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作り話であれば、実在の人物への名誉毀損は許されるのか
カテゴリ違いなのかもしれませんが、素朴な疑問です。 歴史小説などでは、実在の人物を登場させて架空の物語を展開して ゆきます。これって、内容的には何でもアリという暗黙の了解など があるのでしょうか。歴史上の人物への名誉毀損という概念は、存 在しないのでしょうか。子孫にとって見るに堪えない内容であって も、子孫の方は耐えるしかないのでしょうか。 テレビドラマなどでは、同時代ということもあってか、架空の会社 や架空の登場人物であってもいちいち「フィクションです」と明示 されますが、歴史小説では実在の人物を登場させていても、フィク ションか否かは明示されていないように思います。まあ、フィクシ ョンに決まってますけど‥ 今、私の手許に柴田錬三郎「南国群狼伝」があり、冒頭から大名の 奥方や娘の連続レイプの話から始まっています。その中で、被害者 の一人として、一般には知名度のない信長の子孫である大名の実名 とその家格の説明がされ、奥方は自殺したという話になっています。 話の筋としては、豊臣を裏切り徳川についた大名家への報復の為の 連続レイプであり、大名個人と話の筋との関係はそれだけです。で すから、大名の個人名を出さなくても、話の進行には支障がないと 思われるし、藤沢周平の「海坂藩」シリーズのように、架空の藩を 創作しても良いわけです。もちろんその大名夫人がレイプされ自殺 したというのも周知の事実などではなく、虚構だと思います。 信長や秀吉の残虐行為は、個々の行為が事実か否かは別として一般 によく知られており、その延長線上で架空の残虐行為を創作しても、 子孫の方からクレームが付くということもないとは思います。また、 殿様が侍女をレイプしたなんていう話であれば、当時の社会風俗と してもいくらでもあり得ることです。まあ、どこまでが許容範囲か を提案せよと言われても、手も足もでないのですが‥ たとえ何百年も前の時代設定であっても、有名人ではないとしても、 フィクションだとしても、実在の人物の実名を挙げて虚構のレイプ・ 自殺話などを創作・公表するのはいかがなものかと思い、何か釈然 としません。 何でもアリという法解釈のようなものでもあるのか、作家団体等の 自主基準などがあるのか、この辺りに詳しい方、教えて下さい。
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司馬遼太郎先生の大ファンですが、既回答のように、嫌いな人は、ボロクソに書きますね。 私も、「子孫は、気を悪くされないだろうか」と、気をもんでいました。 梟雄とされていた、斎藤道三などは、先生の手で、名誉を回復されていることもありました。 このハラハラ感が、読むほうにとっては、いいエッセンスとなっていましたが、私がもし悪く書かれたほうの子孫だったら、抗議くらいは、していると思います。
- onbase koubou(@onbase)
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ANo.4の続きです。 ◎ 「あとがきでフィクションだと明記する」 「歴史小説」というのは「歴史に取材したフィクション」だと思います。 そもそもすべての小説に「これはフィクションです」とは明記されていないでしょう。そもそも「歴史的事実」のみでは小説は書けませんから作者の想像・創作で補う部分が多いはずです(登場人物のセリフひとつとっても歴史的事実に基づくものがどれだけあるか)。 架空戦記にだって「実在の人物」が登場し、架空戦記であるが故に「事実と違うこと」をすることに物語上なることもあるでしょう。 読み手によって印象が変わる....それが「小説」というものだと思います。
- Pinhole-09
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No.1さんの答えに関して、 吉川英治著「宮本武蔵」に関し訴訟があったのは事実です。 小説を読まれた方はご存知ですが、文中「本位田又八」とその母が道化役にされています。 本位田家は名家で事実はかなり異なります。 吉川英治氏が話しを面白くする為にしたのか、調査不足だったのかは分かりません。 本位田農学博士は名誉毀損の訴訟をおこしました。 小説が書かれた大分後で、テレビドラマ化(NHK?)されたあとだったと思います。 結論は覚えていないので、和解したのではないでしょうか。 有名になったので、博士は事実を知ってほしいと訴訟を起こしたとも考えらます。 歴史小説と銘打ってなければ、創作はいいと思います。 ただし余りひどいのはどうですか。
お礼
原作は読んでいないのですが、NHKの大河ドラマは見ました。 確かに「本位田」とかいうような変わった名前の幼馴染?の脇役がい て、道化役というか、ぱっとしない役柄でした。筧利夫だか堤真一だ かどっちか忘れましたが、やっていたのを覚えています。母の方は記 憶にありませんが‥ 事実と大河ドラマとで、どの程度の改変がされているのかわからない ので何ともいえませんが、もし、創作された道化役の名前として「本 位田又八」という実在の人物名を借用しただけなら、大河ドラマを見 た子孫の方は怒るでしょうねぇ。訴訟の結果が、気になるところです。 貴重な情報、どうもありがとうございました。
- onbase koubou(@onbase)
- ベストアンサー率38% (1995/5206)
AN0.2の続きです。 「歴史上の人物を登場させまったく創作話」が問題となるといわゆる「架空戦記」などはすべてダメになってしまいます。 また、内容に関わらず「史実ではないまったくの創作」が不可であれば歴史を題材とする創作物は一切認められなくなります。 例えば徳川家康等は物語によっては「人質生活を経験して苦労の末徳川260年の基礎を作った」という英雄的に描かれる場合と「信長・秀吉にうまく立ち回り、豊臣秀頼・国松を殺して天下を掌握した極悪人」とするものも少なくありません。 「家康は松平の血筋を引かない流れ者の願人坊主」とするものすらあります。 真田幸村を主人公にした物語だと相当酷い人物として描かれることが多いように思います。 これを「先祖を冒涜している」と徳川家の子孫がいちいち訴えていたら...(^^;) 歴史学ならともかくフィクションの世界で目くじらをたててみてもしかたのないような気はしますが、これは人それぞれの受け取り方でしょう。
お礼
>フィクションの世界で目くじらをたててみてもしかたのないよう >な気はしますが、これは人それぞれの受け取り方でしょう。 確かに、いちいち目くじらを立てても仕方がないのは、仰るとおり です。前にも書きましたが、私は創作全般を否定するつもりも、実 在の人物名の借用を否定するつもりも、毛頭ありません。 何を隠そう、私は「架空戦記」というか、例えばタイムマシンでの 歴史改変バトルは大好きです。あまりに荒唐無稽な為、単純に娯楽 として楽しめますから。しかし、歴史小説となると、創作と言いな がら歴史解釈を含むようなものも結構あり、私にとっては共感した りイライラしたりと様々です。更には、今回のように、話の筋に関 係がないのに説明的に実在の個人名を出すということは、下手をす れば一般読者には事実と誤解されかねませんし、個人的にはせめて 「あとがきでフィクションだと明記する」とか、何らかの制約があ っても良いのではとも思っています。とは言え、どこまでが許容範 囲かなんて、厳格に決められるわけでもないのも明白だし‥‥ ストレスが溜まります ^_^;; 2度にわたりお付合いいただき、有難うございました。
その小説を読んでいませんし、法律にも詳しくありませんので、回答というよりも、単なる感想とお受け取りください。 死んだ人には人格はありませんので、死者の名誉毀損というのはないと思います。 また、この小説によって、現在生きている子孫の方の社会的な評価が下がるなどという具体的なことが発生するかというと、それもチョッと考えにくいですね。 しかし、子孫としてはウソの話であったら猛烈に腹が立つでしょうし、ホントの話であってもイヤな感じを持つと思います。 それが子孫の方の人権侵害にあたるかどうかですが、数百年前のことですし、「著しく感情を傷つけられた」ということにならない公算の方が強いんじゃないでしょうか。 レイプなんてことは、子孫の方にとっては、実際のことであっても隠したいでしょうし、ウソならとんでもないことでしょう。その感情は子孫の方でないとわかりません。とくに、織田信長の子孫と自他ともに認められている方にとっては、たまらんでしょう。 それでも子孫の方に対する人権侵害までいくかどうか、難しいと思いますね。 >作家団体等の自主基準などがあるのか・・・詳しくありませんが、私は聞いたことがありません。著作権についてはウルサイですが。 ノンフィクションに近いある種の現代小説では、訴えられるとイヤなので、イチイチ「これはフィクションです」と断り書きが入っています。しかし、読者は「これは大体本物だ」と思って読んでいます。 歴史小説では訴えられたことは、ほとんどないでしょう、また作家や出版社が訴えられて負けたという話も聞きません。そして歴史小説は、「これがホントの話だ」と読者が信じて読むから面白いわけです。ですから、ウソの話でもわざわざ「これはフィクションです」とは断らんでしょう。柴錬も小説を迫真化させるために、実在の名前のものを、しかも冒頭にもってきたのでしょうね。 柴田錬三郎は「眠狂四郎」しか読んだことはありません。彼は歴史小説家ではなく、エロッぽい時代小説家、剣豪小説家の部類に入るでしょう。その話を信じ込む読者は、歴史小説家でない分少ないのではないでしょうか。 それが司馬遼太郎だったら罪が重いですね。もっとも司馬ならば、そこまでは書かないと思いますが。 私は司馬の小説やエッセイを読んでいて、いつも思うのですが、「司馬遼太郎に嫌われて悪口を書かれた有名人の子孫は大変だな、たまらんな」と。司馬の書く人物は、ついこの前の人が結構多いですから。 ウーン、今回の件は一種の有名税に近いものかな、書かれ損かなと思います(ご子孫の方には冷たくて申し訳ないですが)。 物書きに自主規制を求めても難しいでしょうな。このサイトでも皆さん匿名で書きたいこと書いていますし。読者が賢明になってヘンなものが淘汰されていくのが一番なんですが、悪貨が良貨を・・・の例もあって、これも難しいですね。(回答にはなりませんでした、すみません)
お礼
回答ありがとうございます。 >今回の件は一種の有名税に近いものかな、書かれ損かなと思います ん~、結局はそういうことになってしまうでしょうね。ただ、今回の 織田○○は有名人ではないのですが、「エロッぽい時代小説」だけに、 織田信雄とか山内一豊とか、豊臣を裏切り徳川についた大名で比較的 知られている人名をわざと外したという配慮?のつもりなのかもしれ ませんね。 >読者が賢明になってヘンなものが淘汰されていくのが一番なんですが 仰る通りですね。私も思い込みから大失態を演じたこともあり、実は 人のことをとやかく言える義理ではないのですが‥ ただ、柴田錬三 郎は今回初めて読んだのです。今後は最初にペラペラめくってみて、 「剣豪小説」の部類だけ読もうと思います。
- onbase koubou(@onbase)
- ベストアンサー率38% (1995/5206)
法律的には名誉毀損は発生しないと思います。 もし仮にこれで名誉毀損が発生し認められれば「子孫全員」に権利があることになりとんでもない事態になるでしょう。また、「数百年前の先祖の名誉がけがされた」ことが「現代の子孫の名誉を毀損すること」になるかどうか。 ちなみにテレビドラマなどでは生々しいために表現されないのでしょうが、戦国時代に「戦場などのレイプ」は日常的なことだったようです。 城に攻め込んだ諸兵が場内の女性を次々に....なんてもことも普通にあったという話を聞いたことがあります。
補足
回答有難うございます。 <「数百年前の先祖の名誉がけがされた」ことが「現代の子孫の名誉 <を毀損すること」になるかどうか。 ご指摘のように、仮に訴訟の対象範囲であったとしても、「数百年前 の先祖の名誉がけがされた」ことで現代の子孫が何がしかの被害を被 った、とかの立証をしないと、提訴自体が難しいでしょうね。ただ、 「著しい精神的苦痛を被った」というのは、ニュースでもよく耳にし ますけど、この場合、どうなんでしょうね。 一例として「レイプ」の話を取り上げましたが、「戦場などのレイプ」 など、その時代のその立場の人なら日常的にあり得たような話や、信 長や秀吉の残虐行為などのように広く知れ渡っているような俗説のよ うなものであれば、私は何も疑問には思いません。仮に実在の個人名 を出したことで、子孫やファンの気分を害したとしても、作家の創作 の自由の範囲内だと個人的には思っています。 今回質問の疑問点は、藩主夫人がレイプされ自殺させるという通常あ りえない内容の虚構を描くに際して、話の進行には関係のない実在の 藩主の個人名を出すのはいかがなものか、という点です。ちなみに、 最初から書いておけば良かったと反省しているのですが、話の筋とし ては下記の通りです。 徳川を憎む主人公は、豊臣を裏切り徳川についた藩の夫人や娘を次々 とレイプし、最後の17人目が織田○○夫人となった。織田○○とは これこれの家系の人物である。 要約すると、たったこれだけです。これ以降、この話には織田○○は 登場しません。つまり、この話では、豊臣を裏切り徳川についた藩で あれば、ターゲットは誰でも(架空でも)良いわけですし、個人名を出 すこと自体の必要性も認められません。そこが、引っかかっている訳 です。作家の勝手だと言われたら、それまでですが‥
- tatsumi01
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関係あるかどうか分かりませんが、大昔に父から聞いた話です。 吉川英治の「宮本武蔵」に脇役として登場する人物ですが、その行動が情けなく書かれていると、子孫と名乗る同姓の大学教授が名誉毀損で吉川英治を訴えたそうです。 聞いただけの話で、本当にあったかどうかも分かりませんし、またその裁判があったとしても結果がどうだったのかは聞いていません。
お礼
あまりに早い返答でびっくりしました。有難うございます。 作家には種々のクレームや中には威嚇脅迫などが舞い込むことは何人 もの作家が述べていますが、法的とか道義的にとかの方面がよくわか らないのです。 ご教授頂いた「その行動が情けなく書かれている」との理由での裁判 が可能だとしたら、それはそれで凄いですね‥
お礼
>私がもし悪く書かれたほうの子孫だったら、抗議くらいは、してい >ると思います。 確か森村誠一の「日本の暗黒」だったと思いますが、右翼からの抗議 がすざましく、「私は間違ったことは何も書いていないが、身の危険 にさらされているので、未完のまま筆を置くことにした」という要旨 のことを書いていました。井沢元彦も「逆説の日本史」シリーズで、 読者からの激励とともに反論や抗議?も多いと述べています。当然、 これらは、歴史小説ではないので深刻?なのだと思うのですが、歴史 小説でも創作だけではなく、史実の解説のような内容もあり、独自の 歴史観を展開したりもありで、読者との摩擦のネタにはこと欠かない のではないかと推測します。 作家が自分から言わない限り、読者には他人の反応などわからないの ですが、どの歴史小説家にどの程度のクレームが出ているのか、個人 的には興味津々です。 私が最近眼にした例では、隆慶一郎が「吉原御免状」のあとがきの中 で、従来の吉原への見方に疑問を抱き、独自の解釈で謎解きに挑んだ ものの、誤りは数多いと思われる、と正直に告白しています。「フィ クションだ」の一言では押し切れないと自覚していたのか、それとも、 小説としてはフィクションでも、背景にある隆慶一郎の歴史解釈を評 価して欲しかったのか‥ また、歴史小説家ではありませんが、篠田次郎「吟醸酒誕生」のあと がきでは、登場人物が「架空」「実在だが作者のイメージ」「本人へ の取材」など、具体的に明記しています。この小説がドキュメンタリ ータッチで描かれており、かつ「現在」のことが含まれる為、読者の 誤解を招かない為の用心だと思います。 私の場合は、こんな質問をするくらいですから、あまりにひどいのは 子孫ではなくても抗議したいですね。ただ、前にも書いたように、他 の読者が虚構を事実だと誤解しないように、あとがきで注釈を入れる とか、さもなくば、小説全体を100%虚構の荒唐無稽な内容で完結 させるとか、何らかの対応をしてくれておれば、気分は随分和らぎま す。 単なる感想のつもりが、長くなってしまいました。すみませんでした。 ご回答、ありがとうございました。