります。 こうした差額分は、要するにカネを貸して充てられることになります。 従って、貿易黒字(正確には経常黒字)というのはカネが海外に流出しているのですが、 後で運用利益を付けて返ってくることになります。 貿易黒字は企業の黒字とは全く異なる概念であり、 家計が将来のために蓄える貯金のようなイメージです。 アメリカなどでは、国内の貯蓄が不足しているため、海外からカネを借り、 為替レートが高めになり、貿易赤字が慢性的な構造になります。 対して、日本や中国などでは、国内の貯蓄が過剰で使う先がないので、 海外にカネを貸して、為替レートが低めになり、貿易黒字が慢性的になります。 直近の貿易黒字の減少は、原油・資源価格の急激な上昇と、その価格転嫁の遅れ、 アメリカ、欧州等の広い地域のマクロ経済環境の悪化と、 昨年末から今年初めにかけて一時的に円が高くなったこと (貿易収支に対する為替レートの影響は何ヶ月か遅れて現れる) が積み重なっているかと思います(3)。 しかし、こうした変化の多くはきまぐれな一時的要因に負っており、 数ヶ月程度の貿易統計を構造的変化と捉えると早とちりになることがよくあります。 国内の貯蓄・投資の構造的なバランスが長期間に渡って変わらない場合、 やがて円がもっと安くなって元通りになる可能性もありますし、 この構造的バランスが変われば、原油が安くなっても貿易赤字になる可能性もあります。 なかなか分かりにくい考え方だと思いますが、 交易利得と貿易黒字、交易損失と貿易赤字は対応している言葉ではなく、 むしろ交易利得と貿易赤字、交易損失と貿易黒字の方が親和性の高い言葉です。 為替レートが低くなると、輸出入が価格面で有利になって貿易黒字は増えますが、 同じだけの輸出によって得られる輸入量は減って、交易利得は減ります。 為替レートが高くなると、輸出入が価格面で不利になって貿易黒字は減りますが、 同じだけの輸出によって得られる輸入量は増えて、交易利得は増えます。 (1)実質実効為替レートの変化 ロシア (2000年)100→(2008年7月)191 オーストラリア (2000年)100→(2008年7月)145 カナダ (2000年)100→(2008年7月)131 ユーロ圏 (2000年)100→(2008年7月)128 中国 (2000年)100→(2008年7月)102 韓国 (2000年)100→(2008年7月)101 イギリス (2000年)100→(2008年7月)87 アメリカ (2000年)100→(2008年7月)82 台湾 (2000年)100→(2008年7月)80 日本 (2000年)100→(2008年7月)65 アルゼンチン (2000年)100→(2008年7月)43 (BISより、2000年を100とした時の、対複数通貨、 インフレ調整済みの為替レートの変化。値は大きいほど為替レートが高く、 小さいほど為替レートは低い) (2)実質GDPと実質GDI 2000年 実質GDP503兆円(うち実質純輸出 7兆円) + 交易利得 0兆円 = 実質GDI503兆円 2002年 実質GDP505兆円(うち実質純輸出 7兆円) - 交易損失 0兆円 = 実質GDI505兆円 2004年 実質GDP527兆円(うち実質純輸出14兆円) - 交易損失 4兆円 = 実質GDI522兆円 2006年 実質GDP550兆円(うち実質純輸出20兆円) - 交易損失15兆円 = 実質GDI535兆円 2007年 実質GDP561兆円(うち実質純輸出26兆円) - 交易損失19兆円 = 実質GDI542兆円 08年Q1 実質GDP569兆円(うち実質純輸出31兆円) - 交易損失26兆円 = 実質GDI543兆円 08年Q2 実質GDP565兆円(うち実質純輸出31兆円) - 交易損失28兆円 = 実質GDI537兆円 (内閣府より、2000年基準価格、08年Q1(1-3月)と08年Q2(4-6月)は一次速報値、季節調整系列の年間換算) (3)貿易黒字と実質実効為替レート、原油輸入価格 07年 7月 貿易黒字 8795億円 実質実効為替 90.9 原油5.37万円/KL 07年 8月 貿易黒字1兆3053億円 実質実効為替 96.1 原油5.41万円/KL 07年 9月 貿易黒字1兆0749億円 実質実効為替 96.4 原油5.15万円/KL 07年10月 貿易黒字1兆2332億円 実質実効為替 94.1 原油5.56万円/KL 07年11月 貿易黒字1兆0670億円 実質実効為替 95.9 原油5.81万円/KL 07年12月 貿易黒字 7120億円 実質実効為替 98.1 原油6.31万円/KL 08年 1月 貿易黒字1兆0658億円 実質実効為替 98.3 原油6.33万円/KL 08年 2月 貿易黒字 4820億円 実質実効為替102.3 原油6.24万円/KL 08年 3月 貿易黒字 7904億円 実質実効為替100.2 原油6.27万円/KL 08年 4月 貿易黒字 6969億円 実質実効為替 98.8 原油6.39万円/KL 08年 5月 貿易黒字 8761億円 実質実効為替 96.5 原油7.05万円/KL 08年 6月 貿易黒字 1262億円 実質実効為替 96.1 原油8.05万円/KL (新しい月は速報値を含む。貿易黒字は財務省より。実は貿易収支の値は複数の方式に別れており、一方が黒字で一方が赤字ということもよくあるが、国際収支ベースの財貿易の季節調整値。実質実効為替レートは日銀より、(1)とは基準が異なる。原油はCIF輸入価格)
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- code1134
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●日本の貿易に於ける円貨建比率が低いままたる事(低いまま推移すると対$(or対ユーロ等の)為替相場の値動きに振回され易く上手くない訳です) http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-32841120080722?feedTyupe=RSS&feedNAME=businessNews&rpc=125 ●原油等のエネルギーや鉱物資源等の(コモディティの)輸入価格に対して、輸出の大半を占める工業製品の価格への転嫁が上手く進まない事 (例えるなら、"物価高になったのに小遣いの額が上がらないと懐が寒くなる"様な物でしょうか?) http://www.dir.co.jp/publicity/column/080528.html の上記2つが交易赤字"\28兆の背景"の主要因と言えそうです。
- mat983
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080814-00000119-mai-bus_all http://zai.diamond.jp/servlets/Query?SRC=zai/news/top&newsid=3438 上記サイトが分かりやすいです。 原油を中心とする資源価格の高騰が背景でお金が流出しています。