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文明の衝突の海外での評価について。
日本で大学生だったときに、多くのクラスでサミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」と課題として読まされました。 現在アメリカに留学しているのですが、友達に「文明の衝突」を読んだかと尋ねたところ、一人も読んだという生徒に会いません。授業でも今のところ、話に上ったことがありません。 日本の大学の教授はこの本は国際関係学を学ぶ上で、必須の入門書であると言っていました。 日本では発表後10年以上経つにも関わらず、評価され続けている「文明の衝突」ですが、海外で、特にアメリカにおけるこの本の評価はどのようなものなのでしょうか? ご存知の方、よろしくお願いします。
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ハンチントンの「文明の衝突」は、日本のみならず本国アメリカでも正統的な国際政治学ではあまり相手にされませんでした。 細かい所に素人でも指摘できるような事実の誤りが多かったこと(学問と認められるためには致命的な欠陥)、理論というにはあまりにも理論武装があまりにもお粗末だったこと、などから、どちらかといえば学術書というより、一般人向けの書と見られたわけです。 ハンチントンが初めに発表したのは、『Foreign Affairs』誌に載った"Clash of Civilizations?"という論文でしたが(最初の論文では『?』が付いていることに注意)、『Foreign Affairs』は日本でも有名ですけれども、実は査読される学術書ではないのです。だから、この雑誌に載っても必ずしも学界で価値が認められるとは限りません。(以前に細川元首相もどうでもいい論文を同誌に掲載されていた...。 最近は、専門家の間では『Foreign Policy』誌のほうが重視されているかもしれません。 『日本の大学の教授はこの本は国際関係学を学ぶ上で、必須の入門書であると言っていました。』 その教授はどういう理解の上でそうおっしゃったのか、、、。 批判的に読んでおくべき本、有名なのでいちおう読むくらいはしておくべき本として挙げたならともかく、学問的ディシプリンを備えた国際関係論や国際政治学の本物の専門家が、あれを『入門書』と呼ぶ筈はありません。
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ソ連の崩壊を1976年にすでに予言したフランスの人口学者、エマニュエル・トッドは、その著「帝国以後」のなかで、ハチントンの「文明」は宗教による分類だが、ロシアを正教国、中国を儒教国と分類するのは、ロシアと中国の農民の非宗教性からみて笑止だ。共産主義革命に両国が成功したのは、もともと宗教が弱体だったからだと指摘しています。
ソ連の崩壊を1976年にすでに予言したフランスの人口学者、エマニュエル・トッドは、ハンチントンは文明を宗教により分類しているが、ロシアを正教国、中国を儒教国と分類するのは、ロシアと中国の農民の非宗教性からみて笑止だ。共産主義革命に両国が成功したのは、もともと宗教が弱体だったからだと指摘しています。
- pyon1956
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「文明の衝突」自身ははっきりいって全く筋の通らない説です。ただ、世界のお山の大将アメリカが、自国の主張を押し通すために「俺が悪いんじゃない、しょせんあいつらとは話が通じないのだから」という使い方をしているだけです。ただ、これだと親米的な中東諸国もあるので不都合が生じます。(よってマスコミ向けの理屈(理論と思う人は皆無))だから、よりアメリカの政権中枢にとって支配的な理論は「地政学」でしょう。これまたあやしい理論というかトンデモ説じゃないかと思うのですがあいにくアメリカの政権中枢には地政学を奉じるひとびとがたくさんいるため、彼らの動向をしるためには必要なのですね。 まあ日本はアメリカの子分なので、アメリカのいう通り動いていればいい、というのですから地政学など不要、その辺のあやしい説で良い、ということなのでしょう。