こんにちは。
ここには相関関係というものがありませんから、照度によって感情を分類するということは基本的にできないです。
「感情」といいますのは「大脳辺縁系の情動反応」によって生み出されます。
刺激の強い弱いは「生理反応」であり、これに対して行なわれる「快・不快の判定」が「情動反応」です。そして、「明るい・暗い」というのは「状況判断」であり、大脳辺縁系はこの「与えられた状況」に対して「利益・不利益の価値判定」を行い、情動反応を発生させています。
つまり、大脳辺縁系は「照度という情報」に対しては何の価値判断も行わないわけです。これがどういうことかと言いますと、ここには「感覚入力」と「結果出力」という関係は存在しないということです。
このように、我々の脳は照度に対して特定の感情を選択するようには作られていませんので、これによって感情を分類するというのはどうやってもできないです。
「暗くて怖い」というのは照度に対する判定ではありません。大脳辺縁系は視覚が不自由であることに「不利益」という結果を出力しています。では、ここで自分の身の回りや足元が良く見えないという状況に対して「危険」という判断が下されますと、我々にはこれが「恐怖」という感情として自覚されます。
このように、感情といいますのは「明るい・暗い」に対して発生しているのではなく、「状況判断」によって選択されるものです。ですから、夜行性の動物はそれを「安全な状況」と判定し、逆に明るくされれば危険を感じて逃げ出します。
部屋の照明を落としてゆっくりできるのは、これは視覚刺激や注意状態が緩和されるからです。刺激が弱まり、処理される情報が少なくなれば中枢系は安静状態へ移行します。この変化は自律系を介して身体にも現れますので、我々はこの状態を「やすらぎ」と感じています。ですが、ここでひと度「細かい作業」や「探し物」などを始めてしまいますと、その部屋の暗さは必ずや不快なものとなります。
「お天気晴々わくわく気分」といいますのは、
「その日の天気」
「生理状態」
「活動のしやすさ」
このような状況に対応するものであり、間違っても照度に基づく判定ではないです。
視覚といいますのは感覚入力ですから、我々の生理状態は「刺激の強さ」や「日照リズム」などによって変化します。そして、それは必ずしも特定の感情と対応するものではありませんが、この生理状態の変化は「状況判断」や「感情の起伏」などに作用します。ですから、我々の脳はこのような「身体内外の環境の変化」を評価することによって感情を発生させているわけですから、部屋の明るさや色彩などを組み合わせることによってそれを誘導することはできます。そして、このようなものは従来の「感覚心理学」や照明設計などの「人間工学」、あるいは、近年では「感性工学」といった様々な分野で盛んに研究されています。