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著作権保護期間が過ぎてもやってはいけないことは?
このところネット上で著作権保護期間延長に関する議論をよく見かけます。そんな中で疑問に思ったことがあります。 例えば夏目漱石の「吾輩は猫である」の著作権は切れています。 現在の法律に触れない範囲で、こういう作品の再利用はどこまで許されるんでしょう? 例えば、 ・まったく同じ内容を「著者:min_will」として発表する。 とか ・原作者を明示せず、オリジナルであるかのようアニメ化する。 とか、 さすがに何をしてもOKではないですよね? 法律的な観点からの意見をお聞きしたいです。
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長文になりますが... ふつう、「著作権」というのは、「著作者の権利」のうち、その作品についての財産的権利を指します。「著作者の権利」としては、もう1つ、「著作者人格権」があります(著作権法17条)。 なお、「広義の著作権」の中に「著作者人格権」と「狭義の著作権(著作財産権)」が含まれるという説明がされることもありますが、現在のわが国の条文に照らして、この説明は妥当ではありません。上記のとおり、「著作者の権利」の中に財産権としての「著作権」と「著作者人格権」とが含まれる、というのが通説です。 著作権は、法21条ないし法28条に掲げる各行為を、独占的になしうる権利です。 著作者人格権は、公表権(法18条)、氏名表示権(法19条)、同一性保持権(法20条)からなります。ごく簡単にいえば、それぞれ、「未公表の作品を公表するかしないか決める権利」、「著作者名を表示するかしないか、するとしたら実名・変名のいずれにするか決める権利」、「作品に手を加えられない権利」です。 その上で、 著作権は、通常、著作者の死後50年の経過をもって消滅します(法51条)。著作権は財産権ですから、譲渡、相続が可能です(法61条1項、法62条参照)。放棄することも可能と考えるのが通説です。 他方、著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡できません(法59条)。一身に専属しますから、著作者が死亡すれば、この権利は消滅します。放棄できるかについては、できるという説もありますが、通説はこれを否定します。 したがって、著作者が死亡し、著作権の存続期間も満了すれば、作品に関するいっさいの権利が消滅します。 ただし、著作者の死後においても、著作者が存していたならば著作者人格権の侵害となるべき行為は、禁止されています(法60条)。著作者人格権が存続するのではないことに、注意が必要です。 仮に、すでに死亡している著作者の作品に虚偽の著作者名を付して公表すれば、法60条違反となります。この場合、著作者の親族等が、その差止めや損害賠償を請求することができます(法116条)。これは、親族等に固有に与えられた権利であって、くれぐれも著作者人格権が相続されたわけではありません。 なお、上記の場合(虚偽の著作者名の表示)は、500万円以下の罰金(法120条)、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科(法121条)に処されます。なお、非親告罪です(法123条参照)。 映画化・アニメ化の場合ですが、問題となるのは、著作権として規定される翻案権と、著作者人格権として規定される同一性保持権の関係です。通説は、内面的形式(ストーリーやプロットなど)に及ぶ変更が、同一性保持権の侵害であるとします。 したがって、ストーリーなどをいじらず、小説を映画化・アニメ化する上で必要な限りの外面的変更を加えるにとどまる限り、可能ということになります。つまり、たとえば、パロディ化したり、バッドエンドをハッピーエンドにするなどは、問題が残る可能性があるということです。 また、同一性を維持しているにもかかわらず著作者名を表示しないことは、氏名表示権の侵害になります。 なお、著作者の名誉声望を害する態様で利用する場合は、法113条6項により、著作者人格権を侵害するものとみなされます(親告罪です。法119条及び123条参照。ただし、113条6項に該当する場合は60条にかかりますから、上述のとおり、116条に掲げる親族等が差止請求、損害賠償請求を行うことができます)。 なお、映画化・アニメ化の場合、著作隣接権は関係ありません。映画製作者や監督は、著作者や著作権者です。(著作隣接権者とは、レコード製作者、実演家、放送事業者、有線放送事業者のことです。) また、実演家人格権も、上述の著作者人格権と同じく、実演家の死と同時に消滅します。
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- nina1313am
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著作権には、 「著作権(著作財産権)」、「著作人者格権」、「著作隣接権」、「実演家人格権」とおおまかに4つあります。 「著作権」は原則、作者の死後50年で消えるもので、演奏権や上映権、展示権などその他諸々の全ての権利を有するものですね。 「著作人格権」は簡単に言うと、勝手に著作物を改変したりさせない権利で、これは著作者の死後も永遠に守られます。 ですので、「我輩は猫である」をmin_willさんの著作物として発表することも、クレジットを明記せずにアニメ化することも認められないと思います。 ただ、クレジットを明記した上でアニメ化するなどは認められると思います。その場合アニメを制作した人(または製作会社)に「著作隣接権」(こちらも死後50年まで)と「実演家人格権」(こちらも永遠)が発生します。
お礼
こんなに詳しい回等を頂けるは、、ありがとうございます。