• ベストアンサー

(ソ連崩壊後の日米安全保障条約) 米国側の評価に関して

サミュエル・ハンチントン著、鈴木主税訳「文明の衝突」 日米安全保障条約はソヴィエトの日本侵攻を阻止するのに役立った。冷戦後の時代に、これをどんな目的に役立てようというのだろうか?中国を抑えて阻止するためだろうか?日本と発展の著しい中国の和解を遅らせるためだろうか?日本のさらなる軍備拡張を妨げるためだろうか?日本では自国におけるアメリカ軍のプレゼンスについて、一方のアメリカでは報われることなく日本の防衛に肩入れする必要について、ますます疑問の声が高まっている。 さて、質問です。 アメリカでは報われることなく日本の防衛に肩入れする必要について、ますます疑問の声が高まっている。・・・(*) 此処の真意を知りたいです。 何処の国でも末端の国民は素朴で一面からしか考えられず自国贔屓なのだと思います。また、本心とは別に相手の足元を見て恩着せがましい物言いをする狡猾な輩は何処にもいるのだと思います。従って(*)のように発言する米国市民がいるのは当然として、アメリカの泡沫でない政治家、官僚の上層部、政策立案に関与している学者群、一目置かれている言論人、こういった政治や軍事に影響力をもつ指導者層の中に(*)のような考えが現実にあるのですか。ある場合、「報われない」とは何を言っているのですか。現状では何がどうだから「報われない日本の防衛の肩入れ」で、何がどうなれば「報われる日本の防衛の肩入れ」になるというのですか。米国通の解説を希望します。 よろしくお願いします。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • teccrt
  • ベストアンサー率35% (91/257)
回答No.2

2つの点があると思います。 1】仮想敵の変化に伴う米軍の再編成 冷戦時代は、仮想敵と言えば東側諸国でした。なかでも、東側の盟主ソ連とアジアの大国・中国でした。アメリカは、2国の封じ込めを最優先課題としていましたが、その要がNATOと日米安全保障条約でした。 ところが、冷戦が終わりアメリカに歯向かう国家がいなくなった後、アメリカにとっての最大の敵はテロに移ります。そのため、重装備+破壊力重視から軽装備+機動力重視への再編成を迫られ、重点エリアもイスラム圏へと変わります。カザフスタン、パキスタンへの駐留米軍増加はその流れです。アジアでは、インドネシア・マレーシアがイスラム圏のため、日本と韓国に偏っていた駐留米軍はフィリピン中心に再編成をしたがっています。 2】中国の台頭 中国の経済成長は目覚しく、アメリカ国債保有高では日本を抜いて第1位、GDPでもドイツを抜いて第3位になりました。日本はGDPが伸び悩んでいるどころが下がりっぱなしですし、かつてのプラザ合意で意図的に安くなっていた円が自由競争にもまれて一気に高くなったように、元も近い将来意図的な現在の元安路線を撤回するときが来るでしょうから、その時はさらに名目上の中国の経済力が拡大し、日本は太刀打ちできない立場に転落してしまいます。 アメリカも、既にその流れを見越して落ち目の日本より第2位の経済大国の地位が約束された中国を重要視するようになっており、日米安保を盾に中国への対抗心をむき出しにする日本を敬遠しています。 そのため、日米安保が米中関係親密化の足かせになっていると感じ始めています。 最後に、アメリカにとって「報われる日本の防衛の肩入れ」は何か、ということですが、ロシアや中国を刺激しすぎない、但し彼らの横暴を抑止できる程度の戦力を置いておくことだと考えます。 従って、今は日米安保がNATOと並んで最重要の安全保障ということになっていますが、「報われる日本の防衛の肩入れ」が実現した際には、日米安保は「最重要」⇒「数ある重要な同盟の一つ」という位置づけまで下がるでしょう。

sono-higurashi
質問者

お礼

こういう考え(*)の米国人がどの程度の割合にまでなったのか、早く多数派になって、この考えに沿った政策を実現して欲しいです。 ソ連崩壊後と言わず、ベルリンの壁崩壊時にすらソ連は戦車の一輌とて出動させ得ませんでした。このことから推し量って、当時ですらソ連の日本侵攻なんて絵空事であったと思います。ましてや今日、ロシアの日本侵攻なんて私には考えられません。 それに日中、日韓の領土問題に米国は関与しないと言っているそうですから在日米軍は明らかに軍備過剰なのだと思います。米軍が駐留していようといまいと領土上の日中の揉め事は中国の思い通りに、日韓の揉め事は韓国の思い通りに収まるので、軍需産業の皆さんは困るのかもしれませんが、それにフィリピンも困るのかもしれませんが、対イスラム諸国への警戒のためには、米軍はグアムなりフィリピンなりに移動してもらうのが最善だと思います。横須賀や佐世保、沖縄からイスラム圏に出動するのもグアムから出動するのも変わらないしフィリピンからなら余程便利です。これは八方が丸く収まり大岡裁きどころではない当たり前すぎる名案だと思います。 日本への駐留米軍の戦力は大幅に縮小可能で名目的に存在する程度で十分だと思います。日本防衛に名を借りて、日本の金で米軍の世界戦略の資にするのは止めにして欲しいです。これは普段、政治や軍事について何も考えていない私の素朴な考えです。 有り難うございました。またの機会にもよろしくお願いします。

その他の回答 (2)

回答No.3

再度失礼します。 外交は軍事が中心ですよ。 外交面では軍事力を前面に出しませんが、軍事バランスにより外交方針が決まり、軍事力を高めるために経済力をつける。その経済力を高めるために外交努力がある。 これは国が生き残るためです。 他国侵略も、基本的には国が生き残るためです。 外交と軍事は表裏一体であり、二つを切り離して考えるのは妄想です。 世界の平和は軍事大国が支えており、彼らの存在がなくなれば世界に戦争的混乱が起こります。 軍事バランスが崩れた地域が山とあるからです。 日本の場合、軍事力無視で国力拡大したと見えるかもしれませんが、日本の防衛力は結構高水準で、その上世界最強の米軍が100%の保障付きでバックアップしてましたから、経済大国になったのであり、日本の経済成長の裏には軍事力があったのです。 日本は(在日米軍も含めて)世界最強の軍事大国であり、ここまで強くなると最早外交さえ不要になる。 これが戦後の日本だったわけです。 中国の軍事力拡大もこの目的の為。外交と軍事は表裏一体である。 中国は軍事力を飛躍的に高めたために、発言力・存在感を持つようになった。中国がずっと以前のように貧乏大国・経済弱者であるのなら、日米も中国無視して勝手にやれますし、韓国も中国を恐れる必要は無い。 最近の中国を見ていると、少なくとも政治部は協調路線です。彼らは少なくとも日・米には戦争を仕掛けません。当分。戦争しても文句なく米日が勝ちます。 今後20年くらいは、中国は敵ではありません。中国は味方であり、また、味方にしなければなりません。 主義が根本的に違うため、米・中は同盟国になれません。米・中安保同盟などは想像の枠外。 米国のアジア地域の最大の同盟国は将来も日本です。日本が反米になることはないと確信できますし、アジアでは米国と主義を同じくする最大の国家は日本であり、この構図は当分変わりません。その上、米国と日本は国境を接しています… どれか一つ、アジア地域で米国同盟の中核国を選ぶとしたら、日本しかないのです。 米国の巨大空母の一つが日本を母港としていますが、こんなことを任せていい国は日本しか有りません。 米国は日米同盟を用いて中国と友好関係を持ちたいのです。日本を捨てるわけでもないし、日本を中国に売るわけでもない。 この部分、先回の私の回答中に誤解されやすい部分があったかもしれませんね。 日米同盟と中国とが付き合う。米・中・日の3国同盟ではなく、「日米同盟」と「中国」の友好関係。 そしてここに、韓国が加わるようです。 昨日韓国大統領の面白い声明がありました。北朝鮮のミサイル失敗実験によって、米・中・日・韓の関係は深まりました。 確実に東アジア地域は、上に述べた方向に動いています。 んで、こうして東アジアの平和と安定と繁栄は築かれていくのです。 なお、日米同盟が弱体化していく、というその理由は、米国の国状の問題であって、世界的な米軍撤退の一端として日米同盟の弱体化が有るのであって、米国が日本嫌いになったのではありません。 また、外交は裏を見てみなければ、その真意は分かりません。軍事力の面に目を向けてみると、物凄く外交っていうのは分かりやすいですよ。

sono-higurashi
質問者

お礼

一般に如何なる回答に如何なる反応をする人間であるかは無意識裏に案外観察されていて、その後の質問に対して良い回答者に恵まれるか否かに影響するのだろうと推測します。この意味から、このご回答のうち承服出来ない点を列挙して私の考えを記しておこうとしました。しかし、あまりに多くの点で見解を異にすることと、大半の記述が今回の質問に対応していないことに困惑して思い直しました。 (・「報われない」とは何を言っているか。 ・ 何がどうだから「報われない」のか。 ・ 何がどうなれば「」報われるのか。) 勿論、wwbc さんの目から見ればNo.3のご回答が、質問文、ご回答No.1、No.1へのお礼文に関連しているのでしょう。 私はNo.1のお礼の4で、 「私の診るところ国際紛争に於いては、正義とは武力のことです。それでよいと思っている訳ではありませんが。何処の一国の武力よりも強力な国連軍でも組織できればともかく、そうでなければ武力をもった鉄面皮には敵いません。米国がそうですし中国もそうでしょう。」、 と記しました。私は「それでよいとは思ってはいない」のですから、No.3のご回答には反論が幾らもあります。一口で言えばこのご回答には1940年台には既に通用しなくなっていた論理があちこちに含まれています。 私がwwbc さんを説得しようと思わないのと同様に、wwbc さんも私を説得しようと思わないで下さい。

回答No.1

米国にとっても日本との友好関係は国益にかなうので、末永く友好的な2国間関係を継続したい。 そしてこの2国間関係を継続するためには、日本にとって日米安保は必須要件。なので米国側がそれに応じて安全保障を供給している。 これを米国は対等な関係にしたいと考え、日本に集団的自衛権行使を求めるが、日本はそれに応じてこなかった。 今のところ、米国にとって日米友好関係は負担と危険が大きい割には成果が少ない。 しかも日本の心情的平和思想のために日米安保そのものを平和の敵だと解釈する日本人まで数多くいた。 冷戦後、米国で日米安保について虚無感漂うのは当然のことかと。 米国の計画では日米安保を弱体化し、日本と友好関係を継続しながら中国との関係を深めることにより、アジア地域での米国国益を保持しようと模索中。もはやアジア地域での最重要国は中国であって日本ではない。 米中関係を深める為には、東アジア地域での米日同盟の存在感を際立たせ、これを中国に見せ付ける事により、中国を敵対ではなく友好の方に手繰り寄せる。簡単に言えば、喧嘩しても勝てないから味方になるのが得だぞ、と見せ付ける。 これが米国にとっての日米安保の大きな役割になってしまっている。 近頃しきりに米国が日米同盟の重要性を連発するのは、中国に対する友好関係の誘いかけ。 一方中国にとっても日本は欲しいので、米国と中国の間で日本の成果を山分けにするか?との話にまで行き着くはず。 中国に日本遺産を半分やるには、日本周辺の海洋覇権をそれとなく中国に禅譲する。日本周辺の海洋覇権を重量配分で2分化すれば、日本のほうから中国に友好を持ちかけ、で、米・中・日の3国関係が出来上がる。 またはもう既に米国から日中友好の指令は出ているのでしょう。 日本にとっても宿敵中国と争わずに、米国庇護の下、日中友好関係が進められれば、日本的には大歓迎この上ない。日本の繁栄の道はここにある。 米国も日本の国柄を承知しているので、日本にとっても悪い話ではないとして、独断でこの戦略を展開中。これがスマートパワー。 中国は半自由主義経済だが共産党支配なので、米国と中国は本格的な友好関係にはなりにくい。なので、日本を傍らにおいての米中関係が、安全保障上も好ましい。米国がヤラレル前に日本が先にヤラレルので、言ってみれば緩衝地帯のようなもの。 問題は、中国がこの原理を理解して、平和裏に進めていくか。日本のEEZ内の孤島・諸島を欲しがらないか。ですねえ。 麻生首相がちょっと前、中国の尖閣諸島発言に対し、異様なほど米国に日米安保を確認(尖閣諸島紛争での米軍出動)したのは、正にこれこそ今後の中国の最も危険な部分に関する点だからですかね。ただの領土防衛意識かもしれないけど。 米軍が大幅に相対的弱体化してしまうと、中国は突出するかもしれません。

sono-higurashi
質問者

補足

(お礼なのですが字数制限があるのでこちらを拝借します。) お陰様で、こういう考え(*)が描く大筋の戦略が判りました。私は日頃、政治にも軍事にも無関心でいる国民ですから多分、客観性のない偏りのある素朴な読後感になるでしょうが率直に記してお礼とします。 1 米国人の当面の虚無感の源の一つが「集団的自衛権」に発展しないことにあるのが分かりました。彼らは、これは「ないもの強請り」で止むを得ないのだと承知していないのでしょうか。 日本では上滑りのものにもせよ平和思想が徹底しました。それに、今の状態での集団的自衛なんてアジア諸国の猛反発があって不可能でしょう。そもそも日本をこういう国にしたのは米国自身です。不平不満はトルーマンとマッカーサー、加えて自分の親達に言うべきです。丸腰になれ、警察予備隊をつくれ、米国と共に戦え、と勝手なことを猫の目で言われては困ります。私は、こういう気分です。 2 「米国にとって日米友好関係は負担と危険が大きい割には成果が少ない」、これはそうなのか、そうでないのか判りません。在日米軍は多分、オホーツク海、日本海、東シナ海、南シナ海、インド洋、アラビア海、並びにその沿岸諸国全体の秩序に睨みを利かせているのでしょうが、米国だけでこれを賄うのは大変だから日本も手伝えと言いたいのだろうと思います。こう考えると、例の思いやり予算なるものが過剰なのか、妥当なのか、出し渋りなのか私には判りません。在日米軍の項目別経費を公開してもらわないと無駄のある無し、過剰である無し、日本の負担分が妥当である無し、など一切判断できません。 それに、南アジア、東南アジア、東アジアの秩序と平和をどう構築するのか、日米だけで考えるべきことでもないですし。 3 米国にとって日本より中国が大事になりつつあるのと同様に、日本にとっても米国より中国が大事になりつつあるのは明白だと思います。中国に隣接している国は多かれ少なかれ彼らの横暴に泣かされてきた訳で、しかも泣かされている訳で、現在ややもすると日本は米国の属国か属州みたいな気分になることがありますが、いずれはこの気分の対象が中国に置き換わるであろうと予想し、覚悟をしています。 4 「中国がこの原理を理解して、平和裏に進めていくか。日本のEEZ内の孤島・諸島を欲しがらないか。ですねえ。」、私は、こんな具合に楽観できません。もう、決まっています。彼らは何でも腕ずくでもって行くでしょう。私の診るところ国際紛争に於いては、正義とは武力のことです。それでよいと思っている訳ではありませんが。何処の一国の武力よりも強力な国連軍でも組織できればともかく、そうでなければ武力をもった鉄面皮には敵いません。米国がそうですし中国もそうでしょう。 こういう考え(*)の米国人がどの程度の割合でいるのか承知しませんが、こういう人達の戦略はだいたい分かりました。南アジア以東を中国の思いのままに任す覚悟をしてしまうか、中国が劇的に変わるかする必要があるように思え、そしてそれはどちらも容易には考え難いのですが、何はともあれ中国政策から派生する問題であることが分かりました。 有り難うございました。またの機会にもよろしくお願いします。