有史以来ずっと宇宙線は降り注ぎ続けています。もしホーキング輻射が起こらないのであればブラックホールは消滅しないのですから、この大気中に見てわかるだけのMBHがうじゃうじゃいないとおかしいことになります。
現在地球に降り注ぐ、10TeV以上のエネルギーをもつ宇宙線フラックスは
I(>10TeV)=10^(-6.8)=1.6x10^(-7) particles/cm^2.s.sr
です。これに地球断面積 1.3x10^17 cm^2、立体角 2π をかけ、さらに地球年年齢45億年=1.4x10^17s をかけることで、これまで地球に降り注いできたLHCイベントを超えたエネルギーをもつ宇宙線の個数がわかります。
というわけで、全部掛け合わせると
1.6x10^(-7)x1.3x10^17x6.3x1.4x10^17=1.8x10^28 events
となります。もしLHCエネルギーでMBHができるならば、地球に降り注ぐ宇宙線により大気中にはこれだけのMBHが残存しているはずです。
これを地球大気の体積で割ってみましょう。大気の厚みを100kmとして大気の全体積は 5.1x10^19 m^3 ですので
残存MBH密度=3.6x10^8 個/m^3
となります。1立方メートルあたり3億6千万個のMBHがあるとは信じられません。
LHCでMBHはできそうだと思いますか?
お礼
分かりやすい説明ありがとうございます。 これを見る限りLHCではできそうにありませんね