- ベストアンサー
スピン関数の線形結合とは何なのか?なぜ必要なのか?
- なぜスピン関数は線形結合をとる必要があるのでしょうか?2電子系のスピンは、1電子系のスピン関数の単純な形にしたものはα(1)α(2)、β(1)β(2)、α(1)β(2)、β(1)α(2)と書くことが出来ますが、実際の2電子系のスピンの関数は線形結合をとってα(1)α(2)、β(1)β(2)、1/√2{α(1)β(2)+β(1)α(2)}、1/√2{α(1)β(2)-β(1)α(2)}とします。
- 単純に積をとるだけでなく、スピン関数を線形結合する必要がある理由は何でしょうか?また、単純に積をとった場合と線形結合した場合のスピンの状態にはどのような違いがあるのでしょうか?本を読んでもなかなか理解できないので、詳しく教えていただけませんか?
- スピン関数の線形結合について教えてください。2電子系のスピン関数は単純に積をとるだけではなく、線形結合を行いますが、その理由とは何でしょうか?また、線形結合した場合のスピンの状態はどのように表現されるのでしょうか?詳しく解説していただけると幸いです。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
長々と返事を書いていたんですが、文章が全てきえてしまいましたので、今度は手短に説明します。 合成スピンをJ=S1+S2とします。角運動量はべくとるなので (J(x),J(y),J(z)) =(S1(x)+S2(x),S1(y)+S2(y),S1(z)+S2(z)) です。Jaicaさんが既に承知の事と思いますが、量子力学では不確定性関係のために3つの成分全てはきまりませんから、通常z軸方向だけに着目します。また角運動量の大きさJ^2の√をとったやつも測定にかかります。つまり状態は|J,J(z)>で区別するのが通常です。 さて|++>は|J=1、J(z)=1>ですね、 |-->=|J=1,J(z)=-1>ですね。 これらはz軸方向の正と負の向きに回転している状態です。またこの状態を逆さに見ている座標系の人はz軸方向が逆ですから、J(z)の識別が反対になりますね。つまりこの二つは観測者によって入れ替わります。通常観測者ではなく、スピン合成系のほうを180度x軸の周りにまわしてやって、 Ux(180)|J=1,J(3)=1> = |J=1,J(3)=-1> という関係式が得られます。つまり回転によって二つの状態は混じるわけです。ただしJ=1は不変です。ベクトルの2乗は回転によって変わらないから。 そこで|+->=|J=?,J(3)=0> と |-+>=|J=?, J(3)=0>とをどう理解するかがJaicaさんの質問の核心だと思います。つまりJの値を決めたいのです。これは直感的にはJ(3)=-1の状態をx軸の周りに90度回転してやってでてきた答えが|J=1,J(z)=0>で、これと比べると良いと思われます。つまり Ux(90) |J=1,J(3)=1> ~ |J=1,J(3)=0> =|-+>か|+->のどっちだ? という事ですね。古典的にはこんな感じでしょうが、量子論では不確定性原理があるので、上の予想は少し外れています。x軸の周りに回転してもJ=1は変わらないはずなのですが、もともとJ(3)=+1はx軸とy軸方向の角運動量に関しては揺らいでいますから、右辺のJ(3)=0はずれます。(古典的にはz軸方向に立つ鉛筆をx軸の周りに回転させればy軸方向に一致します。y軸方向ならz軸成分は0になりそうなものです。)といろいろ計算してみると Ux(90) |J=1,J(3)=1> = a|J=1,J(3)=1>+b|J=1,J(3)=-1>+c(|+->+|-+>) を得ます。 もともと|++>から出発した状態ですし、1番目のスピンと2番目のスピンに関して入れ替え対称ですから、回転後もその性質を持っています。つまり (|+->ー|-+>)は混じってきません。 量子力学では、重ね合わせが許されるのでこんな事になります。どうでしょうか?
その他の回答 (1)
- atomicmolecule
- ベストアンサー率56% (55/98)
数学的、そして物理的両方からの説明が可能だと思います。 数学的なところからいうと、単なる積をとるだけでは回転の固有状態になっていないという事です。二つのスピンの合成で全体としてきまった大きさの角運動量の値をつくる必要があるという事です。 ↑↑、↓↓、↑↓+↓↑ の三種類は二つのスピンの合成した値が1の表現になっています。z成分のスピンが1,0、-1と異なっていますが、大きさは1です。そういった観点からこれらは3つは一つのファミリーです。 一方↑↓-↓↑は全体のスピンが0でz方向も当然0の状態です。上のファミリーとは性質が全然異なる状態ものです。 数学的には、最初に挙げた3つの状態は回転によって混ざります。最後の一つは回転しても変わらない、つまり他のものとは混ざらない波動関数です。 物理的な観点からいうと個々の電子のスピン状態よりも合成したスピンが状態が大事で、それによって束縛状態全体としての性質が決まります。つまり束縛状態の中では個々のスピン状態は見えなくて、それらの巧い重ねあわせだけが実現されることになります。 こんなところでなんとなく分ってもらえたでしょうか?
お礼
丁寧な説明ありがとうございます。 少し分かってきました。 しかし、腑に落ちないことがあります。 上の3つの状態は回転によって混ざるか混ざらないかということは どうやれば分かるのでしょうか? 回転というのは角運動量で表される回転のことで良いのですよね? 上の3つの状態は三重項、下の1つの状態は一重項であるそうですが ↑↓+↓↑は三重項の1つでないように思うのですが。 三重項とはスピン2つが反平行に並んだもの(すわわち合成スピン数が1であるもの)であると思うのですが そうではないのでしょうか?