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時代劇の敬語

 敬語についての疑問です。「言う」の尊敬語は「おっしゃる」。謙譲語は「申す」。と言うことですが、時代劇(パターンの決まった勧善懲悪ドラマから大河ドラマまでを含む)を見ていると「殿が○○と申しておるのじゃ」と侍大将あたりが足軽あたりに向かって話すのですが、「殿が申す」っていうのは殿に対して非常に失礼なのではないでしょうか?「殿がおっしゃっておるのじゃ」というのが正しいように思えるのですが、そんな風に話している登場人物は未だに私はあったことがありません。どのように解釈すればよいのでしょう。

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回答No.2

「申す」を単独で尊敬語として用いるのは論外ですが、それに尊敬の助動詞をつけた「申される」については、一考の余地がありそうです。 かつては「申される」のような言い方が広く行われていたが、「申す」は謙譲語であるという規範意識が強まり、現在では誤りと認識されるようになった、といえるからです。 私自身は、「申される」は誤った用法という教育を受けて育ち、この表現に強い違和感があるので、決して使いません。 ただ、歴史的には次のような経緯があったそうです。 謙譲語のうちのあるタイプ(補語=相手方を高めるのではなく、自分方を低める謙譲語。先日報道された、謙譲語の二分法の一方。下記URL参照、そこで【丁重語】と呼ばれているもの。)は、時代とともに意味・使用法が拡大し丁寧語と認識され、それに尊敬語の助動詞「る」「らる」を付けた、「申さる」「参らる」「いたさる」という形が江戸時代まで広く使われてきた。つまり「申さる」は、「申す」という丁寧語に尊敬の助動詞をつけたものと考えられていた。 それが、明治以降、標準語政策や、学者による整理・分類(尊敬・謙譲・丁寧、の三分法)が行われるうちに、「『申す』は謙譲語だから尊敬語を続けてはいけない」という規範意識が普及した。戦後、中学校の教科書等を通してその規範が確定的なものになり、今日に至っている。 敬語の研究者の中には、以上のような経緯を踏まえて、「申される」を擁護する人もいます。以上、下記参考文献の要約・引用を中心にまとめました。 結論 「申される」という形が現代敬語の規範に反したものであることは確かだが、歴史的に現実に使われてきたものとして擁護する説もある。 「敬語」(菊地康人、講談社学術文庫)「日本語文法大辞典」(明治書院)を参考にしました。 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/education/2171...

hitoyana
質問者

お礼

 根拠のある言葉遣いだったのですね。時代劇の中だけでとどめておけ、真似するのではないぞ、ということで納得しました。  ありがとうございます。

その他の回答 (2)

  • kiwifruit
  • ベストアンサー率40% (14/35)
回答No.3

先の説明で十分だと思いますので補足情報のみ。 荘重体の用法が見られるのは中世以降だと手持ちの本で読みました。 念のため古語辞典で調べたところ、謙譲体での用例は万葉集から文例を取っており、荘重体での用例は為永春水、近松門左衛門の作品からでした。

hitoyana
質問者

お礼

 本当にスッキリしました。  ありがとうございます。

回答No.1

「申す」や「お(居)る」は「荘重語」に分類されるもので,元来は謙譲語ではなかったと思います。 とりあえず,『明鏡国語辞典』から引用しておきます。 もう・す【申す】 1「言う」の謙譲語。「私は鈴木と─・します」「私はうそは─・しません」「私から息子にきつく─・しておきます」「父はこう─・しております」 (1)「心から御礼を 申します/申し上げます」では、「申し上げる」のほうが敬意の度合いが高い。〈言う〉動作の及ぶ相手(=登場人物)を敬っていう「申し上げる」に対して、「申す」はもっぱら聞き手を敬っていう。→申し上げる (2)武家などが使った古風な言い方では、「申される」の形で、自分の威厳を保ちながら相手に対する尊敬の意を表す用法もあるが(「おぬし、何と申されるか」「それ以上は申されますな〈司馬遼太郎〉」)、現在では避けたい。「× 今何と申されましたか」「× 先生がそう申されました」 2「言う」を丁寧に改まっていう語。「この辺りは古町と─・します」「昔から『うそも方便』と─・しますが…」「─までもなく…」 3「言う」の尊大な言い方。「名を─・せ」「思うところを─・してみよ」◇主に武家が使って、上の者が下の者の〈言う〉動作を低めていう。

hitoyana
質問者

お礼

ありがとうございます。 さっそく明鏡、確認しました。1(2)がこれにあたるのですね。一つ、気持ちが落ち着いたように思います。司馬遼太郎さん以外のできれば古文の中の用例があると嬉しいですよね。 ありがとうございます。

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