バイオアルコールを燃料に使うことのようですね。
エコカーとは、地球環境の維持を目指した車のこと、地球環境とは温暖化対策であり、二酸化炭素の排出をいかに押さえるかという点としての回答です(それ以外の観点が多々あることは充分に承知)。
燃料電池は水素を利用するとすると、水素を如何に製造するかが問題となり、そのためには結局一定の化石燃料を燃やす必要がありそうです。電気自動車も同じこと。原子力発電や水力発電で電気をまかなわない限り、化石燃料を必要とすることに変わりはないですよね(勿論ガソリン車より二酸化炭素の排出量は少ないでしょうが)。ハイブリッドカーも所詮同じたぐいです。
抜本的な二酸化炭素排出量の低減方策はバイオアルコールを燃料とすることです(米国ではすでに国家が主導して、実用を開始、ブラジルで大々的に行われていることは有名ですね)。
バイオアルコールとは、植物(現状はトウモロコシ)を発酵させて作ったアルコールです。トウモロコシから作成したアルコールの炭素原子は100%トウモロコシが光合成で大気中の二酸化炭素を固定したものです。従ってこれをもやして二酸化炭素を排出しても、大気中に存在していた二酸化炭素を、大気にもどすだけ。従ってバイオアルコールを燃料として燃やしても大気中の二酸化炭素量は増大しないことになります。勿論トウモロコシを発酵させてアルコールを製造するには、加熱や攪拌、酵素の利用など一定のエネルギーを使用しますので、現時点での見込みではバイオアルコールを燃料とすることで、二酸化炭素の排出量は化石燃料比90%減と見積もられています。原子力発電による電気自動車と比較しても大差がつくようであり(太陽電池、風力発電等は、決して二酸化炭素排出量軽減に役立たない)、化石燃料使用のハイブリッド車(含むディーゼルエンジン)など、足元にも及ばないようです。
トウモロコシを車の燃料というと、「ちょっとまて、地球環境よりも、世界的にみると食料問題の方が優先度の高い緊急課題だ」というご意見がでそうですが、米国のDOEの計画は、トウモロコシではない、新しい植物を原料とする計画で、米国の車の全燃料を賄うに要する農地は、全米の現状農地の3%ですみ、その際のコストは1$/gallon以下だそうです。必要とする耕地面積や、コスト目標などは、DOEの数字なので、正直眉唾ですが、現状でも1.5$/gallonで、ガソリン価格が3$/gallonの高値をつけている現在では、商業的に成り立つという判断がなされ、米国は本気で、バイオアルコールをガソリンと置き換える方向に舵をきった模様です(アラブ主導のOPECの影響排除という政治的な理由が大きそう)。バイオアルコールが大気中の二酸化酸素を光合成で固定したものであるので、それを燃焼させても大気中の二酸化炭素量は不変ととらえると、化石燃料も太古に植物が大気中の二酸化炭素を固定したものであり、化石燃料を燃焼させても、大気中の二酸化炭素は時間的なスパンがながいものの不変という考えが成り立たないかなという疑問が残りますが。
お礼
御礼が遅くなり大変申し訳ありません。専門家の方に、これほど長文で懇切丁寧に教えていただいて、ただただ感激しております。大学の講義を聴講しているような錯覚を覚えました。分かりやすく、偏っていないご意見には、地球環境への温かなお心を垣間見ます。コピーして保存させていただき、繰り返し読ませていただきます。ありがとうございます。