おそらく,山梨県西部の南巨摩郡早川町にある奈良田(ならだ)集落ではないでしょうか。
登山家には南アルプスの登山口として,また言語・民俗学者には,周りと全く異なった方言を持つ地区として,知られています。
山梨県は,甲府平野を中心とする国中(くになか)地域の「甲州弁」と,大月・富士五湖を中心とする郡内(ぐんない)地域の「郡内弁」に分かれますが,奈良田はその両者とも異なっています。
甲州弁や郡内弁は,他の土地の人でも聞いていて何となく分かりますが,奈良田の言葉は難解です。
さらに,アクセント体系が関西アクセントであること,四つがな(じ/ぢ,ず/づ)の発音の区別があること(ぢ→ディ[di],づ→ドゥ[du]のように発音。昔はこういう発音の地域が主流だったらしい。ちなみに,「ち」「つ」もティ,トゥに近い),などの特徴が有ります。
2年前,NHKが教育テレビで毎週一つの都道府県を取り上げて方言を紹介する,「ふるさと日本のことば」という番組を放映していました。その第25回が山梨県で,奈良田方言もとりあげられていました。
参考URLのページで概要が分かります(音声も聞けます)。
今でこそバスも通っており,温泉も湧いている観光地ですが,昔ははるばる山越え歩いていくか,川沿いに下流から上がって行くか,どちらにしても外部との行き来が非常に大変だったので,それだけ昔の言葉が温存されたのでしょう。