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反応時間の分布を教えてください
排水槽での反応時間の分布について教えてください。 ・反応槽(1):5t ・反応槽(2):5t ・pH調整槽:2t ・凝集槽 :2t 全ての槽に攪拌機があり、次の槽へはオーバーフローで流れます 排水量は一日100tです。 排水はポンプで流速0.5t/minで流しているので、反応槽(1)で10分、反応槽(2)で10分合計20分の反応時間を確保していると思っているのですが、実際はどうなんでしょうか? 反応時間20分よりも短い時間や長い時間で次の槽に流れていく排水も あるのでは?と思っています。 しっかり20分の反応時間が確保されている排水は全体の何%なんでしょうか?また、5分、10分、30分など短時間や長時間の反応時間で流れていく排水は全体の何%なんでしょうか? 計算の方法を教えてください。お願いします。
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反応槽とはでっかいバケツのことだと思って、バケツは満杯で、しかも猛烈な勢いでかき回しているとします。また、このバケツに突っ込んだホースから一定の流量の水がちろちろ流れ出しており、従ってバケツは常にちろちろ溢れている。 この状態で、ホースの上流に注射器を刺して赤インクを1[g]、一瞬で流し込むと考えましょう。 ホースの出口からインクの塊が出た瞬間、猛烈な撹拌のせいでバケツ全体がインクに染まる。この瞬間のバケツ内のインクの総量は1[g]ですね。これを時刻0[分]とします。 さて、その後もホースからちろちろと水が入って来て、バケツの水が溢れて行きます。なので、バケツ内のインクはだんだん薄められて行く。 バケツの容積をV[立方メートル]、水の流量をF[立方メートル/分]とすると、時刻t[分]におけるバケツ内のインクの総量K(t)[g]は、 dK(t)/dt = -FK(t)/V という微分方程式で表されます。これを解くと、 K(t)=exp(-Ft/V) [g] となります。ただし、exp(-Ft/V)というのは指数関数(1/(e=2.718…の(Ft/V)乗))です。 縦軸をK(t)、横軸をtにしてグラフを描くと、K(0)=1から始まる右下がりの曲線で、tが大きくなるにつれてK(t)はどんどん0に近づいて行くんですが、だんだん曲線の傾斜が緩くなる。そして、K(t)はいくらでも0に近づくけれども決して0にはならない。そういうだらだらした曲線を描きます。(関数電卓でも計算できるし、Excelでグラフを描くのも簡単です。) このK(t)は「流入後t分間以上バケツの中にあった赤インクの分子が赤インク全体に占める割合はK(t)である」ということを表しています。だから、「流入後t分間未満の時間バケツの中にあった赤インクの分子が赤インク全体に占める割合は1-K(t)」です。 ところで、ある分子は反応槽に入ってすぐに反応し、別の分子はTをずっと過ぎてから反応する。簡単な無機化学の反応の場合(そして良く撹拌された場合)、「まだ反応していない分子がバケツの中にある分子全体に占める割合」は、実は上記と同じ指数関数で表されます(F,Vのところは違いますが)。 なので、「T分間反応させる」という規則は、「T分間反応させると、この設備では、ま、そこそこの収量が得られる。で、それ以上待ってもあんまり収量が増えないから、単位時間当りの生産量は却って減ってしまう」というような計算から割り出されるのです。つまり、最適な「反応時間T」を決めるには、反応槽内の濃度変化を表す式だけでなく、反応の進み具合を表す式も必要です。さらに、もっと本気で最適な生産方法を考えるなら、後処理工程の能力、投入する材料のコスト、反応しなかった材料の処理コストなど、かなり大規模な範囲に渡る複雑な計算が必要になっちゃいます。
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タンク内に流入する方の反応物質(これをR_iとします)とタンク内にある方の反応物質 (これをR_tとします)が、R_i+R_t→P という反応を起こすとします。 そして、タンクに流入する物質R_iの流入前の濃度をC_0、時刻 tにおけるタンク内の 濃度をC_i(t)とし、タンク内にある方の反応物質R_tの濃度を、A_tとします。 これらの物質の反応速度が、(反応速度)=k・C_i(t)・A_t=λ・C_i(t) と表わせるとします。 つまり、A_tは非常に大きく、k[A_t]は定数と見なせて、λ(定数)と置けるとします。 (質問者さんは、反応槽内で化学反応が起こることを前提に、反応時間分布を調べようと されていますが、どのような反応か書かれていないので、流入物質の濃度に係わる反応を 仮定してみました。) タンクの体積を V、反応物 R_i の流入量(オーバーフロー量でもあります)を F とします。 このようなモデルで、タンク内の R_i 物質の濃度 C_i(t) がどのように変化するか考え、 反応量を経過時間と関係付けてみます。 V・C_i(t+ΔT)=V・C_i(t)-(F・Δt)・C_i(t)-λ・C_i(t)・Δt という式を得ます。 左辺は、t から僅かの時間が経った時刻 t+Δt タンク内R_i物質量。 右辺第一項は、時刻 t における R_i 物質量。 右辺第二項は、Δt時間の間にオーバーフローによって出て行ったタンク内R_i物質量。 右辺第三項は、反応によって減ったタンク内R_i物質量。 左辺は、タンク内R_i物質の濃度変化を ΔC_i(t) と書くことにすれば、 V・{C_i(t)+ΔC_i(t)} となります。 整理すると、V・ΔC_i(t)=-(F・Δt)・C_i(t)-λ・V・C_i(t)・Δt 両辺をΔt、V で割り、Δtを限りなく 0 に近づけると、 dC_i(t)/dt=-{(F/V)+λ}・C_i(t) または、 {dC_i(t)/dt}/C_i(t)=-(F/V)+λ (1) となります。 この微分方程式を解くと、 C_i(t)=C_i(0)・e^[-{(F/V)+λ}・t] =C_0・e^[-{(F/V)+λ}・t] となります。 C_i(0)は、タンクに流入した直後の R_i 物質の濃度で、C_0 に等しいものです。 ここで、注意すべきことが二つあります。 (1) 実際にはオーバーフローするまでの間は、V はタンクに入っているR_i の体積で、 オーバーフローし始めて、V は一定になります。 (2) タンクにおいては、R_i 物質流入後、たちまち完全な攪拌が起こり、タンク内濃度が 均一になるとしていることです。F/V を無視すれば、反応は起こるが、攪拌が無いという 場合を考慮したことになります。 これから、反応量の分布を考えます。 反応量は、 C_0-C_i(t)=C_0・〔1-e^[-{(F/V)+λ}・t]〕 ですので、流入後、非常に短い時間 Δt の間の反応量は C_0・〔1-e^[-{(F/V)+λ}・Δt]〕 ≒C_0・(1-〔1-[{(F/V)+λ}・Δt]〕) =C_0・[{(F/V)+λ}・Δt] となります。 今、(C_0・[{(F/V)+λ}・Δt])/C_0 が仮に20%、つまり、 (反応+オーバーフロー)が起こった時間がΔtであるときの反応割合が20%であったとした時、 (1)式が示すように、C_i(t)がいくらであろうと、変化率 {dC_i(t)/dt}/C_i(t) は一定なので、つぎのΔt時間の間には、つまり、t+Δt からt+2・Δt には 反応量は、反応の初期濃度を C_0・(100%-20%)として、 C_0・(100%-20%)・[{(F/V)+λ}・Δt])/C_0 =C_0・(100%-20%)・[{(F/V)+λ}・Δt])/[{C_0・(100%-20%)}/(100%-20%)] =20%・80% で、 元の濃度の16%となります。 つまり、オーバーフローをも考慮した反応時間の分布は、 C_0 を、改めてC_i(t)と置くことによって得られる関係 C_0・e^[-{(F/V)+λ}・t]・〔1-e^[-{(F/V)+λ}・t]〕/C_0 =〔e^[-{(F/V)+λ}・t]〕・〔1-e^[-{(F/V)+λ}・t]〕 となるといえます。
お礼
回答ありがとうございました。 とても複雑な計算を行わないといけなかったんですね。 とても親切な回答で、とても参考になりました。 ほんとうにありがとうございます。
お礼
すばやい回答ありがとうございます。 実際に計算してみて、反応時間が全然とれていないことにビックリしました。教えていただいたことを参考に調整していきたいと思います。