• 締切済み

二重売買について。(民法総則)

法学部一年生です。 二重売買に関しては、 「Aは、自己の所有する土地甲をBに売却し、さらにBが登記を得る前に、Aは甲をCにも売却した。このとき、CがBより先に甲の所有権を取得した場合は、Bは登記という対抗要件を備えていないため、Cが甲の所有者であると主張できる。」とされていますよね。 ここで疑問なんですが、なぜ土地甲の所有権を持っていないはずのAが、再び甲を譲渡できるのでしょうか。権利のないAからCに所有権はうつらないと考えられ、むしろA-Cの売買契約は無効とされるべきなのではないでしょうか。登記を信頼した者を保護しなければならないという観点から無効とされないのだとしたら、土地甲の所有権のないAから甲を買うという行為はどのように説明されますか?

みんなの回答

  • kanpyou
  • ベストアンサー率25% (662/2590)
回答No.8

学部の一年生ということで、現在「民法 総則」を学習中なのでしょう。 二重売買における権利関係の得喪については、「物権」で詳しく学習します。 アウトラインに触れると、 物権の変動 ・「意思主義」と「形式主義」…意思表示による変動と、登記など様式性を求めるもの ・「物権行為の独自性・無因性」…売買などの「契約」(債権行為?)を切り離し、登記など「物権行為」において物権が変動するのか。変動する場合は契約無効の場合、これを切り離して、物権行為だけで変動をを肯定できるか。(形式主義的視点)  それらの類型として I契約主義(合意主義)…意思主義を反映 II登記主義(引渡主義)…意思主義と形式主義の折衷(有因変動(契約など)と敵対・排他性(登記)による) III物件的合意主義…形式主義を反映 (*注意しなければならないのは、わが国では物権行為の独自性・無因性は否定されていて、I説ないしII説が反映されていると思われる。) 問題となるのが、176条と177条の関係で、 二重譲渡「不動産物権変動 総説」後段辺り http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E9%87%8D%E8%AD%B2%E6%B8%A1 「第1譲渡の意思表示によって物権変動は生じているとし、~物権変動は一時点をもって決するような明確なものではなく登記を備えるまでは外部から分からないため確定的でない」としています。 しかし、これは、176条と177条との判断を示しているだけで、ご質問の根本的疑問である、意思主義なのか折衷的なのかは明示しません。 ここで、登記に『公信力』が認められないのはご存知でしょうか。 公信力とは、登記内容が、真に現在の権利関係を表しているかどうか、という意味で、物権は意思表示のみで変動しますので、現在の権利関係を表しているとはいえません。(タイムラグや様々な理由により記載されていないだけではなく、不実の申告も含めるという意味) このように、現実の権利者と登記内容とに乖離が生じる事となるが、現在の所有者にしてみれば、それ以前の権利関係というものには関心が無く、不明の場合でさえあります。変動原因を560条にしろ、他の原因にしろ、所有しているという証明が必要になります。その、所有の事実を第三者に提示する時期が、登記という方法によるもので、有因変動による登記という公示方法により 「所有(意思)」と「公示(形式)」とが一致した時点で「排他的な対抗力」を備えることになります。 B、C共に善意者であれば、譲渡など(有因)により登記を為すことで、適法かつ完全な所有者となると考えます。もちろん、AのBあるいはCに対する不実な行為は、債務不履行などによる損害賠償責任を負うことになります。(翻意なのか561条の契約解除なのかはAの内心による法律効果なので、AのB、Cとの契約成立に影響を与えないと考える。) と私は理解しました。個人的な見解・理解なので、学説、通説とは異なることをお断りしておきます。 ご参考まで…

noname#34093
noname#34093
回答No.7

これは民法を勉強しようとする人が、必ずと言っていいほどぶつかる論点ですね。 他の方の解答にもあるように、不完全物権変動説というのが、一般的な理解です。(これ以上踏み込むのは、民法学上タブーとされています。) 確かに、ご指摘の通り、176条の意思主義によって売買契約では特約なき限り、所有権は当然に買い主に移転します。 ただし、これは売り主と買い主という当事者間でのみの法律関係であると理解されています。 つまり、これに第三者が絡んでくるときは、別個の考えが必要とされているのです。 第三者にとっては、契約の存在と所有権の移転という売買の当事者間の出来事というのは、簡単には知ることができません。 試しに、自宅の3件ほど隣の家の所有権移転がどこの誰との関係で行われたか、想像してみてください。 「実際に住んでいる人が買い主なんだろう」ということくらいはわかりますが、売り主や、契約内容、所有権の移転の状態などについては、簡単に知ることができません。 第三者がその不動産に関して、所有権を譲り受けようとするときにはいろいろ調査しなければならず、しかも当事者間での契約内容などを調査するというのは大変な負担なわけです。 そうすると、不動産取引が困難になりますから、経済政策上妥当でない。 そこで、第三者が物権の所在を容易に知ることができるように不動産物権制度を作っておく必要がある。 以上の考えで、登記制度というものができているわけです。 これを前提とすると、当事者間でいかに有効な取引があっても、これを第三者が認識できるようにして、初めて第三者との関係でも、自己の権利をしっかりと主張できるという制度にしたほうが、第三者の取引安全のために適切ではないかという考えがでてきます。 そこで、177条が当事者間での物権変動を登記なくして、第三者に対抗することができないと定めたのだということができます。 以上のように、当事者間での物権変動と、第三者との関係での物権変動を分けて考えているのが、現在の学説の現状です。 つまり、質問欄の事例では、「BはAとの関係では、登記の有無にかかわらず土地甲の完全な所有者である」ということはいえますが、「BはCとの関係では登記なくして、土地甲の所有者であるとは主張できない」ということになります。 以上のように説明してくると、176条と177条の関係がよく分かると思います。 要は、176条で私的自治(意思主義)の当然の帰結を規定し、177条で、第三者保護のために取引上の政策規定を定めたのです。 ・・・・・あれ?じゃあ二重譲渡ができるというのは?という疑問がまだ解決されないと思いますが、話はここから始まります。  以上のように、Bは売り主Aと契約をしていても、登記を得ない限り、第三者であるCに対しては、所有権を対抗できないということになります。(177条)  Cとの関係では、Bは土地甲の所有者ではない・・・・。  ということは、AからBに所有権が移っていない・・・・。  だったら、CはAB間の売買契約の存在に関係なく、Aから所有権を取得できるのではないか?  ・・・できるとしなければいけないのです。  なぜなら、Cは裁判において、Bが登記を得ない限りBは土地甲の所有者ではない、と言い張ることができるのですから。  そうすると、第三者が絡んできた場合には、177条の取引安全の政策規定によって、176条の意思主義を制限して、登記の獲得の先後で決着をつけよう、という価値観がでてきます。(民法学者はこう考えています)  以上を前提とすると、第三者との関係は、登記の先後で最終的な権利者を確定できれば、所有権の移転が二重、三重に行われても、所有権移転の完全性は、それほど重大な問題ではないと考えられます。  という観点から、民法上の二重譲渡は非常に寛大に考えられております。  一言で言ってしまえば、二重譲渡を無効として扱うよりも、二重譲渡というものを認めて、対抗問題を主たる問題とするほうが、取引秩序として都合がいいということでしょうか。  そういった価値判断にすぎません。  ですから、二重譲渡を無効としたほうがいいという考えも、十分成り立ちます。  ただ、現在の民法学は、そのような考えをとっていないというにすぎません。

  • kanpyou
  • ベストアンサー率25% (662/2590)
回答No.6
noname#61929
noname#61929
回答No.5

大概の民法の基本書には載っています。 疑問はもっともな話でして、「第一譲渡により譲渡人には所有権がなくなるのなら、第二譲渡は他人物譲渡で無効となるから理論的に言えば本来対抗問題になどなりようがないはず」というのは民法学者なら誰でも認めるところです。その上で、現在通説と言われる説は、「不動産物権変動において登記を移転しない段階では譲渡による所有権の取得は対抗力のない不完全なものであり、その反面として譲渡人は譲渡により完全には所有権を喪失しない。その結果、第二譲渡は完全な無権利者によるものではなく、無効とはならない。第三、第四……もまた同様である」と考えます。これを「不完全物権変動説」(我妻説)と言います。 この説の妥当性はおいておきますが、少なくとも質問の程度の疑問は民法学者は皆分かりすぎるほど分かっているのであり、それに対する理論的説明で昔からあれこれ頭を悩ませてはいるのです。まずは基本書を読めばその辺の話は載っています。載っていないような基本書は捨てましょう。 #ちなみに民法の話ですから刑事は余談ですが、二重譲渡が「横領罪」となる可能性があるというのは有名な話。

  • kanpyou
  • ベストアンサー率25% (662/2590)
回答No.4

>この場合、第三者が単純悪意であっても、第三者が保護されますよね? 第三者(質問文中のCに相当)が最初の売買契約の存在を知っていて、その後に契約を締結しても、最初の買主に対する違法性を認めなかった事例 昭和27(オ)1078 事件名 所有権移転登記抹消等請求 裁判年月日 昭和30年05月31日 法廷名 最高裁判所第二小法廷 裁判種別 判決 結果 破棄差戻し 判例集巻・号・頁 第9巻6号774頁 原審裁判所名 仙台高等裁判所 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/4E402B7805D268F549256A8500316563.pdf 判例検索システム http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=30506&hanreiKbn=01

  • kanpyou
  • ベストアンサー率25% (662/2590)
回答No.3

主張する者、根拠を示せ。 「権限のない取引を無効とする根拠(条文)を述べよ。」 ちなみに、民法95・96条、共に、自ら(B)の契約が無効になる条文。 >土地甲の所有権のないAから甲を買うという行為はどのように説明されますか? #1様もご指摘の通り、詐欺(罪)に該当する可能性もありますね。 損害賠償請求が可能だと思いますが、その程度はいかほどか…

  • kanpyou
  • ベストアンサー率25% (662/2590)
回答No.2

民法 (不動産に関する物権の変動の対抗要件) 177条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html#1000000000000000000000000000000000000000000000017700000000000000000000000000000

回答No.1

登記上Aの所有である土地甲を買うCは善意の第3者。 登記を怠った者が不利益をこうむることがあるのは、登記を信頼する第3者を保護し、実際の権利と登記を一致を促すことで登記の信頼性を高め、取引の安全性がますかららしい。 どの道Aは刑事民事両方で大変だね。

prettypooh
質問者

お礼

この場合、第三者が単純悪意であっても、第三者が保護されますよね?

関連するQ&A