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犯罪の成立について
よく、日常生活の中の些細なこと(隣の家の柿を食べたとか)でも「これって罪ですか?」という質問がこのサイトやテレビなどでも採り上げられますが、そこで疑問です。 「~罪で、ウン十万以下の罰金が…」「えええええ!こんなんでも罪になるんですねえ」「でもこの程度なら罰金取られるほどではないでしょう」というやりとりが度々あります。 確か犯罪の成立には、刑法の構成要件(?)に該当してなおかつ『罰を与えるのに匹敵する』ことが条件だったような。それですと「~罪だが罰金取るほどではない」という考え方は存在しないはずですよね?罰金を取らない時点でそもそも犯罪は成立してないので。 これで合ってますか?細かいことですがふと気になったもので。ちなみに私は理系でしたが、少し興味があったので週に一コマだけ刑法の授業を受けてた程度の知識です。
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犯罪とは、 構成要件に該当し違法かつ有責な行為 です。 「罰金取るほどではない」と言うのが、 1.可罰的違法性を欠きそもそも犯罪とならない という話なのか、 2.一応犯罪ではあるが当罰性が低い(無ければ犯罪にはならない)行為なので「起訴猶予にする」「執行猶予にする」 という話なのかは状況によりけりなので、その意味するところが犯罪の成否にかかわる話なのかどうかは分からないとしか言えません。実体法上の問題として犯罪が成立するかどうかと、実際に科刑を行うために手続きに載せるかどうかは別問題です。犯罪だけど当罰性が低いから微罪処分にするとか不起訴処分にするとか言えば、手続きに載らない以上、刑を科されることはありません。 しかし、だからと言って「犯罪でない」ということにはなりません。 確かに某大学の刑法学の教授(元検事らしい)は「有罪の裁判が無い限り犯罪は存在していない」というようなことを言っていますが(正確な趣旨は不明です。念のため)、迷宮入りの事件が「犯罪として存在していない」などと言うのがおよそ非常識なのは、言うまでもないでしょう。
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>「正当防衛」「ボクサーが殴る」「手術」などは可罰的違法性がないから犯罪ではないと 通説の先で言えば、「正当防衛」は刑法36条に定める明文の違法性阻却事由であり、明文のない解釈論上の議論である可罰的違法性とはまったく別です。また、「ボクサーがボクシングの試合でルールに則って相手を殴る」「医師が患者の明示又は黙示の依頼によりあるいは自殺希望者など治療を希望しない者であっても社会通念上医師の倫理観に則り適正な治療手段として手術を行う」のは正当防衛とは別の明文の違法性阻却事由である正当業務行為(刑法35条)の問題です。 >違法性の意味を、『違法であること』ととは『罰を与えるのに匹敵する』ことだと思っていましたが、必ずしもそうではないのでしょうか。 はい、必ずしもそうではないということです。違法性にも程度があって、「刑罰を科すにふさわしい違法性」と「そうでない違法性」とがあるのです。 もっとも、細かい話をするなら可罰的違法性論と一口に言っても、絶対的軽微と相対的軽微を分けるのが普通です。そして、その位置付けも、大別して、構成要件該当性阻却説と違法性阻却説と絶対的軽微は構成要件該当性を阻却して相対的軽微は違法性を阻却すると解する説とあります。なのですが、この詳細を書き始めると、違法性の本質論も含めてとんでもない量になるのでとりあえずここまでで止めておきます。 >2の場合は犯罪が成立した後の話なのでしょうか?「可罰的違法性がある→犯罪→今回はまあ勘弁してあげよう」ってことでしょうか?これだと罰はないけど犯罪ですね。 そうです。起訴すれば有罪判決が出るけど刑事政策上、起訴せずに終わらせた方が良い(微罪処分とか起訴猶予)、有罪だけど様子を見て刑罰を科すのは保留しよう(執行猶予)というような場合、犯罪であっても刑罰を科す必要が直ちにあるわけではないということになります。しかし、「刑罰を科すだけの違法性が無い」というわけではありません。刑罰を科すにふさわしい違法性はあるが、それでも「刑事政策上の配慮として」刑罰を(あるいは訴訟手続き自体を)避けた方が良いという判断でしかありません。 >「迷宮入り」については素人考えでは、 (中略) 「犯罪」と言い切れないこともあるのではと思いました。 それは私の記述の趣旨とは違います。 例えば心神喪失者が犯人であれば「犯罪ではない」と、法理論上言えます。あるいは犯人が14歳未満とか。その意味で「迷宮入りだから犯人が何者かわからない以上犯罪かどうかはわからない」というのは確かです。 しかし、ここで挙げた「迷宮入り」という例は、「迷宮入りした事件が真犯人が不明なため犯罪であるかどうか解らない」という問題とはまったく関係がありません。 「迷宮入りしたって真実犯罪ならば犯罪である」ということが言いたいだけです。つまり、「犯罪であることが前提の話」なのです。迷宮入りしたって犯罪は犯罪であると言っているだけで、「迷宮入りするのはすべて犯罪である」とか「迷宮入りしたから犯罪である」などと言っているわけではありません。犯罪でない場合は元々問題にしていないだけです。その意味では、「迷宮入りの事件」と言わずに「迷宮入りの犯罪」と言っておくべきだったかもしれません。 「迷宮入りしようがすまいが犯罪は犯罪であるし犯罪でないものは犯罪でない」のです。迷宮入りかどうかは犯罪であるかどうかとは関係ないのです。そしてここでは「手続きに載っていなくても犯罪は犯罪」と言いたいだけなので「手続きいかんに関わらず犯罪でない場合」はどうでもいいのです。そこで、「(例えば迷宮入りして)手続きに載っていないが故に有罪の裁判がないから犯罪でない」というのは明らかに非常識だと言っているだけなのです。
お礼
ありがとうございます。 >違法性にも程度があって、「刑罰を科すにふさわしい違法性」と「そうでない違法性」とがあるのです。 なるほど。そのラインがどこかの議論はちょっと私の手の届かないとこに行ってしまいそうです。 まだ難しいことがありそうですが、「罰を与えるほどではないから犯罪ではない」という極論は、ちょっと素人考えだったようです。勉強になりました。
うーん、ogata9さんの表現は正確ではないと思います。 まず、犯罪が成立するかという問題と(罰金を含めて)刑罰を科すべきかという問題はぜんぜん違う話です。 罰金を取らないからといって犯罪が成立しないということではありません。犯罪が成立しても刑罰科さないこともあります。 犯罪の成立要件は刑法の構成要件に該当してなおかつ違法であることです。(正当防衛の場合は違法であるとはいえませんね。厳密に言えばさらに犯人が自分のしたことに責任をもてる状態であることも必要です。) otaga9さんのいう」『罰を与えるのに匹敵する』ことっていうのは『違法であること』の勘違いではないでしょうか。 間違ってたらごめんなさい。
お礼
ありがとうございます。 「正当防衛」「ボクサーが殴る」「手術」などは可罰的違法性がないから犯罪ではないと認識していましたが、可罰的違法性の意味を、『違法であること』ととは『罰を与えるのに匹敵する』ことだと思っていましたが、必ずしもそうではないのでしょうか。
お礼
ありがとうございます。 私が覚えていたのは、1の「可罰的違法性を欠きそもそも犯罪とならない」でした。 2の場合は犯罪が成立した後の話なのでしょうか?「可罰的違法性がある→犯罪→今回はまあ勘弁してあげよう」ってことでしょうか?これだと罰はないけど犯罪ですね。 「迷宮入り」については素人考えでは、事件もしくは事故として存在はするけど、迷宮入りになっているぐらいなので可罰的違法性が必ずしもあるとは確信を持っては言えず、「犯罪」と言い切れないこともあるのではと思いました。