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細菌の水平伝達
病院で、抗生物質とともに耐性乳酸菌なるものを処方されたのですが、 これが腸内に入った時に水平伝達して、すでに腸内にいる悪玉菌etc.が 抗生物質に対して耐性を獲得する…ということは実際に起こりうるのですか?
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細菌のDNAには、それぞれの菌が元々持っているゲノムDNAとは別に、プラスミドDNAというものがあります。プラスミドDNAはゲノムDNAと比べて分解されにくく、プラスミドを持った菌が死んだ後にプラスミドDNAだけが他の菌に取り込まれて異種の菌の間で遺伝子が移動することがあります。耐性乳酸菌はゲノムDNAに耐性遺伝子を組み込んであるので、この心配はありません。 細菌に感染するウィルス(バクテリオファージ)が遺伝子を運ぶこともありますが、バクテリオファージは感染する細菌が決まっており、種類の違う菌に感染することはありません。また、細菌自体が他の菌に遺伝子を与えることもありますが、乳酸菌にはこのような性質はありません。 以上のことから、他の腸内細菌に水平伝播で耐性因子が移動することはほとんど無いと考えられます。なお、開発段階のテストで、耐性乳酸菌を腸内細菌と共培養しても、耐性が伝播しない旨が薬品の添付書類(医薬関係者のみ閲覧できます)に記載されています。
お礼
簡潔・明快・丁寧にご回答くださりまして、 誠にありがとうございます。 わかりやすいご説明に納得しました。 これで安心して薬を飲めます^^