ネットワークアナライザは、オシロスコープのように非常に汎用性のある装置なので、「一般的」な使い方というのは特にないと思います。大雑把にいえば、入力と出力を持つ測定したい素子(なんでも良い、アンプ、アイソレータ、フィルタ、ESRなら空洞共振器、DUT(Device Under Test)と約すことが多い)の評価に使う装置です。
素子の特性は、信号の反射率や透過率で評価できますが、普通はSパラメータと呼ばれる4つの複素数のパラメータ(S11,S12,S21,S22)の組で表します。(反射率はS11やS22に相当する)Sパラメータの一般論は適当な参考書(例えば、大森俊一他、高周波・マイクロ波測定、コロナ社)等を参照して下さい。ネットワークアナライザはこのSパラメータを測定する装置で、Sパラメータの絶対値だけを測定する装置をスカラーネットワークアナライザ、位相と振幅に分けて測定できる装置をベクトルネットワークアナライザと呼びます。
マイクロ波、ミリ波での物質の応答(ESRもそのひとつ)の測定は、通常空洞共振器摂動法が用いられています。この場合、共振器の共振周波数とQ値から応答関数を複素量として求めることが可能です。したがって、空洞の反射率(S11)や透過率(S12)の絶対値が周波数の関数として求められれば良いので、スカラーで十分な場合が多いです。
では、ベクトルにするメリットはというと、一つは共振器を使わないでも応答関数が複素量として求められることです。これに関してはいろいろ方法はありますが、例えばJ. C. Booth et al., Rev. Sci. Instrum., 65, 2082 (1994)を参照してください。ミリ波だと導波管の一部を試料で置き換えるようなことも可能です。
空洞共振器でもベクトル化するといいことがあります。空洞共振器以外の場所で入力と出力がカップルしていると共振曲線が理想的な曲線(ローレンツ曲線)からずれますが、位相がわかってるとこれを補正することが可能です。M. Mola et al., Rev. Sci. Instrum., 74, 186 (2000)を参照してください。
ESRでベクトルネットアナというと、ABミリメータのMVNAをお使いですか?そうだとすればウラヤマシイ・・・。国内に数台しかない装置です。いずれにせよ、ベクトルネットアナでESRをやろうという研究室なら皆「プロ」でしょうから、掲示板ではなく、研究室のスタッフに聞きまくるのが早道かと思います。
お礼
申し訳ありません。たしかにそうです。院に行く身の自分がそのようなことを しないのは確かに自分のためにはならないとおもいます。 スタッフに聞くと楽をしてしまう自分が許せない・・・しかし掲示板で同じことを きいているようでは同じことかもしれません。 苦言とはとんでもないです。ありがたいお言葉ありがとうございます。 しかしながらぺーぺーの身であるためまた身の程知らずな質問をさせて頂くかも しれませんがそのときはまたご教授下さいますようよろしくおねがいします