誘導電動機ではローター内に発生した渦電流により誘起された磁界をコイルによって発生された磁界が駆動する形態をとりますが、ローターに誘起される磁界は電磁誘導によって形成されるもので、ローターに対して固定された位置関係を持ちません。そこでローター内で外部磁界の回転よって発生する磁界は必ずしも固定されているわけではありません。ローター内での渦電流の移動ということが起こりうるわけです。これをスリップと呼びますが、このような状況になると誘導機の効率は極端に落ちる場合が多くローターの発熱や逆起電力低下による磁界コイルのインピーダンスの低下による発熱によって電動機の焼損を招くこともあります。
ヒステリシス(同期)電動機と異なりローター自体に固体された磁気を持たせないためにこる現象でしょう。
ただ、この性質をうまく利用すると周波数に依存するはずの誘導電動機の回転数の制御が割と簡単に行えることは確かです。どこの家庭にでもある扇風機の強弱の制御はこれをうまく利用している例のひとつです。