>なぜ超伝導体になったとたんにピン止めが起こるのですか?
ちゃんと説明するとピン止めに至るまでに一学期間講義する位の分量を要しますので、すごく大雑把な説明で御容赦ください。
超伝導になる前の常伝導状態では、磁場は一様に試料に侵入できます。これは、不純物がある場所も無い場所も、通常の金属では磁気的には均一だからです。(中には磁性超伝導体という変わった超伝導体もありますが。No.1の方が引かれているサイトで紹介されている超伝導体は、この磁性超伝導体です)
しかし、超伝導状態になると、不純物の周辺では超伝導が弱められています。元々、超伝導は磁場と相性が悪いという性質があるので、超伝導体内部に侵入した磁束量子は超伝導の弱い不純物周辺に集まりたがります。
要するに、常伝導状態では磁気的に均一なのですが、超伝導になると、超伝導は磁場を嫌うという性質から、超伝導を弱めるような不純物がある場合は不純物の近くとその他の部分の磁気的性質が変わってしまい、結果として磁束はこの不均一の中の居心地の良いところに落ち着きます。これがピン止めの起源です。
実は人体の断層撮影に使うMRIのマグネットのように、超伝導体が磁場中で使えるということは、このピン止めのおかげなのです。ピン止めになるような不純物や欠陥を含まない、べらぼうに純粋な超伝導体というのは、実はあまり役に立たないんです。
お礼
どうもありがとうございます。 大変分かりやすかったです。