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日銀と政府の見解の違いについて
福井総裁の言動等から、日銀は追加利上げを行いたがっているように感じます。 一方で政府側の人間は追加利上げを見送るように願っているようです。 なぜこのように、日銀と政府で見解が異なっているのでしょうか? 私は経済に関して詳しくないので、わかりやすく教えていただけると助かります。
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増税は不人気で、国政選挙の結果に直結します。ですから、政府は増税を出来るだけしないで、インフレによって国債を減らしたいのです。 仮にインフレになって、日本円の価値が二分の一になれば、税収は倍以上に伸び、支出も実質少し減ります。 単純には倍ですが、所得税の課税最低限がそのままなら、納税者が増えます。 また、生活保護などや社会保障の国民負担軽減対象となる人も金額で年収いくら以下と決めていますから、インフレで年収が増えれば、実質所得が増えなくても生活保護・負担減額の対象となる人が減ります。 さらに、国債・地方債などの借金が実質半額になりますから、政治家にとって、少しも行財政政改革の努力することなしに、財政健全化を成し遂げることが出来ます。 反対に低金利のままインフレが進めば、国民の側は、貯蓄が半減し、銀行が儲かっているのもかかわらず、預金に利子のほとんど付かない状態が続き、外国からの買い物が全て高くなる状態となります。 為替レートは、円ドル中心に報道されるため、1ドル=110円~120円で長く変化のないように思っていますが、対外貿易大赤字たれ流し・財政赤字額日本以上(クリントン政権のときは黒字であった為、累積赤字額のGDP比率は日本より小さい)のアメリカとほとんど同じレベルを長期に続けているのは、国民の貯蓄・資産が目減りしていることを示しています。 その証拠に、対ユーロではユーロが使われ始めた頃は、1ユーロ=80円だったのが、現在では1ユーロ=150円、ほぼ日本の購買力・資産はユーロ圏の人に比べて半減したことになります。 女の子の好きなヨーロッパのブランド物は、二倍近く高くなっているわけです。 今から20年近く前、バブル発生の前、国債の増加によって行財政改革の必要性が言われだしたころ、日本銀行は政府の意向に従って利上げを遅らせ、経済は活況を呈するようになりました。 税収は激増し、大蔵省(懐かしい名前ですね。)は、国債費を除いた税収と財政支出が同じ額になった為、財政改革を全く行なわないまま、財政健全化を宣言しました。 ところが、これは土地インフレと次の年度の消費の先取りをした(企業は儲かっているので、大幅な利益を計上して多額の税金を納めるより、来年度の必要資材などを購入し、経費を膨らませ利益を翌年に繰り越そうとしました。また金利が安ければ、高くなりそうな物を、借金してでも先行して買うのが得ですから、そういった先行購入も行ないました。)結果でした。これがバブル経済です。 バブル経済、特に土地の大幅値上がりに驚いた日銀が、遅ればせながら金利をどんどん上げたところ、借金をして物を買っていた人が(自分が今すぐは使わない物を、値上がりするからと借金して買っていた。)今度は売って借金を返済しようとしたため、売る人ばかりになってバブルが崩壊、デフレ経済に突入しました。 世界的に、中央銀行が政府から独立して金融政策を行なうよう法律で決められているのは、政府のご都合主義で金利をいじると金融政策を誤るからです。金融政策は、政治と独立していなければ失敗します。 日本の中央銀行である日銀は、バブル経済とその後の経済不振を起こしたことに「元凶」と言えるくらい責任があります。 一般には、経済に詳しくない人が多いため、バブル経済に対する日銀の責任は、あまり追求されませんでした。しかし、経済・金融のプロである日銀職員は、バブル経済を起こした自分たちの責任を痛感しています。 ですから、今の日本銀行は、政府に対する中央銀行の独立性を堅持する姿勢で組織全体がまとまっていて、政治政策的インフレに対して極度に警戒しています。(最初は政策としてインフレが始まっても、加熱したときコントロールできなくなり、結局急激な利上げでハードランディングさせたのでは、バブル後不況の二の舞です。二度同じことをすれば、日本銀行の権威は丸つぶれです。) ですから、政府・与党は、日銀法改正をして、日銀を従わせるとの脅しを掛けていますが、如何なものかと私は思っています。 先日円が1ドル=120円に値下がりしたのは、日銀が政府の意向により利上げしない可能性を反映したものです。政府や企業は円が値下がりすればインフレ傾向となり、得と考えていますから円安を歓迎しますが、個人は購買力・資産が目減りすることになりますから、損になります。
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- cobe
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一般論になりますが、政府はほおっておくといくらでもお札を増刷してしまうので、「通過の番人」としての日銀が存在するというわけです。節度のない政府は、バブルやインフレを起こしてしまいます。 「なぜ見解が異なるか」の答えとしては、「見解が異なる立場で作られているから」でしょう。日銀が常に政府と全く同じ見解だと、「番人として機能していない」とみなされて、円の信頼性が大きく揺らぎます。適度に対立しているのが健全です。 逆に常に対立していても、「日銀と政府のどっちかが大馬鹿だ」ってことで、やっぱり日本に対する信頼性は揺らぎます。
お礼
ありがとうございました。
お礼
非常にご丁寧な説明、ありがとうございました。 大変わかりやすかったです。