岩塩のミネラルについては、3つの場合において意味が変わります。
(1)健康のために摂取が必要なミネラルとして観た場合
周知のとおり、鉄分、カルシウム、マグネシウムなどがありますが、
1日に摂取する塩の量から観た場合は、岩塩単体で補給は無理です。
仮に、岩塩100gあたり300mgのカルシウムが含有されているとして、
1日に摂取する岩塩が1gとし、わずか3mgの摂取となります。
成人が1日に必要なカルシウムの摂取量は、700mg以上。
牛乳は200mlで約230mgのカルシウムが含まれています。
(2)従来のいわゆる食塩と比較した場合
いわゆる食塩、つまり日本塩事業センターで生産される塩は、
イオン交換膜透析法によりNa+とCl-を海水から抽出・濃縮して
生産されるので、その他のミネラルをほとんど含みません。
食塩と比較した場合、岩塩は「普通の塩の○十倍のミネラル」と
うたうこともでき、実際にそうしたキャッチコピーを多く見ます。
逆に、塩田や窯で海塩を乾燥させて作る海塩と比較した場合、
傾向として海塩の方がより多くのミネラル成分を有しています。
(3)味覚的な観点の場合
重さにすれば極々わずかな、岩塩のミネラル成分の違いですが、
人間の味覚は嗅覚同様、大変に繊細な感覚をもっています。
食塩と岩塩、特に複数種の塩と味比べをすれば瞭然です。
そうした、味覚を決定するミネラルバランスとして観た場合には、
「カルシウムが豊富」や「鉄分が多い」などが重要となり、
それこそが世界の岩塩や塩を選ぶ本質的な醍醐味のひとつでしょう。
蛇足ながら、世界の岩塩を選ぶコツは、
(1)原産国や産地がイメージでぼかされていない
(例えば「モンゴル岩塩」とうたった、中国産の湖塩があります。
当然、モンゴル国産の本物の岩塩とは全く異なります。)
(2)成分表がしっかりしている
(有害になる成分を「0mg」や「検出せず」と表記した塩は
注意。微量な成分は>や<を用いて表記するのがルールです。)
(3)「ミネラル豊富」のキャッチコピーを過剰に使用していないこと
(4)視認できる不純物がないこと
(岩塩は結晶なので、貝殻や海草の入る余地などありません。)
(5)水に溶かして再結晶したものでないこと
(ミネラルバランスが変わるので、岩塩の風味が損なわれます。)
などがあります。