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法律が制定された前でも逮捕されるのでしょうか?
例えば、「壁に落書きしたら無期懲役」なんて法律が制定されたとします。その場合、以前に壁に落書きしていた人たちは逮捕されるのでしょうか?つまり、法律制定前に壁に落書きして、法律制定後に逮捕された場合、無期懲役になるのでしょうか?気になっています。
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法律不遡及の原則というのは確かにありますが、絶対ではありません。民事系の法律では遡及することも時々あります。 しかし、刑法の場合は違います。刑法については「罪刑法定主義」というのがあります。これは、「犯罪となるには行為の時にその行為が犯罪となることとその場合に科すべき刑罰を法律により具体的に定めておかなければならない」という近代刑事司法の大原則です(韓国だってこれはさすがに守ってます)。つまり、「行為時に犯罪でなかった行為は行為後の法律によって犯罪とならない」「行為時に犯罪であっても、行為後の法律による刑罰を科すことはできない」ことになります。 ですから、設問の事例において、事後法を適用することはできないので無期懲役に処することはできません。 罪刑法定主義については、条文上は、憲法31条と39条前段を根拠にするのがおそらく通説。 憲法31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。 憲法39条 何人も、実行の時に適法であつた行為(中略)については、刑事上の責任を問はれない。(以下略) 条文を文言どおり読めば31条は手続きの問題で39条前段は刑罰を改正しただけの場合には適用がないようにも読めますが、そうではないと理解しておけばここでは十分です。 さて、いくつか補足しておきます。 まず刑法6条の問題ですが、刑法6条はそもそも罪刑法定主義とは別の話です。法律が改正になった場合に「改正前の行為には改正前の法律を適用するのが原則」であるところ、これを曲げて改正後の法律が軽ければ改正後の法律を適用すると言っているので、罪刑法定主義の「行為時の法律による」という原則とは違うことを言っているのです。改正前が軽ければ改正前を適用するということも言っていますが、これはむしろ当たり前なので刑法6条がなくても同じです。つまり、刑法6条の存在意義は「改正後に軽くなった時に軽い方を適用できる」ということにあるのです。 これが罪刑法定主義に反しないのは「行為者にとって有利だから」という理由であり、刑法6条は決して「罪刑法定主義の要請ではない」のです。むしろ、「罪刑法定主義の例外」とすら言えるのです(それが可能なのは罪刑法定主義の趣旨に反していないからというのは、上記の通り)。 したがって、設問の場合に、事後法を適用しない「真の」理由にはなりません。もちろん、形式的には刑法6条は適用できます。ただし、もともと犯罪でなかったものについては刑法6条は適用できません。刑法6条はあくまでも「刑の変更」の規定で新たに犯罪となる行為を定めた場合には関係がないからです。ですから、改正前に犯罪でなかった(=無罪)場合には刑法6条を論じる余地はありません。 次に刑事訴訟法の公訴時効の話ですが、これも改正前の行為に改正前の法律を適用するのは、「改正附則でそうすることを定めているから」です。これは以前に回答しているのですが、「刑事訴訟法の定める公訴時効の規定は手続き規定であるから手続きの時の規定を適用する」というのがおそらく最高裁の考える立場。とすれば、もし附則がなければ「改正後の規定を適用する」ことになります。これもそもそも「行為の時に公訴時効となるのではないのだから公訴時効となる時の公訴時効の規定を適用する」という適用時に適用時の法律を適用しているだけという原則どおりの話で、実は「法律不遡及の原則とは何の関係もない」のです。あくまでも「公訴時効が成立する時にその時の公訴時効の規定を適用する」というだけで「犯罪となる行為の時に公訴時効の規定を適用をするわけではない」のですから。よってこれも設問の解答とは何の関係もありません。 公訴時効の話については、 http://oshiete1.goo.ne.jp/qa2243428.html をごらんください。
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- rody2007
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ごめんなさい、訂正します。 >金大中政権以降 ではなく、その前の金泳三大統領以降でした。 No.5さんからご指摘がありましたので、補足 韓国の法律も、法の不遡及について明記されていますが、にもかかわらず、事実上それを覆す法律が制定されている様なので、理屈ではなく現実の問題として、あえて例示しました。 (その法律の正当性を述べる理屈があるので「事実上」としました。わかりにくくてごめんなさい) あと、「落書きで逮捕」の件ですが、これもNo.5さんのおっしゃる通り、数日前にも大阪ミナミのアメリカ村で、多数の落書きをした男3名が警察の捜査の結果、「器物損壊罪」で逮捕されています。 つまり現行法でも逮捕されます。
お礼
法の不遡及が覆るのは怖いですね。わざわざ訂正までしていただいてありがとうございます。 勉強になりました。
#5です。 念のため補足。 現状でも壁に落書きすると器物損壊罪になるので「逮捕はできます」。ですから、「以前壁に落書きした人」も逮捕されることは当然あります。無期懲役にはならないというだけ。 #細かい話をすると、そもそも壁の落書き程度で無期懲役は罪刑の均衡を失し憲法31条違反で違憲となるので仮に制定された後の落書きでも無期懲役にはならない。
お礼
補足ありがとうございます。壁に落書きするのは犯罪ですからね。ありがとうございます。
- rody2007
- ベストアンサー率61% (30/49)
No.3さんのおっしゃる通り、 行為時に適法であった事が、後に違法になっても、罪に問われない。 行為時より刑が重くなっても、行為時の量刑を以て論ずる。 ただし、行為時より刑が軽くなった場合、軽くなった量刑を以て論ずる。 これら法の不遡及というのは、法の大前提なので真の法治国家の場合ありえないと思います。 しかし、この原則を覆している国はありますので、絶対ありえないのかというと、「あり得る」になってしまう? たとえば、韓国では与野党が入れ替わり、金大中政権以降、政略的意図から事実上、度々過去の行為を違法とする法律を制定し、過去において適法だった行為に罰則を与えたりしている様です。 まさに、No.3さんの指摘されたとおり、「政権をとったとたんになんでもあり」を実践しているようです。
お礼
そのような政権とは出会いたくないものです。 ありがとうございます。勉強になりました。
- sapporo30
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法の大原則は、遡及しない ことです。 なので、法律制定前に行った行為は、行為を行ったときの法律で 裁きます。 例として、殺人事件の時効は 25年に法律改正されましたが 改正前に犯した殺人事件の時効は15年です。 あとは、最近話題になっている 松岡大臣の事務所経費問題 これも、今後はだめですが、過去のものはOKです。 ということになります。 遡及しないというのは、法治国家として大事なことなのです、 あとから法律をかえて、法律改正前の行為を罰することができれば 政権をとったとたんに、相手の政党をすべて違法政党にできて 全員逮捕できますので、なんでもありになってしまいます。
お礼
なら、「法律で過去の問題についても裁く。」というような法律は無効なんですね。 ありがとうございます。勉強になりました。
刑法第6条 犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる。 法律制定以前に無罪であれば、有罪より軽いわけですから、無罪です。
お礼
無罪なんですね。知りませんでした。 ありがとうございます。勉強になりました。
- AVENGER
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法律ができる前に合法だった行為は、罰せられることはありません。
お礼
確かに、有罪にされると困りますよね。 ありがとうございます。勉強になりました。
お礼
「法律不遡及の原則」があるんですね。でも、改正後、罪が軽くなったときには適用されるのは驚きですね。 ありがとうございます。勉強になりました。