どこの教授が言ってたのか、ちょっと教えて欲しいぐらいです。
眉唾もいいところ。科学的ではありません。
1ヶ月で梅を取り出すなんて、もったいないにもほどがあります!
結論から言えば、梅酒の梅は取り出さなくて平気です。
まず梅の毒素の説明から。
梅(主に種)に含まれる『アミグダリン』自体には毒性はありません。果実の熟成がすすむにつれ、酵素によって幾度か分解され『ベンズアルデヒド』と微量の『シアン化水素(青酸)』を発生させます。おそらく教授が言ってるのはこのシアン化水素のことだと思いますが、これらは実にもろく時間の経過と共に揮発分散してしまいます。
ちなみにこれらは梅に限らず杏やスモモでもおきる現象です。『ベンズアルデヒド』は梅・モモ・スモモ類の独特の芳香の素になっています。その教授の理論から言えば、スモモや杏の熟した状態でも青酸毒があるから食べてはならぬ。となります。おかしいですよね?
梅酒の場合は青梅を入れますが、お酒が酵素に働きかけて果実が熟したのと同じ状態を作り出します。つまりお酒の中にベンズアルデヒドとシアン化水素が溶け出した状態ですが、こちらも時間の経過で揮発してしまいます。ちなみに梅シロップの青梅も、同じ現象を起こします。
仮にまだ混ざっている状態でもごくごく微量なので、これを摂取して死ぬぐらいの量を飲めば、急性アルコール中毒で死亡するでしょう。#4の方が書いてある通り、青梅の種だけを大量摂取しないかぎり青酸が原因で死亡するのは無理です。
※アミグダリンが健康にいい、癌に効く、という迷信で杏仁ばかりを何十個も摂取して体内で加水分解され、青酸中毒になった特殊な例はあります。
ただ、長く入れると梅の実自体が崩れやすくなります。
漬けた梅の品種にもよりますが、南高梅など果肉の柔らかい梅干向けの品種だと、長く寝かせると果肉が崩れどろどろになります。そうなると梅酒としてもあまり美味しくいただけなくなるので、崩れる前に早めに取り出します。白加賀や古城など梅酒向きの果肉のしっかりしたものなら10年ぐらい持ちますが、南高梅の場合長くて3~5年で取り出したほうが、梅酒が状態よく保存できます。1年以内だとまだ種子からのベンズアルデヒドが引き出しきれてないので、2年以上の漬け込み、5年以内の引き上げをお勧めします。
補足
遅くなりましたが、ありがとうございます。「どこの教授が言ってたのか、ちょっと教えて欲しい」とのこどでしたので、探していて時間が経ちました。テーマが「未病」と言う内容でしたが、「日本薬科大学 教授 医学博士 丁 宗鐡先生 」という教授です。みのさんも「へーそうですか!」とびっくりしていましたよ。なので、1-2年物からあわててウメを取り出しました。