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燃料電池の高分子膜について
固体高分子型燃料電池に使用される高分子膜には、水が含まれた方がいいそうですが、それはなぜでしょうか?
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まず固体高分子形燃料電池(PEFC)の作動原理の概要を知っておく必要があるかと思います。それに関しては http://www.ab11.yamanashi.ac.jp/~mwatanab/index.html などにわかりやすく説明されていると思います。 高分子膜(主にNafionという膜が使われます)は電解質として働く、つまりイオン(燃料電池においてはは水素イオン, H+)が移動する場を提供するという役割を持ち、疎水性の骨格(テフロンです)に枝状の親水性側鎖(スルホン酸基, SO3-, を持つフッ素系のもので、H+の移動に関係します)が結合した構造をしています。(http://faculty.web.waseda.ac.jp/katsuta/team/FC.htmを参考にしてください)燃料電池に使用する上でこの膜の中をスムーズにH+が移動できるかどうかが非常に重要です。もし水がなく完全に乾燥している場合、H+は全く移動できません。なぜならH+はスルホン酸基に固定されてしまいH+として移動するのには非常に大きなエネルギーを必要とします。このため室温程度の状態では移動できないのです。しかし水が存在するとH+は水を伴って安定化し(水和と言います。http://www.con-pro.net/readings/water/doc0038.htmlなどを参照してみてください)移動できるようになります。これを簡単にたとえるなら塩の結晶は電気を通さないけれど塩水は電気を通すというのとおなじといえます。 また、水が存在することにより親水性の部分は親水性の部分、疎水性の部分は疎水性の部分で集合してH+を通しやすい親水性の通路を持つ構造を作ることが知られています(英語サイトですがhttp://www.psrc.usm.edu/mauritz/nafion.htmlなどを参考にしてください)。 以上のことから、高分子電解質形燃料電池に用いられる高分子膜には水が不可欠であると言えます。。
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- transient
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遅くなりましたが追加の疑問点についてです。 (1)お考えの通り、水が多く存在する(含水率=膜中に含まれるスルホン酸基1個に対する水分子の割合 が高い)ほど高いイオン導電率(プロトンの通りやすさ)は高くなるというデータがあります。(下記URLを参考にしてください。PDFファイルですのでAdobe Acrobat Readerをご用意ください)しかし、燃料電池に使用する際にはあまり含水率を高くすると膜の機械強度の低下やガス透過性が高くなる(水素や酸素が膜を通過し、直接反応してしまうため、燃料効率の低下などが起こります)ため、適当に調整する必要があります。 (2)参考資料が見つからなかったので正確ではありませんが確かプロトンは一個あたり3~7分子の水を伴って移動するという報告があったかと思います。 http://www.tytlabs.co.jp/office/library/review/rev294j.html 13 高分子電解質型燃料電池 (294_013_kawaura.pdf)
お礼
ご親切に二回も回答していただき、ありがとうございます。参考URLも燃料電池のしくみについてよくまとまっており、非常に分かりやすかったです。本当にありがとうございました。
お礼
非常に丁寧な回答ありがとうございます。 水が存在することにより、プロトンの通り道のようなものができる、ということでよろしいでしょうか? イメージがつかめたのですが、疑問点がいくつか発生してしまいました。 (1)水は多く存在するほど、高分子膜はプロトンを通しやすいのでしょうか? (2)プロトンが膜を通る際、水和した状態になると、H3O+イオンとして存在するのか、それとも錯イオンのようなものを形成するのでしょうか? 一つのことでもいいので、回答をいただけると幸いです。