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「不可罰」「犯罪不成立」「構成要件該当性あるが違法性or責任阻却」「無
「不可罰」「犯罪不成立」「構成要件該当性あるが違法性or責任阻却」「無罪」 これらの関係・用法がイマイチ把握できません。 たとえば、刑事未成年の行為は「不可罰」と表現されています(山口総論・西田総論)。 と同時に、当該未成年は「無罪」です。 また、「構成要件該当性あるが責任阻却」とも言えますが、 だから「犯罪不成立」であり「無罪」と言えるのかどうかは自信がありません。 構成要件を犯罪類型とみるか否かで結論が異なりそうな気もしますが、 突っ込みすぎて少々混乱しています。 明確な定義の上で紹介されているのを見たことがないので、 ラフに使っても通じるのでしょうが、 論者は何らかの識別をしているように思います。 分かりにくい質問で申し訳ありません。
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字数制限に引っ掛かったから分ける。 「不可罰」の典型的な用例として「器物損壊の過失犯は不可罰である」なんて言うね。これはすなわち、そもそも刑罰法規の制定前の段階で器物損壊の過失犯には刑罰を科すべきではないという価値判断をしたということであり、その結果、構成要件自体が存在しないということになる。条文が存在しないとか構成要件が存在しないという形式面から不可罰という言い方をしているのだけど、実質的には、そもそも刑罰を科すに値しないからこそ形式的な条文というものが存在しないというわけ。 では、「器物損壊の過失犯は構成要件該当性を欠き不成立である」と言うのはどうか。間違いじゃないが、そもそも「構成要件該当性」を問題にする場合は、「構成要件を基準に当該行為が該当しない」と述べているのに対して、「不可罰」と言う場合には、「もともと当該行為を処罰すべきではないという価値判断を基準に、当該行為に該当する構成要件が存在しない」ということを述べているわけで、見方が正反対なんだな。で、わざわざ存在しない構成要件を基準にして考えて「該当しない」なんて言い方をするのは、間違いじゃないが、意味のある考え方ではないので、普通はしない。 だから、形式的に構成要件に該当する不可罰的事後行為においても、「窃盗犯人による盗品の破壊は不可罰である」と述べるのと「窃盗犯人による盗品の破壊は構成要件該当性を欠き不成立である」と述べるのとでは、結局は同じなんだけど、前者は犯罪の成立に必要な実質的価値判断としての可罰性から出発して器物損壊罪の成立を否定するという結論に至るのに対して、後者は器物損壊罪が成立しない理由を構成要件という形式の面から見て述べているにすぎない。不可罰的事後行為は、過失犯の例と違って形式的には犯罪成立要件を満たすから、意味のある考え方ではないとまでは言わないけど、その本質は同じと見て良い。つまり、実質面を起点にするか形式面を起点にするかということ。 もっとも、最終的には「文脈」によるし、多分厳密に使い分けずに何となくという場合も少なくないから、概ね「同じようなもん」と思っておいても十分だと思うよ。むしろ重要なのは、「犯罪不成立」にしろ「無罪」にしろ「不可罰」にしろ、「なぜその結論になるのか」という部分。つまり、成立要件を欠くのか証明の問題か刑法の謙抑性などの根本的な要請による法政策の問題なのかはたまたそれ以外か、その結論となる根拠がなんなのかということを理解するのが最も大切(そもそも使い分けは、根拠ではなく結果に過ぎないことが多いのだから)。言葉の厳密な使い分けは時として「筆者の趣味」の面があるので、拘泥し過ぎないほうが良いよ。 余談。自分も「解る」(理解するという意味)と「判る」(区別できる、判断できるという意味)と「分かる」(それ以外または知るという意味)と使い分けるけど、別に使い分けなくても意味は大体通じる。多少几帳面な性格から生じる単なる趣味だね。
イマイチじゃなくて全然解ってないと思うよ。 まず基本的な話として、1番の回答にもあるとおり、犯罪とは構成要件に該当する違法有責な行為であるというのが通説的な見解だね。ここで、「構成要件に該当」「違法」「有責」「行為」っていう4つの要素はなんだと思う? 犯 罪 の 成 立 要 件 なんだよ。犯罪が成立するためにはこの4つの要件を満たす必要がある。つまり、どれか一つでも欠ければ犯罪にならないということ。 ということはなんだ?刑事未成年者は体系的には責任を欠くということになっている。つまり、責任という犯罪成立要件を満たさないわけだ。だから、「犯罪不成立」ということになる。結局、構成要件に該当し違法性阻却事由のない行為であっても、刑事未成年であれば責任を欠くから成立要件を欠いて「犯罪不成立」というわけ。 さて、「無罪」とか「不可罰」とかいう言葉だけど、これは話の筋によって実は用法が若干変わる。だから、文脈から判断してくれというのが本当のところ。 だけど、一般論として言うなら、「無罪」とは「犯罪が成立(したことを立証)しない場合に言い渡す裁判」のことであり、「不可罰」とは「刑罰を科すことができない、または、科すべきでない」という価値判断のこと。つまりどういうことかと言えば、実体法の観点から見たのが「犯罪不成立」であり、訴訟の観点から見たのが「無罪」であり、実体法上の処罰阻却または法政策もしくは法解釈の観点から見たのが「不可罰」ってこと。 もうちょっと冗長な説明をすれば、 犯罪不成立とは、「実体法上の犯罪成立要件を欠くために犯罪が成立しない」という意味。 無罪とは、「実体法上の犯罪成立要件を欠くため犯罪とならない場合の訴訟上の結論」のこと、または「実体法上の犯罪成立要件の存在の立証ができなかった場合の訴訟上の結論」のこと。 不可罰とは、犯罪成立要件以外に処罰条件がある場合に処罰要件を欠く場合の「実体法上処罰ができない」という意味、または「法政策もしくは法解釈上、処罰に値しない、即ち、可罰でない」という意味(もっともこの両者は根本において同じだと考えても良いとは思う)。 ってところ。 だから犯罪不成立と無罪はほぼ同じ意味だけど、厳密には、「証明できなかった」という訴訟法特有の問題も含んでいるか(あるいは含みうるか)という点で違う(ただし、実体法の解説で無罪と言う場合には、実体法の議論ではそもそも証明が問題にならないのだから犯罪不成立と同じ意味であることがほとんどだけど。強いて言えば、分析的に見て要件が欠けることを問題とする場合には、「犯罪不成立」、端的に結論を言えば済むだけなら「無罪」と言い分けることもないではないけど、単に「無罪」の方が文字数が少ないという程度のこともあるかもしれない)。そして、「不可罰」は、処罰条件を満たさないという意味の場合には犯罪は成立しているのだから「犯罪不成立」とは意味が違うけど、政策ないし解釈において処罰に値しないという意味の場合には、「犯罪不成立」とほぼ同じ意味。強いて言うなら、要件が欠けるという点に注目すれば「犯罪不成立」であり、要件から離れて、あるいは要件の検討の前提としての価値判断の問題として言うなら「不可罰」という使い分けはできる。なお、「不可罰」の場合に犯罪が成立しないのは、構成要件に該当しない場合と違法性を阻却する場合がある。 不可罰をもうちょっと説明すると、いわゆる「不可罰的事後行為」というのを理解すれば解り易い。不可罰的事後行為というのは、既にある犯罪を犯した者が更に、形式的には構成要件に該当する新たな行為を行っても、法的評価としては既に犯した犯罪に包含すべきものとして犯罪が成立しない場合を言う。典型的には、窃盗犯人が盗品を意図的に破壊しても器物損壊罪は別途成立しないというもの。この場合には、「不可罰」とは、犯罪の成否の検討の前提としてあるいは検討に先立って「法解釈ひいては法政策的に窃盗罪以外に別途器物損壊罪の責任を問う必要がない」即ち「刑罰を科すに値しない」という価値判断を行うことに眼目がある。 処罰条件というのも結局は「客観的には犯罪は成立すると考えるべきだがそれでもなお、法政策的に刑罰を科すに値しない場合を除外する」という目的があるから、その意味では、「法政策的には刑罰を科すに値しない場合を類型化したもの」であり、結局は「刑罰を科すに値するか否か」という前要件的判断の結果であるとも言って良いとは思うけど。ただ、あくまでも犯罪が成立するという点で一般的抽象的な不可罰とは異なるけど。 ちなみに予備罪の処罰規定がある場合に、本来の罪を犯すと、予備罪は不問になることを「不可罰的事前行為」と言うこともある。例えば殺人予備を行ってもその後に殺人を実際に行えば、予備は不可罰的事前行為となる。
- tolio
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犯罪=構成要件に該当する違法かつ有責な行為 ですよね。 ならば、「構成要件該当性はあるが責任阻却」だったり「違法性阻却」なら、構成要件に該当する違法で有責な行為ではありませんから、「犯罪不成立」ということになりますよね。 「不可罰」・「無罪」については、その定義があいまいなのですが、広義には「犯罪不成立」と同義だと思います。 狭義には「犯罪は成立するが特に刑罰を受けない場合」を指すものと思われます。 たとえば、親族相盗例の根拠を政策説に求める場合、親族相盗例の適用される窃盗は、構成要件に該当する違法で有責な行為なので「犯罪」の要件は満たしますが、政策上特に刑罰を受けない=不可罰・無罪ということになります。 ちなみに・・・ 私は、「不可罰」については後者のような場合にのみ使用します。 文章を書く場合、通常は、「・・・Xの行為は違法性を欠くため、傷害罪は成立しない」というように締めます。